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第1章 ダンジョン
第54話 ─国境の城塞─ ゆふべゆふべは壮大の旦を夢み*
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The Outsider ーmemorandumーにて、
第7話 国境の城塞 人物紹介・宗教・追加装備品を公開しております。
=======================================
第4層の帰り道。往路では通らなかった場所でエターキャップとかいうクモ人間と遭遇したが、俺が[火球]で巣ごと焼き払った。
用意しておいた新しい靴下に全員が履き替えてから、自宅に入る。
リビングへと誘導し、少女たち3人にはソファーを勧める。
俺が洗面所に行き手洗いと嗽をすますと、何故かぞろぞろとついてきた3人も同じことをした。
ただ彼女たちは蛇口に口を近づけるのではなく、それぞれが水屋からコップを持ってきていることには無言の圧力を感じる。俺も嗽をするときにはコップを使わないと駄目出しされそうだ。3人それぞれの専用タオルも用意したほうが良いのだろうか。
リビングに戻ってきた3人に飲み物の希望を聞くと、全員が朝食と同じものを望んだので、俺も彼女たちに合わせてフルーツジュースを飲むことにする。
「落ち着いたところで提案があるのだけれど、子爵のお勧めは無視して明日からは5層に行こうと思う。それでいいだろうか? 前報酬は受け取ったが、何時再訪問するかの約束はしていないのだから先送りにしたい」
ソファに座り冷たいフルーツジュースを味わっていたリンが苛立ちを隠さない声で遮った。テーブルにコップを置いたときの乱暴な音が響く。
「駄目よ! あんたはわざと期日を明確にすることを避けていたけれど、あの会話だと明日再訪してくると子爵は思っているわよ。貴族との約束を反故にしてはいけないことがわからない程常識がないのかしら?」
「私も、明日再訪しないのは後々大きな問題になると思います」
「ロミナは、どう思う? 」
「わたくしは但馬様の護衛を命じられているだけですので、どちらに赴かれてもお供いたします」
ロミナは一切の感情を顔に出さず、フルーツジュースの入ったグラスに桃色の唇を寄せる。
「子爵は問題ないようなことを言っていたけれど、教会が人物を保証して送り出したわけではない人々が辺地に集まっているのだろう? 地球の歴史で言えばアメリカの西部開拓時代みたいなものだ。そこに君たちのような少女を連れて行ったら、間違いなく男たちが君たちを獲りあって血みどろの殺し合いになる。それがわかっていて行くのは愚かだ」
リンの口元に挑戦的な笑みが浮かんだ。
「あらっ? そんな事わかっているわよ。私たちに手を出そうとしたら剣で切りつけて撃退すればいいじゃない。そんなことは常識よ」
「……それは俺の知っている常識じゃない」
俺の言葉に、リンは立ち上がりそうなほど前のめりになり苛立ちを露わにした。
「あんたねぇ、もうちょっと腰を据えなさい。男でしょ! 予測できる困難を実力で排除しないで、逃げ回りたいからと貴族との約束を守らないつもりなの? 」
「マヤは、どう思う? 」
「私は領外に出たことはほとんどありませんが、王都でも治安の悪いところでは剣を抜いて実力で暴漢に対処しろと言われております」
「つまり、血を見る覚悟で危ない所に行くことを反対しないということ? 」
「はい。大丈夫です。但馬さんは必ず私が守ってみせますから安心してください」
そういう死亡フラグっぽい事を言うのは止めて欲しいなぁ……
「ロミナも覚悟を決めているの? 」
「覚悟と言うと語弊がありますけれども、わたくしの身を案じるお気遣いは無用でございます」
