光と影

ロキ

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第十四話「回復への道」

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2025年2月28日、午前10時。
聖マリア病院クリーンルーム。
移植から一週間、美咲は厳重な無菌管理下で過ごしていた。
「今朝の血液検査結果です」
村井医師が、完全防護服とN95マスク姿でチャートを確認する。
「白血球数200/μL、好中球数はまだ検出限界以下。生着までは通常2~3週間かかります」
クリーンルーム内の美咲は、高度な免疫抑制状態にあった。
口内炎グレード2の症状で、水分摂取も困難な状態。
中心静脈カテーテルから、高カロリー輸液と抗生物質が投与されている。
「体温37.2度、軽度の発熱が続いていますね」
担当看護師の森田が、バイタルチェックを行う。
「GVHDの初期症状の可能性もあるため、厳重な経過観察が必要です」
隣室の観察窓からは、真理子が娘を見守っていた。
防護服なしでは接触できない娘との距離が、母の心を締め付ける。
一方、麗子は3泊4日の入院を終え、「Quatre」の新コレクション準備を再開していた。
背部の採取部位の痛みは残るものの、通常の日常生活には支障がない程度まで回復していた。
「生着の兆しが見えるまで、あと2週間」
麗子はアトリエでスケッチを描きながら、妹の回復を祈っていた。

午後2時、クリーンルーム。
HEPAフィルターを通した清浄な空気が循環する無菌室内。室温24度、湿度55%に維持された空間で、美咲は静かに横たわっていた。
「本日15時の検査結果です」
村井医師がタブレットで詳細なデータを確認する。
「血液検査値:
• 白血球数:200/μL(基準値4000-9000)
• 好中球数:検出限界以下
• 血小板数:2.0×10⁴/μL(基準値15-35×10⁴)
• ヘモグロビン:8.2g/dL(基準値12-16)
• CRP:2.8mg/dL(基準値0.3以下)」
「免疫抑制剤タクロリムスの血中濃度が若干低めです。12ng/mLまで増量しましょう」
村井医師は治療方針を調整する。
「現在の投与内容:
• タクロリムス(プログラフ):0.05mg/kg/日
• メトトレキサート:15mg/㎡
• 高カロリー輸液:2400kcal/日
• 広域スペクトラム抗生剤(メロペネム):2g/日
• 抗真菌薬(ミカファンギン):150mg/日
• 抗ウイルス薬(アシクロビル):800mg/日」
美咲の症状は日々変化していた。
「口腔内粘膜炎:WHO基準グレード2
• 口腔内に複数の潰瘍
• 固形物摂取困難
• 疼痛スケール7/10」
「モルヒネの持続投与を開始します。初回0.5mg/時から開始し、痛みの程度を見ながら調整していきましょう」
観察室では健一が娘を見守っていた。
防護服を着用しても、直接的な接触は最小限に制限されている。
「先生、生着の見込みは?」
健一の声には不安が混じっていた。
「生着の指標となる好中球数500/μL以上を3日間継続して確認できれば、生着と判定します。通常14日から21日で兆候が現れます」
村井医師は丁寧に説明を続ける。
「美咲さんの場合、順調に進めば来週末には初期の兆候が見られるはずです。ただし、その間の感染症リスクが最も高い時期となります」

