二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第168話

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「ねえ、ミャオ。一応言っておくけど、もう誰かのお金を取ろうとしちゃ駄目よ。それに、あなたの拳足は、すでに必殺の凶器だわ。むやみやたらに振り回して喧嘩に使うのも駄目だからね」

「ニャッ。盗みはもう二度としませんニャ。そもそも基本的に僕はお金なんかに興味ないニャ。拳足を喧嘩に使うな……というのは、まあ相手次第で考えますニャ」

「ちょっとちょっと」

「心配しなくても、弱いものいじめや悪いことなんかには使わないニャ。でも、生意気な奴は適度にぶっ飛ばしてやらなきゃ駄目ニャ。それがネコカラテニャ」

 そう言って拳を握り締めるミャオの瞳には、何か信念めいた灯が宿っている。
 彼女にネコカラテを指導した父親の教えなのだろうか。

「うーん、まあ、悪いことに使わないなら、別にいいか」

「はいニャ」

「それじゃ、達者でね。J1グランプリでの健闘を祈ってるわ。さて、私は新しい宿でも探そうかな」

 ミャオから視線を切り、私は少ない荷物をまとめ始める。そこそこ気に入っていた部屋だったが、パンチ一発で鍵が開くような防犯体制の宿にはこれ以上泊まっていられない。

「そういえば、宿の代金って、いくらくらいかかるニャ? 僕は泊まったことないからちょっと興味あるニャ」

 唐突に、ミャオが聞いてきた。

「えーっと、この宿だと、確か一泊100ゴールドだったかな」

「そんなに取られるニャ!? じゃあ、一ヶ月泊まったら3100ゴールドニャ!?」

「まあ、そういうことになるわね」

「ぼったくりニャ! クソみたいな鍵しかつけてニャいくせに!」

「女の子が汚い言葉を使うんじゃありません」

「はいニャ」

 そこで、会話は途切れる。
 五分ほどして、私の身支度は終わった。
 一息ついたのを見計らって、ミャオがまた話しかけてきた。

「ねえ、ディーナさん」

「どうしたの? まだ何か用?」

「うちに泊まるといいニャ」

「えっ?」

「だから、僕のうちに泊まるといいって言ってるニャ。ぼったくりの宿なんかにお金を払うのはもったいないニャ」

「いや、でも」

「遠慮はいらんニャ。僕は一人暮らしだから、泊まるスペースはいくらでもあるニャ。二千ゴールドのお礼ニャ。何日でもゆっくりしていくといいニャ」
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