二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第337話(カズネ視点)

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 電話が鳴ったのは、目を覚まし、軽く体を動かした後、清めの行水をおこなっているときでした。

 私は、絶句しました。
 今日の、私と姉さまの試合、中止になるそうです。

 原因は、姉さまが、足首を捻って棄権するから。

 すぐにわかりました。
 足首を捻ったなんて、嘘だって。

 姉さまは、私の顔を見るのも嫌だから、棄権したんです。
 パーティーでの反応を見れば、誰だってわかります。

 J1グランプリ出場を決めたのは、合気道のリモス先生の指示でしたが、出場選手の名簿をざっと見ていた時に、姉さまの名前を見つけた私は、思わず『わぁっ』と声を漏らしました。

 ええ。
 それはもう、胸が躍りましたとも。

 私も選手として出場すれば、二年ぶりに口をきいてもらえるかもしれない。
 褒めて、もらえるかもしれない。

『厳しい予選を突破してくるなんて、よく頑張ったわね、カズネ』って。

 想像するだけで、幸福感に胸が満たされていきました。

 ……そんなこと、あるはずがないのに。

 分かっていました。
 姉さまが私を避けているのは。

 ええ。
 当然です。

 この二年間、口をきくどころか、まともに顔を合わせてくれたこともありません。私がすり寄ろうとしても、姉さまはそれを察知して、霧のように消えてしまうのです。

 だから私は、狐の(別に狸でもお猿でも良かった。たまたまあったのが、狐だっただけ)お面をかぶり、正体を隠して再選考会にでました。

 私がエントリーしたと聞けば、もしかしたら、それだけで姉さまは私の前から消えてしまうかもしれないと思ったからです。

 正体を隠して近づき、いざ対面してしまえば、二年間のしこりも自然と消え、普通に話すことができるのではないかという、淡い期待もありました。だって、血を分けた姉妹なのですから。

 ……とんだ、夢想でした。

 姉さまの、私を見るあの目。
 まるで、汚いものでも見るかのようです。

 いえ、優しい姉さまは、たとえ汚いものだって、あんな目で見たりしません。
 姉さまがあれほど冷たい目を向けるのは、この世界でたった一人、私だけ。

 姉さま。
 どうして。
 どうしてそんなに、私を嫌うのですか?

 あんなに、仲良しだったのに。
 私は、今でも姉さまのことが大好きなのに。
 姉さま……
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