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第二部 獣人武闘祭
第377話
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「ミャオ? どうする気なの?」
「こうするニャ。シャッ!」
ミャオは、ドアノブを思いっきりぶっ叩いた。
炸裂音と共に、ノブが吹っ飛んでいく。
大理石の床に、哀れなノブは乾いた音を立てながら転がった。
な、なんてことを……
「これで開いたニャ」
「すごいすごい! ミャオ、ありがとう!」
「ニャッ!? 先生、聞いたニャ!? タマラちゃんが、僕にありがとうって言ったニャ!」
「うん、そうだね……よかったね……」
「しかも、初めて名前を呼んでもらえたニャ……感無量ニャ……」
私は、ノブがなくなり、無残な姿になったドアの破壊跡を見て、修理代、いくら請求されるんだろうと、頭を抱えていた。タマラはドアを開け、ずんずんと部屋に入る。ミャオと私も、それに続く。ここまできたらもうヤケクソである。
部屋には、誰もいないようだった。
やっぱり、勘違いだったんじゃない?
そう言いかけた時、私は、発見した。
ドアだ。
部屋の奥に、ドアがある。
「あそこ! あのドアの向こうから、ノエルの匂いがする!」
私は頷き、ドアのノブを回してみる。
鍵はかかっていない。
私は、ドアを開いた。
そこは、私たちの部屋と同じく、やたらと豪華で、無闇に広いことを除けば、何の変哲もない寝室だった。
……いた。
ベッドの上だ。
本当だ。
本当に、あのノエルだ。
彼女は、ベッドの上で、きちんと両手両足を揃え、眠っていた。
「ノエル!」
タマラは、歓声を上げてノエルに飛びつこうとする。
私は、肩を掴み、それを止めた。
「な、なに? ディーナ? どうして止めるの?」
私は、タマラの問いに答えられなかった。たった今視界に入ったものの情報を、頭の中で咀嚼するだけで、精いっぱいだったからだ。
何故ノエルに、『あれ』がつけられているの?
忘れもしない。
『あれ』を初めて見たのは、ラジアス達と共に旅をしていた時。
魔王の部下である、謀将ゼルルスが、使っていた装置だ。
捕獲した人間を、無理やり洗脳して、魔王の手下に変える、洗脳装置。
少し色が違うが、ノエルにつけられているのは、まさしくそれだった。
これは、無理やり外すと、装着者の脳に、致命的な障害が残る。
だから、私はタマラを止めたのだ。
悪気がなくても、飛びついた衝撃で外れては、大変だから。
「こうするニャ。シャッ!」
ミャオは、ドアノブを思いっきりぶっ叩いた。
炸裂音と共に、ノブが吹っ飛んでいく。
大理石の床に、哀れなノブは乾いた音を立てながら転がった。
な、なんてことを……
「これで開いたニャ」
「すごいすごい! ミャオ、ありがとう!」
「ニャッ!? 先生、聞いたニャ!? タマラちゃんが、僕にありがとうって言ったニャ!」
「うん、そうだね……よかったね……」
「しかも、初めて名前を呼んでもらえたニャ……感無量ニャ……」
私は、ノブがなくなり、無残な姿になったドアの破壊跡を見て、修理代、いくら請求されるんだろうと、頭を抱えていた。タマラはドアを開け、ずんずんと部屋に入る。ミャオと私も、それに続く。ここまできたらもうヤケクソである。
部屋には、誰もいないようだった。
やっぱり、勘違いだったんじゃない?
そう言いかけた時、私は、発見した。
ドアだ。
部屋の奥に、ドアがある。
「あそこ! あのドアの向こうから、ノエルの匂いがする!」
私は頷き、ドアのノブを回してみる。
鍵はかかっていない。
私は、ドアを開いた。
そこは、私たちの部屋と同じく、やたらと豪華で、無闇に広いことを除けば、何の変哲もない寝室だった。
……いた。
ベッドの上だ。
本当だ。
本当に、あのノエルだ。
彼女は、ベッドの上で、きちんと両手両足を揃え、眠っていた。
「ノエル!」
タマラは、歓声を上げてノエルに飛びつこうとする。
私は、肩を掴み、それを止めた。
「な、なに? ディーナ? どうして止めるの?」
私は、タマラの問いに答えられなかった。たった今視界に入ったものの情報を、頭の中で咀嚼するだけで、精いっぱいだったからだ。
何故ノエルに、『あれ』がつけられているの?
忘れもしない。
『あれ』を初めて見たのは、ラジアス達と共に旅をしていた時。
魔王の部下である、謀将ゼルルスが、使っていた装置だ。
捕獲した人間を、無理やり洗脳して、魔王の手下に変える、洗脳装置。
少し色が違うが、ノエルにつけられているのは、まさしくそれだった。
これは、無理やり外すと、装着者の脳に、致命的な障害が残る。
だから、私はタマラを止めたのだ。
悪気がなくても、飛びついた衝撃で外れては、大変だから。
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