二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

文字の大きさ
370 / 389
第二部 獣人武闘祭

第370話

しおりを挟む
「あの雌犬、めちゃくちゃ強かったけど、なんで試合中、ずっとアホづらしてたニャ?」

 観戦を終え、ホテルへの帰り道を歩きながら、ミャオが言う。

「アホづらって……相変わらず、カズネに対しては辛らつよね、あなた。うーん、棄権したお姉さんのことが、心配だったとか?」

 私に推測できる理由は、そのくらいだった。

「ふむふむ、なるほどですニャ。それにしても、いきなりの大逆転でビックリの試合だったニャ。タマラちゃんって、凄いニャねえ……」

「ええ。あの短時間で、カズネの合気を返しちゃうなんてね。でも、私はそのことより、タマちゃんが一回戦みたいな酷い戦い方をしなかったことが嬉しいわ」

「雌犬の技が凄すぎて、モーレツタックルを繰り返すしかなかったんじゃないのかニャ?」

 私は、首を左右に振った。

「確かにカズネの技は凄かった。でも、ダーティーな方法を使えば、もう少し簡単にあの合気を破ることもできたのよ。カズネ自身に、全然集中力がなかったからね。タマちゃんほどの闘士なら、それに気がつかないはずがない。でも、あえてクリーンなファイトに徹したんだわ」

「ダーティーな方法って、どんなのニャ?」

「一番簡単なのが、血の目つぶしかな。自分で頬の中を傷つけて、口内に血を溜める。それで、接近した瞬間、一気に相手の両目に吹き付けるの。その後数秒間は、ほぼ無条件にこちらの攻撃が当たるわ」

「うわぁ~、なんかずっこいニャ」

「だから、ダーティーな方法って言ったでしょ」

「先生は、そういう技、使ったことあるニャ?」

「さあ、どうかしら。女の過去はミステリアスなものよ」

「先生の場合は、ミステリアスというよりバイオレンスな匂いがするニャ」

「言ってくれるわねえ」

 そこで一旦会話が切れ、しばらく歩いてから、ミャオが静かに言う。

「僕は、ずっこい技や危ない技を使って潰し合うより、戦った後で仲良しなれる試合のほうがいいニャぁ」

 私は、微笑を浮かべて頷いた。

「私もよ」

 そんなことを話しながら、グランディア国際ホテルの自室に到着する。急遽予定が短縮され、今日で全試合が終了したということで、この豪華すぎるお部屋とは、結局この一晩だけのつきあいになりそうだ。

 私は、ふかふかの究極を突き詰めたような柔らかベッドに、横になる。
 ミャオは、窓から見える、グランディアの夜景を楽しんでいた。

 突然、ノックもなしに、ドアが開く。そして、タマラが入って来た。彼女は声をかける間もなく私に伸し掛かると、胸に顔を埋めるようにして、スリスリと頭を押し付けてくる。

「ねえ、ナデナデして!」

 そのおねだり通りに、私は彼女の頭を撫でてあげる。
しおりを挟む
感想 288

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

処理中です...