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第10話
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完全に自分の気配を消す――
口で言うのは簡単だが、実際は、そうそうできることではない。忍者やアサシンでも、闇と自分の存在を同化させるがごとく、気配を断てるようになるまでには、相当に長い訓練期間が必要だという。
間違いない。この男、何かの達人だ。
強いわよ。これまで戦った懸賞首とは、比較にならないほど。
私の心の中に、緊張感と共に、不思議なときめきが芽生える。
って、待った待った。
なに、ときめいてるのよ。
強敵と出会ってときめくなんて、バトルマニアの変態じゃないの。
違うわ、私、そんなんじゃない。
私は自分をごまかすように、お坊さんに話しかけた。
「はじめまして、私、バウンティハンターのディーナといいます。……あなたに懸賞金がかけられていることは、ご存じですね? 初対面で失礼ですが、倒させてもらいますよ。もちろん、あなたに降参する意思がなければの話ですが」
自然と、敬語になっていた。
相手も敬語だったし、暗闇の中、いきなり襲いかかってくるようなケダモノでもなかったので、無意識に、こっちもそれなりの敬意を表そうと思ったのだろう。
そして再び、暗闇が揺らめいた。
どうやら、お坊さんが、微笑したらしい。
「これはこれは、拙僧のような賞金首に対し、丁寧な自己紹介、ありがとうございます。……ディーナさん、ですか。そのお名前、そして、そのお顔……まさか、勇者パーティーの一員であらせられる、聖女ディーナ様、なのですか?」
これは驚いた。
バウンティハンターになってから、私が聖女ディーナであることに気がついた人間など皆無だったのだが、まさかこんな、世捨て人のような生活をしているお坊さんが、私のことを知っているとは。
そして、私の警戒心は、さらに一段階、ギアが上がった。今、このお坊さんは、『そのお顔』と言った。わずかな光すら差し込まない暗黒の中、彼には私の顔が、ちゃんと見えているということだ。
こっちも、もうちょっとだけ暗闇に目を慣らすために、あと少し、時が欲しい。私は、お坊さんと会話をして、時間を稼ぐことにした。
「勇者パーティーの一員だったのは、もう一週間以上前のことですけどね」
「ほお、そうなのですか? 現在は、休暇中なのですかな?」
まるで世間話でもするような、朗らかな問いに、私は苦笑してしまう。このお坊さんからは、これまで出会った賞金首たちのような、敵意や悪意のようなものが、まったく感じられない。むしろ、安心感すら覚える。
この人、本当に賞金首なのかしら――
そんなことを思いながらも、私は素直に質問に答えた。
「それが、他のメンバーと折り合いが悪くって、ほとんど追い出されるみたいな形で、クビにされちゃったんです。で、さっき言った通り、今ではこうして、賞金首を狩って、生活費を稼ぐ毎日ってわけです」
口で言うのは簡単だが、実際は、そうそうできることではない。忍者やアサシンでも、闇と自分の存在を同化させるがごとく、気配を断てるようになるまでには、相当に長い訓練期間が必要だという。
間違いない。この男、何かの達人だ。
強いわよ。これまで戦った懸賞首とは、比較にならないほど。
私の心の中に、緊張感と共に、不思議なときめきが芽生える。
って、待った待った。
なに、ときめいてるのよ。
強敵と出会ってときめくなんて、バトルマニアの変態じゃないの。
違うわ、私、そんなんじゃない。
私は自分をごまかすように、お坊さんに話しかけた。
「はじめまして、私、バウンティハンターのディーナといいます。……あなたに懸賞金がかけられていることは、ご存じですね? 初対面で失礼ですが、倒させてもらいますよ。もちろん、あなたに降参する意思がなければの話ですが」
自然と、敬語になっていた。
相手も敬語だったし、暗闇の中、いきなり襲いかかってくるようなケダモノでもなかったので、無意識に、こっちもそれなりの敬意を表そうと思ったのだろう。
そして再び、暗闇が揺らめいた。
どうやら、お坊さんが、微笑したらしい。
「これはこれは、拙僧のような賞金首に対し、丁寧な自己紹介、ありがとうございます。……ディーナさん、ですか。そのお名前、そして、そのお顔……まさか、勇者パーティーの一員であらせられる、聖女ディーナ様、なのですか?」
これは驚いた。
バウンティハンターになってから、私が聖女ディーナであることに気がついた人間など皆無だったのだが、まさかこんな、世捨て人のような生活をしているお坊さんが、私のことを知っているとは。
そして、私の警戒心は、さらに一段階、ギアが上がった。今、このお坊さんは、『そのお顔』と言った。わずかな光すら差し込まない暗黒の中、彼には私の顔が、ちゃんと見えているということだ。
こっちも、もうちょっとだけ暗闇に目を慣らすために、あと少し、時が欲しい。私は、お坊さんと会話をして、時間を稼ぐことにした。
「勇者パーティーの一員だったのは、もう一週間以上前のことですけどね」
「ほお、そうなのですか? 現在は、休暇中なのですかな?」
まるで世間話でもするような、朗らかな問いに、私は苦笑してしまう。このお坊さんからは、これまで出会った賞金首たちのような、敵意や悪意のようなものが、まったく感じられない。むしろ、安心感すら覚える。
この人、本当に賞金首なのかしら――
そんなことを思いながらも、私は素直に質問に答えた。
「それが、他のメンバーと折り合いが悪くって、ほとんど追い出されるみたいな形で、クビにされちゃったんです。で、さっき言った通り、今ではこうして、賞金首を狩って、生活費を稼ぐ毎日ってわけです」
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