「わかった。気は進まないけれど明日は子爵のところに行く。話はがらりとかわるが夕食で食べたいものはある? 確かリンは生魚を食べたいと言っていたな? 」
「肉ね! 」
「私もお肉が食べたいです」
ロミナを見ると黙って肯かれた。それは2人に同意するという意味なのか、俺に任せるという意味なのか。
この歳になると肉だけを食べに行くことがないんだけどなぁ。
「食事の前に、明日に備えて買い物に行こうか」
そう言って少女たちに前回と同じ手順で姿を消してもらい、軟オーブ(赤)を飲ませ車に乗り込んでもらう。今回も助手席に座るのはリンだった。
そろそろ高層ビルを見上げて口を半開きにするのは止めてほしいのだが、普段能面のロミナまでもが口を少し開いている。彼女たちの目にガラスの巨大な構造物は、どんな風に映っているのだろうか。
駐車場に車を駐め、大型商業施設内の登山用品専門店に向かう。
寝袋とバックパックの色を中々決められないリンに時間を取られたが、大過なく施設を出られた。
日本での買い物に慣れたというよりは、見知らぬ人の多さ、ハイテンションで話しかけてくる言葉の通じない店員、唐突に流れる様々な音声に、居心地の悪さを感じているのかもしれない。
食事前にもう1カ所立ち寄る。
リンにマヤと同じ下着を要求されたので百均ショップへ向かうことになった。
3人が下着を選んでいる間に俺も自分の買い物をすます。
爆薬・可燃物・電池・印刷物といった確定的に使えなくなる物もあるが、魔素の影響で何が使えなくなるのかは国によって違う。日本国内のダンジョンでもバラツキがあるので、何が何時まで使えるかは運次第。まぁ百均商品が直ぐに使えなくなっても納得できるが、百均で買えるのに高い物を買ったやつは値段分の働きをしてほしい。
他に必要な物があるかと物色中、買い物籠をぶら下げた3人が広い店内で俺を見つけて近づいてきた。
「……俺、片道2泊3日の旅に必要な物と言ったよね? 」
ロミナは裁縫道具やビニール袋等、本人が必要だろうと思った物を買っている。
「何でファンシー‐グッズ? 」
俺が想定した物は旅行用歯磨きセットしか入っていない。
「食料はさっきの店で買いこんだでしょ、これぐらい別にいいじゃない」
「馬車移動前提だから大量に買ったけれど、移動が往復で6日だったら本来7日分は必要なのに、君たちが大荷物を嫌うから5日分しか購入していない。付け加えると君たちは食事の量に文句を言うと思うよ、これだけでは全く足らないと。ここで自分が消費する分を買わないのであれば、向こうへ行ってから保存食の手配をしておいてね」
「それでいいわ」
なんだろう、この違和感。旅だからと色々準備しようとする現代日本人の感覚が変なのだろうか。
セルフレジを通す俺の作業を3人が直ぐ近くで興味津々といった風に見続けている。
それを遠くから店員や客たちが遠巻きに見ている。
どういう種類の見世物なんだ。これ?
夕食は肉と言われているが、肉系は俺のランチローテーションに入っていない。知らない店に人を案内するのは嫌なので、以前1度だけ行ったステーキ店にする。
味は……まぁなんだ、もう1度こようとは思わない程度だった。
日本で1番長い商店街。近々1番長いという宣伝の為に強引に繋げて、1つの商店街という設定で、ここから東に400km程行ったところに、自称「日本で1番長い商店街」ができるらしい。
近年はこの商店街でも外国人の姿を見かけることは珍しくないが、土地柄のせいか安く売るのが大前提というスタイルはかわっていないようだ。
これから行く店は(輸入)牛肉ステーキをランチ千円にするという値段設定が駄目なのだと思う。
正社員だかバイトだかわからんが、客のまばらな昼日中、コック服姿の姿勢の良いおじさんたちがカウンターに5人も並んでいたのだから、夜はそれなりの人気店なのだろう。
夜営業の早い時間だったせいか店内は混んでいない。
高い金を出せば、高い肉が出てくる。当たり前の話だよな?
