二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第174話

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 ずるずると引き伸ばしても、彼女のためにならない。
 私は、覚悟を決めて、言った。

「とてもじゃないけど、あなたがJ1グランプリで優勝するのは無理よ。組み技がどうとか言う以前に、打撃の防御すらまともにできないんじゃ、話にならないわ」

「ニャッ……」

 ミャオは、驚きに目を見開き、絶句した。自分では少しも気がついていなかったのだろうか、自らの防御技術の、あまりの未熟さについて。

「えっと、その、出ていったお父さんから、防御については、ちゃんと習ったの?」

 立ち入ったことかとも思ったが、聞いてみる。
 ミャオは俯き、黙ったまま、答えない。
 これは、肯定とみるべきか、それとも否定とみるべきなのか。

 考えあぐねていると、ミャオは静かに口を開いた。

「お父上様は、僕に攻撃技術を一通り教えた後、防御の修練に入る前に、出ていったニャ……」

 ミャオの大きな瞳は、今にも零れ落ちそうなほどに潤んでいた。

「ミャオ、お前本当にワシの娘か? まったく才能を感じんぞ。まあ、いい。もうネコカラテはやらんでいい。やったところで時間の無駄だ。何の意味もない。残りの人生は、お前の好きなように生きろ。まあ、お前は頭が悪いから、コソ泥か花売りくらいしか道はないかもしれんがな」

 先ほどまでの元気な様子からは想像もできない、蚊の鳴くような声で、ミャオはそう言った。

「……そう言って、お父上様は出ていったニャ。一言一句、忘れないニャ。……忘れられないニャ」

 柳のようにうなだれた顔は、涙と鼻水でべちょべちょだった。

 私は、なんてことを聞いてしまったのだと、後悔した。
 それから、腹の底が燃えるような怒りを感じた。
 ミャオの父親に対してだ。

 必死に修行に打ち込んできた娘に対して、よくもそんな惨いことが言える。それも、ろくに最後まで教えもしないで。……そんな最低の父親を、ミャオは今でも『お父上様』と呼んで敬愛しているのだ。J1グランプリで優勝して、また会いたいとさえ思っているのだ。その健気さと哀れさに、こちらの瞳まで潤みそうだった。

「やっぱり、僕、才能ないのかニャ……」

「そんなことないわ。ミャオの打撃は本物よ。才能のない者が、あれだけの技を身に着けられるはずないじゃない」
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