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第142話
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フェルヴァ・アストラスとの対面から、一夜明けた早朝。
私は、リーゼルと共に、空を飛んでいた。
故郷を旅立つ際に持ってきた箒に、二人乗りでだ。
ちらりと後ろを振り返ると、昨日まで滞在していた町が、もう、あんなに遠い。
そう。
私たちは、国を出たのである。
何故、そんなことになったのか?
簡潔に言うと、警察から逃げたのだ。
……いや、この説明だと、簡潔過ぎて、何か犯罪をしでかして逃げたみたいに聞こえるわね。仕方ない、もう少し詳しく話しましょうか。
昨日(と言っても、午前0時を回っていたので、正確には今日の深夜ということになるのだろうが)フェルヴァが作った魔法の太陽を跳ね返した私たちは疲れ切り、リーゼルの家に帰って休もうとしたのだが、その途中、警察によって、職務質問を受けたのである。
もっとも、私たちだけが、特別怪しまれていたわけではなく、あの時間に町を歩いている者は皆、職務質問を受けていた。警察官たちは、あの魔法の太陽がなんであったのかを調査するために、人々から広く情報を集めていたのだろう。
私とリーゼルは、警察官たちに、フェルヴァのことを詳しく教えるか迷った。迷った結果、やはり、話しておくべきだろうという結論になった。……だが、話をする前に、まず身分証の提示を求められ、非常に困ったことに気がついたのである。
……よく考えたら、私って、正規の手続きを経ずに勝手に国に入った、不法入国者なのよね。リーゼルは一応身分証を持っているが、子供の姿に戻った今、身分証の写真や生年月日と、明らかに外見が一致しないので、そんなものを見せても、警察は納得しないに違いない。
つまり私たちは、不法入国者と、身元不明の子供の、超怪しい二人組ということになる。このまま警察と話していたら、絶対に面倒なことになると思った私とリーゼルは、『お話の前にお化粧直しをさせてくださいまし』と言い、その隙に逃げ出したのである。
警察官たちは、逃げた私たちに気がつき、一時的に追いかけてきたが、その追走は、それほど執拗ではなかった。私とリーゼルは、裏路地に入って警察をまくと、魔法で空を飛び、国を出た。しばらくは、いつ追手が来るかとヒヤヒヤしたが、誰も、国の外までは追いかけてこなかった。
私は、リーゼルと共に、空を飛んでいた。
故郷を旅立つ際に持ってきた箒に、二人乗りでだ。
ちらりと後ろを振り返ると、昨日まで滞在していた町が、もう、あんなに遠い。
そう。
私たちは、国を出たのである。
何故、そんなことになったのか?
簡潔に言うと、警察から逃げたのだ。
……いや、この説明だと、簡潔過ぎて、何か犯罪をしでかして逃げたみたいに聞こえるわね。仕方ない、もう少し詳しく話しましょうか。
昨日(と言っても、午前0時を回っていたので、正確には今日の深夜ということになるのだろうが)フェルヴァが作った魔法の太陽を跳ね返した私たちは疲れ切り、リーゼルの家に帰って休もうとしたのだが、その途中、警察によって、職務質問を受けたのである。
もっとも、私たちだけが、特別怪しまれていたわけではなく、あの時間に町を歩いている者は皆、職務質問を受けていた。警察官たちは、あの魔法の太陽がなんであったのかを調査するために、人々から広く情報を集めていたのだろう。
私とリーゼルは、警察官たちに、フェルヴァのことを詳しく教えるか迷った。迷った結果、やはり、話しておくべきだろうという結論になった。……だが、話をする前に、まず身分証の提示を求められ、非常に困ったことに気がついたのである。
……よく考えたら、私って、正規の手続きを経ずに勝手に国に入った、不法入国者なのよね。リーゼルは一応身分証を持っているが、子供の姿に戻った今、身分証の写真や生年月日と、明らかに外見が一致しないので、そんなものを見せても、警察は納得しないに違いない。
つまり私たちは、不法入国者と、身元不明の子供の、超怪しい二人組ということになる。このまま警察と話していたら、絶対に面倒なことになると思った私とリーゼルは、『お話の前にお化粧直しをさせてくださいまし』と言い、その隙に逃げ出したのである。
警察官たちは、逃げた私たちに気がつき、一時的に追いかけてきたが、その追走は、それほど執拗ではなかった。私とリーゼルは、裏路地に入って警察をまくと、魔法で空を飛び、国を出た。しばらくは、いつ追手が来るかとヒヤヒヤしたが、誰も、国の外までは追いかけてこなかった。
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