和牛を注文したのに、ランチに出した(輸入)牛肉を使ったりしているから客がいないんじゃないよね。
緊張の時。
値段は正直だった。
連れの3人は150gや200gでは全く足りないらしい……
野菜も食えよ。
帰り道。スーパーに立ち寄って明日の朝食用パンを購入した。今回は適量を買うように言ったので、俺の食べるパンがないということにはならないだろう。
日本での最後の食事になるかも知れないのだから、俺もちゃんとしたものを食べたい。
マンションに着くとマヤだけ車で待ってもらった。
2人を自宅に連れて行くと、貸してあるマヤの魔道具をロミナから受け取り車に引き返す。[不可視]状態のマヤと再び自宅に向かう。これで「少女を自宅に連れ込んでいる」と周辺住民から警察に通報されることは避けられる。
寝る前にすべき事を終えマヤとベランダに出る。
同時に俺の後ろで、掃き出し窓のロックがかかる音がした。
第1層のいつもの場所でマヤを見送る。今夜も素敵な笑顔で食事と買い物の礼を言ってくれた。俺はきちんとした笑顔をマヤに返せただろうか。
翌朝。昨日と同じ手順でマヤと共に自宅に入る。こういうのも朝帰りと言うのかな。
出発までの段取りで昨日と違うのは、俺が少女たち3人とリビングで食事ができたこと。流した音楽がベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番だったこと。
あとは、食事後の片付けにマヤが積極的に手伝うようになったことか。
{追加装備品}
・寝袋×5
・エアーマット×5
・ワンタッチテント 1人用×1 4人用×1
・固形燃料コンロ×2
・折りたたみ火起し器×1
・備長炭 2kg×4
・着火剤 1箱
・調理鍋(フライパン兼用)×2
・純チタン製水筒 2L×5
・伐採斧1844 Helko Werk Germany(全長79cm/ヘッド重量1.6kg)×1
・青紙土佐打ナイフ(全長30cm/刃渡15cm)×1
・パウチ入り防災パン×150(総重量 8kg)
・缶詰 肉/焼き鳥/カレー缶/おかず缶/16種×5(総重量 10kg)
・携帯薬入れ
解熱鎮痛薬/抗生剤軟膏/消毒アルコールゲル/塩タブレット/
ピンセット/ホチキス/ホチキス針
・サランラップ
・ガムテープ
・ニトロセルロース接着剤
・アウトドア用洗濯道具各種
・ドライシャンプー
・ドライシャンプーシート メンズ
・ボディシート
・トイレットペーパー
(百均商品)
・ウェットシート
・鋸
・ミニハンマー
・釘セット
・手芸道具各種
・補修用 布/皮
・旅行用歯磨きセット
・ビニール袋
___________________________________________________________
* 上田敏訳詩集『海潮音』ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ「出征」新潮文庫 1952
第7話 国境の城塞 人物紹介・宗教・追加装備品を公開しております。
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第4層の帰り道。往路では通らなかった場所でエターキャップとかいうクモ人間と遭遇したが、俺が[火球]で巣ごと焼き払った。
用意しておいた新しい靴下に全員が履き替えてから、自宅に入る。
リビングへと誘導し、少女たち3人にはソファーを勧める。
俺が洗面所に行き手洗いと嗽をすますと、何故かぞろぞろとついてきた3人も同じことをした。
ただ彼女たちは蛇口に口を近づけるのではなく、それぞれが水屋からコップを持ってきていることには無言の圧力を感じる。俺も嗽をするときにはコップを使わないと駄目出しされそうだ。3人それぞれの専用タオルも用意したほうが良いのだろうか。
リビングに戻ってきた3人に飲み物の希望を聞くと、全員が朝食と同じものを望んだので、俺も彼女たちに合わせてフルーツジュースを飲むことにする。
「落ち着いたところで提案があるのだけれど、子爵のお勧めは無視して明日からは5層に行こうと思う。それでいいだろうか? 前報酬は受け取ったが、何時再訪問するかの約束はしていないのだから先送りにしたい」
ソファに座り冷たいフルーツジュースを味わっていたリンが苛立ちを隠さない声で遮った。テーブルにコップを置いたときの乱暴な音が響く。
「駄目よ! あんたはわざと期日を明確にすることを避けていたけれど、あの会話だと明日再訪してくると子爵は思っているわよ。貴族との約束を反故にしてはいけないことがわからない程常識がないのかしら?」
「私も、明日再訪しないのは後々大きな問題になると思います」