同日午後4時、「Lumière」本社アトリエ。
麗子は採取部位の痛みを抱えながらも、新コレクションの準備に没頭していた。
「採取後の経過:
• 腸骨採取部位の疼痛:NRS(疼痛スケール)4/10
• 歩行時の違和感:軽度
• 採取部位の皮下出血:直径約8cm
• 貧血症状:軽度(Hb 10.2g/dL)」
「麗子さん、新しい痛み止めをお持ちしました」
秘書の鈴木が、処方されたロキソプロフェンを差し出す。
デザインボードには、新コレクション「Quatre - Rebirth」の構想が広がっていた。
『コレクション詳細:
• メインピース:4着のイブニングドレス
• テーマカラー:白→グレー→ネイビー→ブラック
• 素材:シルクシフォン、オーガンジー
• 特徴:グラデーションによる光と影の表現
• ターゲット価格帯:580,000-1,200,000円』
午後5時、クリーンルームの観察室。
真理子が防護服に着替え、娘との面会準備を整えていた。
「入室前チェックリスト:
• 体温:36.8℃
• 感冒症状:なし
• 皮膚状態:正常
• 手洗い:実施済
• 防護服装着:完了」
「美咲さんの最新バイタル:
• 体温:37.3℃
• 血圧:108/64mmHg
• 脈拍:82/分
• SpO2:98%
• 呼吸数:16/分」
看護師の森田が報告する。
「口内炎の痛みは、モルヒネ投与開始後、やや軽減傾向です。疼痛スケール7→5/10まで改善」

午後5時30分、クリーンルーム内。
完全防護服を着用した真理子が、厳重な感染管理下で娘の傍らに座る。
「感染予防環境管理:
• HEPAフィルター:稼働中
• 室内気圧:陽圧管理(外部からの菌の侵入防止)
• 室温:24±1℃
• 湿度:55±5%
• 面会制限:1日2回まで
• 面会者防護:N95マスク、滅菌ガウン必須」
「バイタルサイン15分毎モニタリング:
17:30-18:00
• 体温:37.4℃(微熱継続)
• 血圧:110/68mmHg
• 脈拍:84/分
• SpO2:98%
• 呼吸数:16回/分
• 意識:清明」
「感染症予防投薬:
• 抗菌薬:メロペネム 2g/日
• 抗真菌薬:ミカファンギン 150mg/日
• 抗ウイルス薬:アシクロビル 800mg/日」
「GVHD予防管理:
• 皮膚症状観察
• 腸管症状チェック
• 肝機能モニタリング」
美咲は弱々しく母を見上げる。
「ママ…お姉ちゃんの展示会、必ず…」
真理子は防護服越しに娘の手を握り、
「ええ、でもその前に生着を待ちましょう。あと2週間よ」
と静かに応える。

午後6時、クリーンルーム。
美咲のGVHD予防と感染症対策が厳重に続けられていた。
「GVHD予防プロトコル:
• 一次予防:タクロリムス(血中濃度10-15ng/mL目標)
• 補助予防:メトトレキサート(移植後1,3,6,11日目投与)
• モニタリング項目:
・皮膚症状(発赤、掻痒感)
・腸管症状(下痢、腹痛)
・肝機能(AST/ALT、ビリルビン値)」
「感染症予防管理:
• 抗菌薬:メロペネム 2g/日
• 抗真菌薬:ミカファンギン 150mg/日
• 抗ウイルス薬:アシクロビル 800mg/日」
「口腔ケアプロトコル:
• 含嗽剤による含嗽:4時間毎
• 口腔内観察:1日3回
• 疼痛管理:モルヒネ持続投与(0.5mg/時)」
美咲は口内炎の痛みに耐えながら、母に向かって微かに微笑んだ。
「ママ…お姉ちゃんのコレクション、必ず見に行くから」
真理子は防護服越しに娘の手を握り締める。
生着までの道のりは、まだ始まったばかりだった。

午後7時、クリーンルーム。
夜間の詳細な観察が始まる。
「夜間モニタリング項目:
1. バイタルサイン(1時間毎)
• 体温:37.5℃→37.6℃(微増)
• 血圧:112/70mmHg
• 脈拍:88/分
• SpO2:97%
• 呼吸数:18回/分
2. 輸液管理
中心静脈カテーテル:
• 高カロリー輸液:2400kcal/24h継続
• 電解質補正:K 4.0mEq/L維持
• 水分出納:-100ml/6h
3. 免疫抑制剤投与状況
• タクロリムス血中濃度:11.8ng/mL
• 次回採血:翌朝6時
• 投与速度:2ml/h継続
4. 疼痛管理
• モルヒネ持続投与:0.5mg/h
• 疼痛スケール:5/10(軽減傾向)
• レスキュー使用:過去6時間なし」
同時刻、「Lumière」本社。
麗子は深夜まで新コレクションの詳細を詰めていた。
「Quatre - Rebirth Collection詳細:
1. Navy Dress - “Depth”
素材構成:
• メイン:フランス製シルクサテン
• レース:ベルギー製手編みレース
• 裏地:キュプラ100%
製作工程:
• パターン制作:80時間
• レース配置:120時間
• 本縫製:160時間
• 仕上げ:40時間
1. Black Dress - “Rebirth”
素材特性:
• 特殊加工シルク(光沢度200%)
• 背面カッティング:7枚はぎ
• クリスタル装飾:5000個使用
• 制作期間:45日」
夜8時、クリーンルーム。
村井医師が夜間回診に訪れる。
「夜間検査結果:
• WBC:250/μL(+50)
• Plt:2.2×10⁴/μL(+0.2)
• CRP:2.5mg/dL(-0.3)
明日の治療計画:
• 血小板輸血:10単位
• 免疫グロブリン:5g
• 抗生剤変更検討」

午後9時、クリーンルーム。
夜間の詳細なモニタリングが続く。
「夜間バイタル測定(21時):
• 体温:37.8℃(+0.2)
• 血圧:115/72mmHg
• 脈拍:90/分
• SpO2:96%
• 呼吸数:20回/分」
美咲は口内炎の痛みに耐えながら、窓の外の夜景を見つめていた。
「現在の治療状況:
• 高カロリー輸液:2400kcal/日
• 免疫抑制剤(タクロリムス):血中濃度12ng/mL
• 抗生剤:メロペネム 2g/日
• 抗真菌薬:ミカファンギン 150mg/日
• 抗ウイルス薬:アシクロビル 800mg/日」
一方、「Lumière」本社では、麗子が深夜まで新コレクションの制作指示を出していた。
「Rebirth Collection - Black Dress:
• 特殊加工シルク(光沢度200%)
• 背面デザイン:7枚接ぎ
• クリスタル装飾:5000個
• 制作期間:45日
• コンセプト:闇から光への再生」
深夜0時、村井医師が最終回診。
「生着までの道のりは、まだ始まったばかり」
その言葉が、静かな病室に響いた。

深夜0時30分、クリーンルーム。
夜間看護師による詳細な観察が続く。
「深夜帯バイタル測定:
• 白血球数:250/μL
• 血小板数:2.2×10⁴/μL
• 体温:37.5℃
• 疼痛レベル:5/10
• 口内炎:WHO基準グレード2」
「現在の治療内容:
• 免疫抑制剤:タクロリムス 0.05mg/kg/日
• 抗生剤:メロペネム
• 抗真菌薬:ミカファンギン
• 抗ウイルス薬:アシクロビル」
一方、「Lumière」本社アトリエ。
麗子は深夜まで新コレクションの制作に没頭していた。
「Quatre - Rebirthコレクション進捗:
• White Dress:完成
シフォンとクリスタルの調和
• Grey Dress:制作中
グラデーションとプリーツワーク
• Navy Dress:制作中
シルクサテンとレースの組み合わせ
• Black Dress:設計段階
特殊シルクによる革新的なカッティング」
展示会まで残り54日。
姉妹の物語は、新たな段階へと進もうとしていた。


深夜1時、クリーンルーム。
美咲の夜間モニタリングがより詳細に行われる。
「深夜帯詳細検査:
血液検査値
• 白血球:250/μL(前日比+50)
• 好中球:検出限界以下
• リンパ球:100/μL
• 血小板:2.2×10⁴/μL
• Hb:8.4g/dL
• CRP:2.5mg/dL
臓器機能
• AST:45 IU/L
• ALT:38 IU/L
• T-Bil:1.2mg/dL
• BUN:18mg/dL
• Cre:0.8mg/dL」
「輸液ポンプ設定(1時更新):
1. 高カロリー輸液
• 基本液:フルカリック3号 2000mL
• 投与速度:83mL/h
• 添加剤:
・水溶性ビタミン剤
・微量元素製剤
2. 免疫抑制剤
• タクロリムス:0.05mg/kg/日
• 投与速度:2mL/h
3. 疼痛管理
• モルヒネ持続注入:0.5mg/h
• 投与経路:中心静脈カテーテル」
一方、「Lumière」本社。
麗子は最後のデザイン修正を行っていた。
「Black Dress - “Rebirth” 詳細仕様:
構造設計
• 7枚接ぎバックパネル
• アシンメトリーネックライン
• サイドパネル特殊プリーツ加工
素材詳細
• 表地:特殊加工シルク(光沢度200%)
• 裏地:キュプラ100%
• レース:フランス製ハンドメイド
装飾
• スワロフスキークリスタル:5000個
• 配置:背面V字ライン集中
• 色調:ブラックダイヤモンド~ジェットブラック
制作工程
• パターン制作:120時間
• 本縫製:200時間
• 装飾付け:80時間
• 仕上げ:40時間」
深夜2時、クリーンルーム。
美咲は浅い眠りについていた。
モニター画面には安定したバイタルサインが表示され、
静かな夜が過ぎていく。

深夜3時、クリーンルーム。
夜間看護師による厳密な管理が続く。
「深夜帯モニタリング(3時):
環境管理
• 室温:24.0℃(基準値:24±1℃)
• 湿度:54%(基準値:55±5%)
• 室内気圧:+2.5Pa(陽圧管理)
• HEPAフィルター:正常稼働
• 清浄度:クラス100(ISO 5)
バイタルサイン
• 体温:37.3℃(-0.2℃)
• 血圧:112/68mmHg
• 脈拍:82/分
• SpO2:97%
• 呼吸数:16回/分
• 意識レベル:JCS 0」
「中心静脈カテーテル管理:
• 挿入部位:右内頸静脈
• 固定状態:良好
• 刺入部発赤:なし
• 滴下状態:良好
• ライン閉塞:なし
輸液ポンプ設定(3時更新):
1. 高カロリー輸液
• 残量:1250mL
• 予定量:2000mL/24h
• 実施量:750mL/12h
2. 免疫抑制剤
• タクロリムス残量:42mL
• 予定量:48mL/24h
• 実施量:24mL/12h」
一方、「Lumière」本社アトリエ。
麗子は夜を徹して制作指示書を完成させていた。
「Quatre Collection - 制作スケジュール:
Phase 1: White Dress “Innocence”
完成済
• 最終フィッティング待ち
• 展示用台座制作中
Phase 2: Grey Dress “Transition”
制作70%完了
• プリーツ加工:完了
• 装飾付け:進行中
• 完成予定:7日後
Phase 3: Navy Dress “Depth”
制作40%完了
• パターン修正:完了
• レース配置:進行中
• 完成予定:14日後
Phase 4: Black Dress “Rebirth”
制作20%完了
• パターン制作:完了
• 本縫製:開始
• 完成予定:21日後」
深夜3時30分。
美咲の病室を見守る月明かりの中、
姉妹の新たな物語が、静かに紡がれていく。

深夜4時、クリーンルーム。
夜間の詳細な経過観察が継続される。
「深夜帯検査データ(4時):
血液検査(6時間毎)
• 白血球:260/μL(+10)
• 好中球:検出限界以下継続
• 血小板:2.3×10⁴/μL(+0.1)
• Hb:8.3g/dL(-0.1)
生化学検査
• CRP:2.4mg/dL(-0.1)
• フェリチン:1200ng/mL
• β-Dグルカン:陰性
• CMV抗原:陰性
感染症モニタリング
• 体温:37.4℃
• 咽頭痛:軽度
• 口腔内潰瘍:WHO Grade 2継続
• 皮膚症状:発赤なし」
「治療プロトコル(4時更新):
1. 免疫抑制管理
• タクロリムス血中濃度:11.9ng/mL
• 投与速度:2mL/h継続
• 次回採血:6時
2. 感染予防対策
• メロペネム:500mg×4回/日
• ミカファンギン:150mg/日
• アシクロビル:200mg×4回/日
3. 支持療法
• G-CSF:300μg/日
• 制吐剤:グラニセトロン 3mg/日
• モルヒネ持続:0.5mg/h」
一方、「Lumière」本社。
麗子は最終デザインの詳細を固めていた。
「Black Dress “Rebirth” - 制作詳細:
素材構成
• 表地:特殊加工シルク(光沢度200%)
・生地幅:150cm
・使用量:12m
・原産:イタリア・コモ
• 裏地:キュプラ100%
・生地幅:140cm
・使用量:8m
・原産:日本・福井
装飾詳細
• スワロフスキークリスタル
・サイズ:SS12~SS20
・カラー:
ジェットブラック:2000個
ブラックダイヤモンド:2000個
メタリックシルバー:1000個
縫製仕様
• フランス縫い
• 隠しファスナー
• ハンドステッチ
• ビーズ刺繍」
深夜4時30分。
美咲の病室では、点滴の滴る音だけが静かに響いていた。

深夜5時、クリーンルーム。
夜明け前の最も厳重な観察時間帯に入る。
「深夜帯詳細データ(5時):
生着指標モニタリング
• 白血球:265/μL(+5)
• 好中球:検出限界以下
• 網状赤血球:0.2%
• 血小板:2.3×10⁴/μL
• CD34陽性細胞:0.8%
GVHD早期発見モニタリング
• 皮膚:Grade 0
• 肝臓:Grade 0
• 消化管:Grade 1
・下痢:200mL/日
・腹痛:軽度
臓器機能評価
• AST:42 IU/L(-3)
• ALT:36 IU/L(-2)
• T-Bil:1.1mg/dL
• BUN:17mg/dL
• Cre:0.7mg/dL」
「輸液管理(5時更新):
中心静脈カテーテル
• 挿入部位消毒:実施
• ドレッシング交換:実施
• 固定状態:良好
高カロリー輸液
• 基本液残量:850mL
• 予定量:2000mL/24h
• 積算量:1150mL/18h
免疫抑制剤
• タクロリムス残量:32mL
• 予定量:48mL/24h
• 積算量:36mL/18h」
一方、「Lumière」本社アトリエ。
麗子は夜明け前まで制作の最終確認を続けていた。
「Quatre Collection 制作進捗確認:
White Dress “Innocence”
• 完成度:100%
• 最終検品:完了
• 展示準備:進行中
Grey Dress “Transition”
• 完成度:75%
• プリーツ加工:完了
• 装飾工程:進行中
・クリスタル配置:60%
・ビーズ刺繍:40%
Navy Dress “Depth”
• 完成度:45%
• パターン修正:完了
• レース配置:進行中
・前身頃:完了
・後身頃:作業中
Black Dress “Rebirth”
• 完成度:25%
• パターン:完成
• 本縫製:開始
・表地裁断:完了
・芯貼り:進行中」
深夜5時30分。
東の空がわずかに明るみを帯び始める中、
美咲は静かな眠りについていた。
モニター画面には安定したバイタルサインが表示され、
新しい一日の始まりを告げていた。

午前6時、クリーンルーム。
夜明けとともに朝の採血と詳細検査が始まる。
「朝6時 検査データ:
血液検査(詳細)
• 白血球:270/μL(+5)
• 好中球:検出限界以下
• リンパ球:120/μL(+20)
• 単球:30/μL
• 血小板:2.4×10⁴/μL(+0.1)
• Hb:8.2g/dL
• Ht:24.6%
• 網状赤血球:0.3%(+0.1)
生化学検査
• TP:5.8g/dL
• Alb:3.2g/dL
• T-Bil:1.1mg/dL
• AST:40 IU/L
• ALT:35 IU/L
• LDH:280 IU/L
• ALP:250 IU/L
• γ-GTP:45 IU/L
• CRP:2.3mg/dL(-0.1)
免疫抑制剤
• タクロリムス血中濃度:12.1ng/mL
• 次回測定:18時」
「朝の処置内容:
1. 口腔ケア
• 含嗽剤による洗浄
• 口内炎評価:Grade 2継続
• 疼痛評価:NRS 4/10(改善傾向)
2. 中心静脈カテーテル管理
• 刺入部消毒
• ドレッシング交換
• 固定具交換
3. 輸液更新
• 高カロリー輸液:新規セット
• 免疫抑制剤:濃度調整後継続
• 抗生剤:メロペネム 0.5g開始」
一方、「Lumière」本社。
麗子は早朝から新たなデザイン修正に取り掛かっていた。
「Black Dress “Rebirth” 最終デザイン修正:
構造変更点
• バックパネル:7枚→9枚構成
• サイドライン:カーブ強調
• ウエストライン:立体構造追加
装飾追加
• クリスタル配置密度:30%増
• 背面V字ライン:幅3cm→4cm
• 光の反射角度:45度→60度
素材追加
• 特殊シルクオーガンジー
・使用箇所:後身頃overlay
・数量:2m追加
・効果:光の透過性強調」
朝6時30分。
美咲は朝日を浴びながら、静かに目を開けた。
「お姉ちゃんの作品…きっと素敵なものになるわ」
その言葉には、確かな希望が込められていた。

午前6時30分、クリーンルーム。
朝の詳細な検査と処置が始まる。
「朝の総合評価:
生着指標
• 白血球:270/μL(前日比+5)
• 好中球:検出限界以下継続
• 血小板:2.4×10⁴/μL
• 網状赤血球:0.3%
臓器機能評価
• AST:40 IU/L
• ALT:35 IU/L
• T-Bil:1.1mg/dL
• CRP:2.3mg/dL」
一方、「Lumière」本社。
麗子は早朝から新コレクションの仕上げ工程を確認していた。
「Black Dress “Rebirth” 最終仕様:
装飾詳細
• クリスタル配置:
前身頃:2000個(完了)
後身頃:3000個(進行中)
• 特殊加工:
シルクオーガンジーオーバーレイ
光の屈折率200%
• 制作工程:
本縫製:80%完了
装飾付け:60%完了」
午前7時、クリーンルーム。
村井医師が朝の回診に訪れる。
「生着までの道のりは、まだ始まったばかり。しかし、確実に前に進んでいます」
その言葉に、美咲は静かに頷いた。
窓の外では、新しい朝日が昇り始めていた。

午前8時、クリーンルーム。
朝日が病室を柔らかく照らす中、村井医師が最終評価を行っていた。
「本日の総合評価:
生着指標の変化(移植後7日目)
• 白血球:270/μL(上昇傾向)
• 好中球:検出限界以下
• 血小板:2.4×10⁴/μL(安定)
• 網状赤血球:0.3%(微増)
合併症評価
• 急性GVHD:Grade 0-1
• 感染症:制御良好
• 口内炎:改善傾向」
「Lumière」本社では、麗子が「Quatre」コレクションの完成に向けて最後の指示を出していた。
「今は、それぞれの戦いの途中」
真理子は静かに呟いた。
「でも、必ず光は見えてくる」
美咲のベッドサイドには、姉のデザイン画が飾られていた。
純白のドレスから漆黒のドレスへと変化する4つの衣装。
それは、姉妹の物語そのものを表現していた。
「お姉ちゃんの光が、私の中で新しい命になる」
美咲は窓の外を見つめながら、そっと微笑んだ。
生着までの道のりは、まだ始まったばかり。
しかし、確かな希望の光が、姉妹の新たな物語を照らし始めていた。
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