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第47話(デルロック視点)
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「き、貴様が私に対し、夢の中で『首都から離れた森の深くで、邪悪な研究を続けている魔女がいる』と言ったのだろうが!」
「そうさ。俺は、馬鹿なお前を利用して、お前らが魔女だと思ってるあの『聖女』を、どこか遠くにやっちまいたかったんだよ。理想を言えば、火あぶりにしちまうのが一番高ポイントだったんだが、まあ、追放でも充分だ。それで、魔力の供給が断たれた『加護の暖炉』は、じわじわと効果を失っていくからな」
「聖女だと……? 聞き間違いか? 貴様、今、魔女ラディアのことを、聖女と呼んだのか?」
「は~い、呼びました~、それが何か~?」
あまりにもふざけた物言いに、私は声を荒げる。
「戯言にもほどがある! 聖女とは読んで字のごとく、聖なる力を宿した女のことだ。それは、魔女とは対極の立場にある存在! あの魔女ラディアが、聖女のはずないだろう!?」
「ぎゃんぎゃん怒鳴るなよ、うるせーな。お前、なんか焦ってねーか? ふふふ、お前もさ、内心、気づいてんだろ? 自分が悪魔にそそのかされて、とんでもないことをしちまったってことをさ」
その通りだった。昨日から、何度も頭の中に囁きかけてきた、あの声――『愚か者。お前は、してはならぬことをした』という言葉の意味が、本当はずっと気になって、仕方がなかった。
黙り込んでしまった私に対し、悪魔は教師のように語り続ける。
「お前、今『魔女と聖女が対極の存在』とか言ってたけどさ、実際は同じなんだよ。どっちも、常人を遥かに超えた魔力の持ち主で、人々に害をなす方が『魔女』と呼ばれ、人々に利益をもたらす方が『聖女』って呼ばれるだけさ。ふふ、ただの言葉遊びだな」
「…………」
「あのラディアは、この国の人間たちにとって、非常に大きな利益をもたらしていた『聖女』だった。何せ、奴の魔力が『加護の暖炉』に力を与え、毒の霧の発生を防いでいたんだからな。くくく、ラディア自身は、そんなこと、思いもしていなかっただろうけどね」
「……さっきも言っていたが、その『加護の暖炉』とは、なんだ?」
「わかりやすく言うなら、『土地神』が作った、大地を守る装置さ。動作させるためには、とんでもない量の魔力が必要で、土地神のオッサンは、何十年かに一度、どこかから聖女を連れてきて、その守護を任せるんだ。……お前、ラディアの家を燃やしちまったんだろ? 焼け跡から、何か『光るもの』を発見しなかったか?」
私は、無言でうなずいた。
悪魔も満足げにうなずき、話はまだ続く。
「そいつが、『加護の暖炉』のコアにあたる部分だ。そのコアを包んでいる暖炉が壊れちまうと、光はすぐに消えてしまう。……いや、本当に、お前はよくやってくれたよ。『加護の暖炉』を直接壊すように指示するのは『ルール』違反だから、俺は何も言わなかったが、まさか自発的にぶっ壊してくれるとはな」
「……『ルール』とは、なんのことだ? 確か、以前父上も、そのようなことを言っていたが」
「そうさ。俺は、馬鹿なお前を利用して、お前らが魔女だと思ってるあの『聖女』を、どこか遠くにやっちまいたかったんだよ。理想を言えば、火あぶりにしちまうのが一番高ポイントだったんだが、まあ、追放でも充分だ。それで、魔力の供給が断たれた『加護の暖炉』は、じわじわと効果を失っていくからな」
「聖女だと……? 聞き間違いか? 貴様、今、魔女ラディアのことを、聖女と呼んだのか?」
「は~い、呼びました~、それが何か~?」
あまりにもふざけた物言いに、私は声を荒げる。
「戯言にもほどがある! 聖女とは読んで字のごとく、聖なる力を宿した女のことだ。それは、魔女とは対極の立場にある存在! あの魔女ラディアが、聖女のはずないだろう!?」
「ぎゃんぎゃん怒鳴るなよ、うるせーな。お前、なんか焦ってねーか? ふふふ、お前もさ、内心、気づいてんだろ? 自分が悪魔にそそのかされて、とんでもないことをしちまったってことをさ」
その通りだった。昨日から、何度も頭の中に囁きかけてきた、あの声――『愚か者。お前は、してはならぬことをした』という言葉の意味が、本当はずっと気になって、仕方がなかった。
黙り込んでしまった私に対し、悪魔は教師のように語り続ける。
「お前、今『魔女と聖女が対極の存在』とか言ってたけどさ、実際は同じなんだよ。どっちも、常人を遥かに超えた魔力の持ち主で、人々に害をなす方が『魔女』と呼ばれ、人々に利益をもたらす方が『聖女』って呼ばれるだけさ。ふふ、ただの言葉遊びだな」
「…………」
「あのラディアは、この国の人間たちにとって、非常に大きな利益をもたらしていた『聖女』だった。何せ、奴の魔力が『加護の暖炉』に力を与え、毒の霧の発生を防いでいたんだからな。くくく、ラディア自身は、そんなこと、思いもしていなかっただろうけどね」
「……さっきも言っていたが、その『加護の暖炉』とは、なんだ?」
「わかりやすく言うなら、『土地神』が作った、大地を守る装置さ。動作させるためには、とんでもない量の魔力が必要で、土地神のオッサンは、何十年かに一度、どこかから聖女を連れてきて、その守護を任せるんだ。……お前、ラディアの家を燃やしちまったんだろ? 焼け跡から、何か『光るもの』を発見しなかったか?」
私は、無言でうなずいた。
悪魔も満足げにうなずき、話はまだ続く。
「そいつが、『加護の暖炉』のコアにあたる部分だ。そのコアを包んでいる暖炉が壊れちまうと、光はすぐに消えてしまう。……いや、本当に、お前はよくやってくれたよ。『加護の暖炉』を直接壊すように指示するのは『ルール』違反だから、俺は何も言わなかったが、まさか自発的にぶっ壊してくれるとはな」
「……『ルール』とは、なんのことだ? 確か、以前父上も、そのようなことを言っていたが」
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