「ロミナは、どう思う? 」
「わたくしは但馬様の護衛を命じられているだけですので、どちらに赴かれてもお供いたします」
ロミナは一切の感情を顔に出さず、フルーツジュースの入ったグラスに桃色の唇を寄せる。
「子爵は問題ないようなことを言っていたけれど、教会が人物を保証して送り出したわけではない人々が辺地に集まっているのだろう? 地球の歴史で言えばアメリカの西部開拓時代みたいなものだ。そこに君たちのような少女を連れて行ったら、間違いなく男たちが君たちを獲りあって血みどろの殺し合いになる。それがわかっていて行くのは愚かだ」
リンの口元に挑戦的な笑みが浮かんだ。
「あらっ? そんな事わかっているわよ。私たちに手を出そうとしたら剣で切りつけて撃退すればいいじゃない。そんなことは常識よ」
「……それは俺の知っている常識じゃない」
俺の言葉に、リンは立ち上がりそうなほど前のめりになり苛立ちを露わにした。
「あんたねぇ、もうちょっと腰を据えなさい。男でしょ! 予測できる困難を実力で排除しないで、逃げ回りたいからと貴族との約束を守らないつもりなの? 」
「マヤは、どう思う? 」
「私は領外に出たことはほとんどありませんが、王都でも治安の悪いところでは剣を抜いて実力で暴漢に対処しろと言われております」
「つまり、血を見る覚悟で危ない所に行くことを反対しないということ? 」
「はい。大丈夫です。但馬さんは必ず私が守ってみせますから安心してください」
そういう死亡フラグっぽい事を言うのは止めて欲しいなぁ……
「ロミナも覚悟を決めているの? 」
「覚悟と言うと語弊がありますけれども、わたくしの身を案じるお気遣いは無用でございます」
「わかった。気は進まないけれど明日は子爵のところに行く。話はがらりとかわるが夕食で食べたいものはある? 確かリンは生魚を食べたいと言っていたな? 」
「肉ね! 」
「私もお肉が食べたいです」
ロミナを見ると黙って肯かれた。それは2人に同意するという意味なのか、俺に任せるという意味なのか。
この歳になると肉だけを食べに行くことがないんだけどなぁ。
「食事の前に、明日に備えて買い物に行こうか」
そう言って少女たちに前回と同じ手順で姿を消してもらい、軟オーブ(赤)を飲ませ車に乗り込んでもらう。今回も助手席に座るのはリンだった。
そろそろ高層ビルを見上げて口を半開きにするのは止めてほしいのだが、普段能面のロミナまでもが口を少し開いている。彼女たちの目にガラスの巨大な構造物は、どんな風に映っているのだろうか。
駐車場に車を駐め、大型商業施設内の登山用品専門店に向かう。
寝袋とバックパックの色を中々決められないリンに時間を取られたが、大過なく施設を出られた。
日本での買い物に慣れたというよりは、見知らぬ人の多さ、ハイテンションで話しかけてくる言葉の通じない店員、唐突に流れる様々な音声に、居心地の悪さを感じているのかもしれない。
食事前にもう1カ所立ち寄る。
リンにマヤと同じ下着を要求されたので百均ショップへ向かうことになった。
3人が下着を選んでいる間に俺も自分の買い物をすます。
爆薬・可燃物・電池・印刷物といった確定的に使えなくなる物もあるが、魔素の影響で何が使えなくなるのかは国によって違う。日本国内のダンジョンでもバラツキがあるので、何が何時まで使えるかは運次第。まぁ百均商品が直ぐに使えなくなっても納得できるが、百均で買えるのに高い物を買ったやつは値段分の働きをしてほしい。
他に必要な物があるかと物色中、買い物籠をぶら下げた3人が広い店内で俺を見つけて近づいてきた。
「……俺、片道2泊3日の旅に必要な物と言ったよね? 」
ロミナは裁縫道具やビニール袋等、本人が必要だろうと思った物を買っている。
「何でファンシー‐グッズ? 」
俺が想定した物は旅行用歯磨きセットしか入っていない。
「食料はさっきの店で買いこんだでしょ、これぐらい別にいいじゃない」
「馬車移動前提だから大量に買ったけれど、移動が往復で6日だったら本来7日分は必要なのに、君たちが大荷物を嫌うから5日分しか購入していない。付け加えると君たちは食事の量に文句を言うと思うよ、これだけでは全く足らないと。ここで自分が消費する分を買わないのであれば、向こうへ行ってから保存食の手配をしておいてね」
「それでいいわ」
なんだろう、この違和感。旅だからと色々準備しようとする現代日本人の感覚が変なのだろうか。
セルフレジを通す俺の作業を3人が直ぐ近くで興味津々といった風に見続けている。
それを遠くから店員や客たちが遠巻きに見ている。
どういう種類の見世物なんだ。これ?
