88 / 105
第三章 誰にでも秘密はある
3-28
しおりを挟む
ここまでの話を聞き、キャスティナは驚く。王子二人の陰湿さにもだが、王の頼りなさにも。キャスティナが、王族に良い印象を持てなかった事に納得した。それにしても、セリアの立ち位置の重大さに何とも言えない感情が胸の中を彷徨う。
横に座っているデリックを見ると、キャスティナと同様に驚いているようだった。
「ここまでの話は、理解出来たかな?」
ローレンスが、お茶で喉を潤しながらキャスティナに尋ねた。
「はい。私の国の王族というものを理解しました」
キャスティナは、残念な気持ちで一杯だ。
「まぁ、そう残念がるな。陛下達は問題あるが、実際に国を支えている貴族達は優秀な者ばかりなんじゃよ」
デズモンドが口を出す。
「そうなんですか……。セリア殿下は、今回の事は知ってるのでしょうか?」
「知っているよ。あの子には、可哀想な婚姻だった……。だが、あの子は皇太子妃という職業に就いたと思っている。プロとして、きちんと子供を産みしっかり育ててくれた。あの子は、ある意味この国のトップみたいなもんじゃな」
デズモンドが誇らしげに自分の孫について語る。キャスティナは、思った。自分なりに貴族の婚姻とは、家同士の政略結婚だと理解していた。理解していたはずだったけど、本当の意味でわかっていなかった。貴族としての位が上がれば上がるほど、自分の意思とは関係なしに結ばれる婚姻。そしてそこには、途轍もなく重大な使命がある。この国の立派な王を産むという。
それを立派にやってのけたセリアに、今まで以上の尊敬の念が込み上げる。今まで見てきた世界が狭かったキャスティナは、改めて世の中には素晴らしい人がたくさんいるのだと思った。
「それでな、キャスティナ。君に公爵家の養子になってもらおうと思うんじゃよ。どうかな?」
デズモンドが、淡々と述べる。キャスティナは、絶句する。
「はっ?」
あまりの事に、理解が追い付かない。今、公爵家の令嬢って生まれながらに大変なんだって思った所だから!公爵家ってどこよ?誰の養子なの?しかも、何で?
「まぁ、驚くわな。アルヴィン説明してあげなさい」
「キャスティナ、うちの両親の養子にならないか?うちは、女の子いないから丁度いいし」
今までずっと黙っていたアルヴィンが、軽い口調で話す。
「えっ?えぇぇぇぇぇー!!」
キャスティナは、驚きの余り大きな声を上げてしまった。
アルヴィンは、笑いながら理由を説明する。
実は、キャスティナが姿を消してから二日後にアランからキャスティナの実家に一通の手紙が届いた。その内容は、エヴァンが大怪我をして近衛騎士を続けられない。無職になるエヴァンに嫁がせるのは勿体ないから、私の側室にどうかというものだった。
その手紙を見たキャスティナの父親ハロルドが、すぐにコーンフォレスト家の屋敷に来た。もちろんエヴァンは、大怪我などしていない。ただ、ケガをしたのは本当だったので休みをもらい屋敷にいた。その為、エヴァンがハロルドと話をして、大怪我なんてアランの勘違いだと主張しキャスティナと婚約破棄するつもりはないとはっきりと述べた。
それでも、王室と縁を結びたいハロルドはキャスティナを一度家に連れ帰ろうとした。だが今は、お茶会に出かけていていないとエヴァンが断った。
エヴァンがケガをした事は、その場にいた者しか知らない。サディアスが襲われた件は、極秘とされていた。アランが知っていたという事は、自分が犯人だと言っている事になる。頭の悪さに、事情を知る者はみな苦笑いだったそうだ。
この事と、元々親子として扱われていなかった件両方を鑑みて、キャスティナを守るためにも公爵家の養子にした方がいいという事になった。あの父親では、何かあった時にキャスティナを守れないという判断だ。
横に座っているデリックを見ると、キャスティナと同様に驚いているようだった。
「ここまでの話は、理解出来たかな?」
ローレンスが、お茶で喉を潤しながらキャスティナに尋ねた。
「はい。私の国の王族というものを理解しました」
キャスティナは、残念な気持ちで一杯だ。
「まぁ、そう残念がるな。陛下達は問題あるが、実際に国を支えている貴族達は優秀な者ばかりなんじゃよ」
デズモンドが口を出す。
「そうなんですか……。セリア殿下は、今回の事は知ってるのでしょうか?」
