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第二部 獣人武闘祭
第164話
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私の貯金袋には100ゴールド金貨が百枚は入っているので、なるほど、確かに鼻の利く獣人なら、お金の匂いを嗅ぎつけ、盗みたいと思ってもおかしくないかもしれない。
……なんだ、深い事情があるかと思ったが、結局はただのコソ泥か。
私はがっかりした。
「鍵はどうやって開けたの? ピッキング?」
「そんな面倒なことしないニャ。ドアノブをぶん殴ったら勝手に開いたニャ」
「なんて適当なドアなの……明日から泊まるところを変えた方がいいわね」
「それがいいニャ」
うんうんと頷く少女に私は向き直ると、襟を正すように一度咳ばらいをする。
「さて、獣人の女の子さん」
「僕にはミャオって名前があるニャ」
「じゃあミャオさん。あなたのしたことは器物損壊に不法侵入、暴行、そして一万ゴールドの窃盗。これらを合わせるとかなりの罪になる。それはわかるわね?」
「ニャッ。器物損壊、不法侵入、暴行まではわかるけど、一万ゴールドの窃盗は納得いかんニャ。僕はその袋から二千ゴールドだけ借りて、しかも最終的には返済するつもりだったニャ。減刑をお願いしますニャ」
「どういうこと?」
「僕は普段、自給自足の生活をしてるからお金なんていらニャいけど、理由があって、明日までにどうしても二千ゴールドが必要なのニャ。だから、悪いことだとは分かってたけど、空き巣をしてしまったニャ……それについては、申し訳ないと思ってるニャ……」
ミャオは本当に申し訳なさそうにしょんぼりとうなだれる。それにつられるように濃紺の尻尾も垂れ下がっているので、嘘ではないのだろう。
「どうして、二千ゴールドが必要なの?」
「ニャッ。J1グランプリに出るためのエントリー料金ニャ」
「じぇいわんぐらんぷり?」
「そうニャ」
「何それ。何かの大会?」
「まさか、知らないニャ!? J1グランプリを!? こいつぁとんだ世間知らずもいたもんニャ!」
こんな馬鹿いるのかと言いたげな表情で爆笑しながら、ミャオは私を指さした。私はその手をガッチリと掴むと、引きずるようにしてドアへと向かう。
「よし、それじゃ今すぐ警察に行きましょうか、窃盗犯さん」
「ごめんなさいニャ。J1グランプリについて詳しく説明するので許してくださいニャ」
「よろしい」
……なんだ、深い事情があるかと思ったが、結局はただのコソ泥か。
私はがっかりした。
「鍵はどうやって開けたの? ピッキング?」
「そんな面倒なことしないニャ。ドアノブをぶん殴ったら勝手に開いたニャ」
「なんて適当なドアなの……明日から泊まるところを変えた方がいいわね」
「それがいいニャ」
うんうんと頷く少女に私は向き直ると、襟を正すように一度咳ばらいをする。
「さて、獣人の女の子さん」
「僕にはミャオって名前があるニャ」
「じゃあミャオさん。あなたのしたことは器物損壊に不法侵入、暴行、そして一万ゴールドの窃盗。これらを合わせるとかなりの罪になる。それはわかるわね?」
「ニャッ。器物損壊、不法侵入、暴行まではわかるけど、一万ゴールドの窃盗は納得いかんニャ。僕はその袋から二千ゴールドだけ借りて、しかも最終的には返済するつもりだったニャ。減刑をお願いしますニャ」
「どういうこと?」
「僕は普段、自給自足の生活をしてるからお金なんていらニャいけど、理由があって、明日までにどうしても二千ゴールドが必要なのニャ。だから、悪いことだとは分かってたけど、空き巣をしてしまったニャ……それについては、申し訳ないと思ってるニャ……」
ミャオは本当に申し訳なさそうにしょんぼりとうなだれる。それにつられるように濃紺の尻尾も垂れ下がっているので、嘘ではないのだろう。
「どうして、二千ゴールドが必要なの?」
「ニャッ。J1グランプリに出るためのエントリー料金ニャ」
「じぇいわんぐらんぷり?」
「そうニャ」
「何それ。何かの大会?」
「まさか、知らないニャ!? J1グランプリを!? こいつぁとんだ世間知らずもいたもんニャ!」
こんな馬鹿いるのかと言いたげな表情で爆笑しながら、ミャオは私を指さした。私はその手をガッチリと掴むと、引きずるようにしてドアへと向かう。
「よし、それじゃ今すぐ警察に行きましょうか、窃盗犯さん」
「ごめんなさいニャ。J1グランプリについて詳しく説明するので許してくださいニャ」
「よろしい」
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