夕食は肉と言われているが、肉系は俺のランチローテーションに入っていない。知らない店に人を案内するのは嫌なので、以前1度だけ行ったステーキ店にする。
味は……まぁなんだ、もう1度こようとは思わない程度だった。
日本で1番長い商店街。近々1番長いという宣伝の為に強引に繋げて、1つの商店街という設定で、ここから東に400km程行ったところに、自称「日本で1番長い商店街」ができるらしい。
近年はこの商店街でも外国人の姿を見かけることは珍しくないが、土地柄のせいか安く売るのが大前提というスタイルはかわっていないようだ。
これから行く店は(輸入)牛肉ステーキをランチ千円にするという値段設定が駄目なのだと思う。
正社員だかバイトだかわからんが、客のまばらな昼日中、コック服姿の姿勢の良いおじさんたちがカウンターに5人も並んでいたのだから、夜はそれなりの人気店なのだろう。
夜営業の早い時間だったせいか店内は混んでいない。
高い金を出せば、高い肉が出てくる。当たり前の話だよな?
和牛を注文したのに、ランチに出した(輸入)牛肉を使ったりしているから客がいないんじゃないよね。
緊張の時。
値段は正直だった。
連れの3人は150gや200gでは全く足りないらしい……
野菜も食えよ。
帰り道。スーパーに立ち寄って明日の朝食用パンを購入した。今回は適量を買うように言ったので、俺の食べるパンがないということにはならないだろう。
日本での最後の食事になるかも知れないのだから、俺もちゃんとしたものを食べたい。
マンションに着くとマヤだけ車で待ってもらった。
2人を自宅に連れて行くと、貸してあるマヤの魔道具をロミナから受け取り車に引き返す。[不可視]状態のマヤと再び自宅に向かう。これで「少女を自宅に連れ込んでいる」と周辺住民から警察に通報されることは避けられる。
寝る前にすべき事を終えマヤとベランダに出る。
同時に俺の後ろで、掃き出し窓のロックがかかる音がした。
第1層のいつもの場所でマヤを見送る。今夜も素敵な笑顔で食事と買い物の礼を言ってくれた。俺はきちんとした笑顔をマヤに返せただろうか。
翌朝。昨日と同じ手順でマヤと共に自宅に入る。こういうのも朝帰りと言うのかな。
出発までの段取りで昨日と違うのは、俺が少女たち3人とリビングで食事ができたこと。流した音楽がベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番だったこと。
あとは、食事後の片付けにマヤが積極的に手伝うようになったことか。
{追加装備品}
・寝袋×5
・エアーマット×5
・ワンタッチテント 1人用×1 4人用×1
・固形燃料コンロ×2
・折りたたみ火起し器×1
・備長炭 2kg×4
・着火剤 1箱
・調理鍋(フライパン兼用)×2
・純チタン製水筒 2L×5
・伐採斧1844 Helko Werk Germany(全長79cm/ヘッド重量1.6kg)×1
・青紙土佐打ナイフ(全長30cm/刃渡15cm)×1
・パウチ入り防災パン×150(総重量 8kg)
・缶詰 肉/焼き鳥/カレー缶/おかず缶/16種×5(総重量 10kg)
・携帯薬入れ
解熱鎮痛薬/抗生剤軟膏/消毒アルコールゲル/塩タブレット/
ピンセット/ホチキス/ホチキス針
・サランラップ
・ガムテープ
・ニトロセルロース接着剤
・アウトドア用洗濯道具各種
・ドライシャンプー
・ドライシャンプーシート メンズ
・ボディシート
・トイレットペーパー
(百均商品)
・ウェットシート
・鋸
・ミニハンマー
・釘セット
・手芸道具各種
・補修用 布/皮
・旅行用歯磨きセット
・ビニール袋
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* 上田敏訳詩集『海潮音』ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ「出征」新潮文庫 1952
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