二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

文字の大きさ
336 / 389
第二部 獣人武闘祭

第336話(シルヴァ視点)

しおりを挟む
 対する、狐仮面――カズネ・ゾーダンクは、化け物や。
 こないだ、少し手合わせしただけで、いやんなるほど分かったわ。

 この世の中には、並の才能では、どんなに努力しても絶対に届かない、ほんまもんの天才がおる。カズネ・ゾーダンクが、まさにそれや。

 お姉ちゃんのハツネにはかわいそうやけど、獣人格闘技界の英雄、ヴィト・ゾーダンクの血と才能は、そのほとんどがカズネ・ゾーダンクに受け継がれてしもたんやろなあ。

 そうそう。天才っちゅう話なら、昨日の、あの狂暴なおちびも、相当なもんや。あいつに勝てるとしたら、カズネ・ゾーダンク以外、おらへんやろ。

 残りの二人。
 猫の嬢ちゃんと、ゴリラの姉ちゃんじゃ、正直言って、役不足や。

 あれ、役不足って、意味ちごたっけ?
 ええっと、ええっと、あっ、そうや。こういう場合は、力不足や、力不足。

 まあ、あの二人もええ選手や。優勝は無理やけど、今回はできるところまで頑張ったらええ。ほんで、また何年かして、力をつけてから、てっぺん狙ったらええんや。特に猫の嬢ちゃんの方は、まだまだ発展途上や。これから、いくらでも強うなれる。

 とにかく、楽しみなんは、あの狂暴おちびと、カズネ・ゾーダンクの試合や。
 このうちでも、どっちが勝つか想像つかんわ。

 あっ、そうや。
 今日、試合中止んなったっちゅうことは、出勤せんでええやん。
 うへへ、もういっぺん、寝直したろ。

 うちは、ゴミの日に何度か出し忘れたゴミ袋を、かき分けるようにしながら、万年床に潜り込む。あんまり干していない、湿っぽい布団を気持ち良く感じてしまう自分を、女としてちょっとヤバイと思うが、それでも、気持ちええもんは気持ちええんや。しゃーないやろ。

 あぁ~、それにしても、ぎょうさんゴミ、溜まってしもたなあ。朝のゴミ出し、いっつも忘れてまう。誰か、素敵な旦那さんでもおったら、うちの代わりに片付けてくれるんかなあ。

 ほんで、朝飯も用意してくれるんや。
 極めつけは、おはようのキスや。

 うへへ……たまらんな。

 はぁ……誰か、うちのことお嫁にもろてくれへんかな。

 今年でもう、28やで。
 まさか、このまま結婚でけへんってこと、あらへんよな。

 …………ぐすっ。

 あかん。
 何泣いとるんや。

 やめやめ、この話はやめや。
 寝よ寝よ、このまま、昼まで寝たろ。

 ほな、おやすみなさーい……
しおりを挟む
感想 288

あなたにおすすめの小説

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。

向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。 幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。 最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです! 勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。 だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!? ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...