二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第187話

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「カズネさん、いったい何を……?」

「ディーナ様。失礼いたします」

「えっ? んんんんん~っ!?」

 私は、今まで発したことのないような、情けない驚きの叫びをあげた。

 いや、正確にはあげたのではない。
 口の中でくぐもった呻きとなったと言うべきか。

 何故かと言うと、私の唇は、血濡れたカズネの唇で塞がれていたからだ。
 彼女の血の味と共に、柔らかな感触とぬくもりが伝わってくる。

 ミャオは、文字通り目を点にして私たちを眺めていた。

 やがて、カズネは私から唇を離す。
 その瞳は、熱に浮かされたように潤んでいた。

「これで、『血の契り』は完了いたしました」

「血の……契り?」

 ぽかんと口を開けて固まったままのミャオに代わり私が尋ねると、カズネはたおやかに微笑んで頷く。

「我がゾーダンク一族の女には、掟があります。戦いの果てに、心から敗北を認められる強者と出会ったのならば、その者の妻となり、強き子を孕まねばならないとう掟が。……その誓約の証こそが、血濡れた唇での接吻――『血の契り』なのです」

「は、はぁ……そうなんですか」

「そうなんです……ああ……誰よりも強く、そしてお優しいディーナ様は、これ以上ない、究極の結婚相手です……私の父、ヴィト・ゾーダンクも、きっと喜んでくれるでしょう……」

 駄目だ。あまりの急展開に、頭がついて行かない。

「父は常々、ディーナ様――いえ、旦那様のことを、『人間は弱い種族だが、ワシを倒したあの女は、本当に凄い奴だった。奴こそ真の闘士だ』と嬉しそうに言っていました。どうして自分を倒した相手のことを嬉しそうに語るのか、以前の私には理解できませんでしたが、今なら分かる気がします……これが、愛なのですね……」

 いつの間にか旦那様にされてしまっている。
 あと、ゾーダンクって、名前じゃなくて苗字だったんだ。

 いや、今はそんなことどうでもいい。
 どうしよう、この状況。
 どう、対応すればいいのだろう。

 私はとりあえず深呼吸して、カズネをじっと見る。
 彼女は、照れたように視線を逸らせた。

 可愛い反応である。いや、可愛いのは、反応だけではない。先程は薄汚れた道着にばかり目が行って、カズネの容姿自体はあまり丁寧に見なかった。こうしてよく見ると、とてつもない美少女であることがわかる。

 それに、厚い道着越しでも、出るとこがしっかり出たボディラインが見て取れる。少なくとも、ミャオよりかなり女っぽい体つきのようだ。
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