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第9話
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月曜から土曜まで、正直言って、大したことのない賞金首ばかりで、私は拍子抜けしていた。皆、一応は悪名高い賞金首なのだから、もっと刺激的な戦いが楽しめると思ってたのに……
おっと、駄目ね、こういう考え方は。
まるで私が、強敵に飢えている戦闘狂みたいじゃない。
駄目よ、駄目駄目。
私、そんな、戦闘マニア的な変態じゃないんだから。
懸賞首をやっつけて、懸賞金が貰えて、そして、世の中も平和になる。それで充分なのよ。さあ、気を取り直して、残った最後の懸賞首を倒しに行くとしますか。
というわけで、日曜日。
今日のターゲットは、町から離れたところにある洞穴で、一人、黙々と修行をしているお坊さんだ。……ちょっと待って、なんで、お坊さんが、賞金首なわけ?
洞穴までの道中で、そう思い、私は首をかしげる。
……いや、まあ、懸賞金をかけられてるくらいだから、きっと何か、悪いことをしたのだろう。深く考える必要はない。サーチ・アンド・デストロイ、悪・即・滅よ。
そして、目的地である洞穴に到着し、外から様子を伺う。
洞穴の中は、かなり暗いわね。外が明るい分、暗闇に目が慣れる前に襲ってこられたら、ちょっと面倒だわ。できれば、日の光の下で戦いたいんだけど。
しかし、ターゲットのお坊さんは、ずっと洞穴に籠っているとのことだから、外に出てくることは考えにくいだろう。やはり、こっちから行くしかないか。私は覚悟を決め、湿っぽい洞穴の中へと足を踏み入れた。
洞穴の入り口は狭かったが、中は思った以上に広く、奥行きがあった。
十五分ほど歩き続けたところで、最深部に到達する。
そこは、これまで以上に開けた空間になっていた。
これなら、たとえ激しい戦いになったとしても、存分に飛び跳ねることができるだろう。……ただ、最初から予想していたことではあったが、暗い。洞穴の入り口から随分と離れているので、陽光もまったく届かない。
ここまでの道のりで、多少は暗闇に目が慣れたが、今回のターゲットは、ずっとこの洞穴にとどまっていて、暗闇と同化しているような人間だ。視覚の面では、私が不利なのは間違いないだろう。
そんなことを考えていると、突然、暗闇が揺らめいた。
同時に、落ち着いた、静かな声が響いてくる。
「おや、お客さんですか。めずらしいですね」
本当に落ち着いた、壮年男性の声だった。
もしかしなくても、この声の主が、今回のターゲットであるお坊さんだろう。
……参ったわね。私も、かなり暗闇に目が慣れてきているはずなのに、この距離に近づくまで、お坊さんの存在に気がつくことができなかった。それは、このお坊さんが、完全に自分の気配を消すことができるということだ。
おっと、駄目ね、こういう考え方は。
まるで私が、強敵に飢えている戦闘狂みたいじゃない。
駄目よ、駄目駄目。
私、そんな、戦闘マニア的な変態じゃないんだから。
懸賞首をやっつけて、懸賞金が貰えて、そして、世の中も平和になる。それで充分なのよ。さあ、気を取り直して、残った最後の懸賞首を倒しに行くとしますか。
というわけで、日曜日。
今日のターゲットは、町から離れたところにある洞穴で、一人、黙々と修行をしているお坊さんだ。……ちょっと待って、なんで、お坊さんが、賞金首なわけ?
洞穴までの道中で、そう思い、私は首をかしげる。
……いや、まあ、懸賞金をかけられてるくらいだから、きっと何か、悪いことをしたのだろう。深く考える必要はない。サーチ・アンド・デストロイ、悪・即・滅よ。
そして、目的地である洞穴に到着し、外から様子を伺う。
洞穴の中は、かなり暗いわね。外が明るい分、暗闇に目が慣れる前に襲ってこられたら、ちょっと面倒だわ。できれば、日の光の下で戦いたいんだけど。
しかし、ターゲットのお坊さんは、ずっと洞穴に籠っているとのことだから、外に出てくることは考えにくいだろう。やはり、こっちから行くしかないか。私は覚悟を決め、湿っぽい洞穴の中へと足を踏み入れた。
洞穴の入り口は狭かったが、中は思った以上に広く、奥行きがあった。
十五分ほど歩き続けたところで、最深部に到達する。
そこは、これまで以上に開けた空間になっていた。
これなら、たとえ激しい戦いになったとしても、存分に飛び跳ねることができるだろう。……ただ、最初から予想していたことではあったが、暗い。洞穴の入り口から随分と離れているので、陽光もまったく届かない。
ここまでの道のりで、多少は暗闇に目が慣れたが、今回のターゲットは、ずっとこの洞穴にとどまっていて、暗闇と同化しているような人間だ。視覚の面では、私が不利なのは間違いないだろう。
そんなことを考えていると、突然、暗闇が揺らめいた。
同時に、落ち着いた、静かな声が響いてくる。
「おや、お客さんですか。めずらしいですね」
本当に落ち着いた、壮年男性の声だった。
もしかしなくても、この声の主が、今回のターゲットであるお坊さんだろう。
……参ったわね。私も、かなり暗闇に目が慣れてきているはずなのに、この距離に近づくまで、お坊さんの存在に気がつくことができなかった。それは、このお坊さんが、完全に自分の気配を消すことができるということだ。
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