「知っているよ。あの子には、可哀想な婚姻だった……。だが、あの子は皇太子妃という職業に就いたと思っている。プロとして、きちんと子供を産みしっかり育ててくれた。あの子は、ある意味この国のトップみたいなもんじゃな」
デズモンドが誇らしげに自分の孫について語る。キャスティナは、思った。自分なりに貴族の婚姻とは、家同士の政略結婚だと理解していた。理解していたはずだったけど、本当の意味でわかっていなかった。貴族としての位が上がれば上がるほど、自分の意思とは関係なしに結ばれる婚姻。そしてそこには、途轍もなく重大な使命がある。この国の立派な王を産むという。
それを立派にやってのけたセリアに、今まで以上の尊敬の念が込み上げる。今まで見てきた世界が狭かったキャスティナは、改めて世の中には素晴らしい人がたくさんいるのだと思った。
「それでな、キャスティナ。君に公爵家の養子になってもらおうと思うんじゃよ。どうかな?」
デズモンドが、淡々と述べる。キャスティナは、絶句する。
「はっ?」
あまりの事に、理解が追い付かない。今、公爵家の令嬢って生まれながらに大変なんだって思った所だから!公爵家ってどこよ?誰の養子なの?しかも、何で?
「まぁ、驚くわな。アルヴィン説明してあげなさい」
「キャスティナ、うちの両親の養子にならないか?うちは、女の子いないから丁度いいし」
今までずっと黙っていたアルヴィンが、軽い口調で話す。
「えっ?えぇぇぇぇぇー!!」
キャスティナは、驚きの余り大きな声を上げてしまった。
アルヴィンは、笑いながら理由を説明する。
実は、キャスティナが姿を消してから二日後にアランからキャスティナの実家に一通の手紙が届いた。その内容は、エヴァンが大怪我をして近衛騎士を続けられない。無職になるエヴァンに嫁がせるのは勿体ないから、私の側室にどうかというものだった。
その手紙を見たキャスティナの父親ハロルドが、すぐにコーンフォレスト家の屋敷に来た。もちろんエヴァンは、大怪我などしていない。ただ、ケガをしたのは本当だったので休みをもらい屋敷にいた。その為、エヴァンがハロルドと話をして、大怪我なんてアランの勘違いだと主張しキャスティナと婚約破棄するつもりはないとはっきりと述べた。
それでも、王室と縁を結びたいハロルドはキャスティナを一度家に連れ帰ろうとした。だが今は、お茶会に出かけていていないとエヴァンが断った。
エヴァンがケガをした事は、その場にいた者しか知らない。サディアスが襲われた件は、極秘とされていた。アランが知っていたという事は、自分が犯人だと言っている事になる。頭の悪さに、事情を知る者はみな苦笑いだったそうだ。
この事と、元々親子として扱われていなかった件両方を鑑みて、キャスティナを守るためにも公爵家の養子にした方がいいという事になった。あの父親では、何かあった時にキャスティナを守れないという判断だ。
92
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された公爵令嬢と、処方箋を無視する天才薬師 ――正しい医療は、二人で始めます
ふわふわ
恋愛
「その医療は、本当に正しいと言えますか?」
医療体制への疑問を口にしたことで、
公爵令嬢ミーシャ・ゲートは、
医会の頂点に立つ婚約者ウッド・マウント公爵から
一方的に婚約を破棄される。
――素人の戯言。
――体制批判は不敬。
そう断じられ、
“医療を否定した危険な令嬢”として社交界からも排斥されたミーシャは、
それでも引かなかった。
ならば私は、正しい医療を制度として作る。
一方その頃、国営薬局に現れた謎の新人薬師・ギ・メイ。
彼女は転生者であり、前世の知識を持つ薬師だった。
画一的な万能薬が当然とされる現場で、
彼女は処方箋に書かれたわずかな情報から、
最適な調剤を次々と生み出していく。
「決められた万能薬を使わず、
問題が起きたら、どうするつもりだ?」
そう問われても、彼女は即答する。
「私、失敗しませんから」
(……一度言ってみたかったのよね。このドラマの台詞)
結果は明らかだった。
患者は回復し、評判は広がる。
だが――
制度は、個人の“正
制度を変えようとする令嬢。
現場で結果を出し続ける薬師。
医師、薬局、医会、王宮。
それぞれの立場と正義が衝突する中、
医療改革はやがて「裁き」の局面へと進んでいく。
これは、
転生者の知識で無双するだけでは終わらない医療改革ファンタジー。
正しさとは何か。
責任は誰が負うべきか。
最後に裁かれるのは――
人か、制度か。
【完結】小公爵様の裏の顔をわたしだけが知っている
おのまとぺ
恋愛
公爵令息ルシアン・ド・ラ・パウルはいつだって王国の令嬢たちの噂の的。見目麗しさもさることながら、その立ち居振る舞いの上品さ、物腰の穏やかさに女たちは熱い眼差しを向ける。
しかし、彼の裏の顔を知る者は居ない。
男爵家の次女マリベルを除いて。
◇素直になれない男女のすったもんだ
◇腐った令嬢が登場したりします
◇50話完結予定
2025.2.14
タイトルを変更しました。(完結済みなのにすみません、ずっとモヤモヤしていたので……!)
妹と人生を入れ替えました〜皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです〜
鈴宮(すずみや)
恋愛
「俺の妃になって欲しいんだ」
従兄弟として育ってきた憂炎(ゆうえん)からそんなことを打診された名家の令嬢である凛風(りんふぁ)。
実は憂炎は、嫉妬深い皇后の手から逃れるため、後宮から密かに連れ出された現皇帝の実子だった。
自由を愛する凛風にとって、堅苦しい後宮暮らしは到底受け入れられるものではない。けれど憂炎は「妃は凛風に」と頑なで、考えを曲げる様子はなかった。
そんな中、凛風は双子の妹である華凛と入れ替わることを思い付く。華凛はこの提案を快諾し、『凛風』として入内をすることに。
しかし、それから数日後、今度は『華凛(凛風)』に対して、憂炎の補佐として出仕するようお達しが。断りきれず、渋々出仕した華凛(凛風)。すると、憂炎は華凛(凛風)のことを溺愛し、籠妃のように扱い始める。
釈然としない想いを抱えつつ、自分の代わりに入内した華凛の元を訪れる凛風。そこで凛風は、憂炎が入内以降一度も、凛風(華凛)の元に一度も通っていないことを知る。
『だったら最初から『凛風』じゃなくて『華凛』を妃にすれば良かったのに』
憤る凛風に対し、華凛が「三日間だけ元の自分戻りたい」と訴える。妃の任を押し付けた負い目もあって、躊躇いつつも華凛の願いを聞き入れる凛風。しかし、そんな凛風のもとに憂炎が現れて――――。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい
マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」
新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。
1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。
2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。
そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー…
別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート
オッドアイの伯爵令嬢、姉の代わりに嫁ぐことになる~私の結婚相手は、青血閣下と言われている恐ろしい公爵様。でも実は、とっても優しいお方でした~
夏芽空
恋愛
両親から虐げられている伯爵令嬢のアリシア。
ある日、父から契約結婚をしろと言い渡される。
嫁ぎ先は、病死してしまった姉が嫁ぐ予定の公爵家だった。
早い話が、姉の代わりに嫁いでこい、とそういうことだ。
結婚相手のルシルは、人格に難があるともっぱらの噂。
他人に対してどこまでも厳しく、これまでに心を壊された人間が大勢いるとか。
赤い血が通っているとは思えない冷酷非道なその所業から、青血閣下、という悪名がついている。
そんな恐ろしい相手と契約結婚することになってしまったアリシア。
でも実際の彼は、聞いていた噂とは全然違う優しい人物だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる