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ユーノ視点 ありえない事だらけ。
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ユーノ視点。
あり得ないって。
ドサッと荷物を自分の仕事部屋の机に投げ出し、頭を抱えた。
今日会った2人、いや1人はあり得ないほどの魔力を持ちながら魔力に溺れず、理性的でかつ子供らしく無いことを口にしていた。
成人前にあれ程の魔力を持てば己れを過信し、傲慢になっていても不思議じゃない。
それなのに彼女は冷静に状況を把握して、最良の決断を下す。
確かに彼女の言っていること、行おうとしている事は正しい。
だが、それを言っている彼女の年齢を考えると頭を抱えてしまいそうだ。
意識が別の方に向いていたせいか背後に立つ気配に気がつくのが遅れ、ユーノは懐の短剣に手が伸びる前にその手を取られた。
「ギルドマスター、ユーノ様ですね」
「お前は、アサシンギルドのファースト」
フードを間深く被る男をチラリ、と見る。
数あるギルドの中でも最も厄介なアサシン(暗殺者)ギルドの最高実力者。
素顔だけで無く本名も誰も知らないが、彼のことはその実力からファースト、と呼ばれていることはユーノでなくても知っている。
「何の用だ」
「人を探しています」
「ターゲットの情報ならアサシンで調べるだろ」
「アサシンはもうありません」
「無い。どう言うことだ」
「解体されました」
何があったのか知りたいが、聞いても話すとは思えない。
「復讐か?」
「いえ。命の恩人を探しています」
ファーストからの意外な返答にユーノは目を見開いている。
「その恩人殿を探し出してどうする?」
「命を掛けてお守りしたい」
これ程の実力者を助けるなど、どれだけ勇猛果敢な人物だ?
ユーノの疑問が顔に出ていたのかフードの男はポツリと話し始めた。
自分の事を殺そうとしたアサシンギルドの裏切り者達を返り討ちにし、全滅させたのは良いが、さすがに自分も無傷では無く腹を半分くらい切り裂かれた。
傷は魔力で塞いだが血が流れ過ぎていたし、序でに毒のせいで意識が薄れそうになっている所をエリクサーを与えてくれる人が居た。
「エリクサー!」
ギルドマスターのユーノですら見たことは数回くらいしか無い、とんでも無く希少で高価な薬だ。
「はい。ただ、あの方は錬成した物だから気にするな、と仰っていましたが」
「錬成した……」
何故だろう。ユーノの脳裏に今日会ったばかりの少女の姿がチラチラする。
「名前は?名前が分からないならその人の容姿とか……」
「あの方の恩名はシルヴィー様で、髪も瞳も美しいガーネットの様な赤紫色です」
「やっぱり彼女かぁ」
目の前の男を警戒するより頭を抱え、がっくりと項垂れたユーノをファーストは驚いた顔で見た。
「あの方に何か……」
「ファースト、髪を切り、アサシンの色を一切消して一週間で完璧な執事になれ。そうしたらお前の恩人の家で働ける様に取り計らう」
無茶を言っている様に見えるが、こいつなら出来ると知っているからあえてユーノは口にした。
これは最高の護衛になる。
あれだけの魔力を持っていても彼女はまだ子供だ。彼女を力で押さえ付け、利用して搾取する者が出てきてもおかしく無い。
「一週間。可能だが、見本があれば良い」
「パール公爵家に話を付ける」
あそこの執事長は知り合いだから受けてもらえる筈だ。
あの子の周りにはきっとこれからも、とんでもない者が寄って来る。
平凡な自分が出来ることなど少ないが、彼女を守りたい、と思う事はおかしい事ではない。
ファーストをパール公爵家に放り込んでからユーノは腕利きの冒険者や勇者達に声を掛け、サンプルが出来次第暴走した者達の対応をしてくれ、と頼んだ。
勇者達は半信半疑だった様だが、後日ユーノは悲鳴と歓喜の声に悩まされる事になるが今は誰も知らない。
あり得ないって。
ドサッと荷物を自分の仕事部屋の机に投げ出し、頭を抱えた。
今日会った2人、いや1人はあり得ないほどの魔力を持ちながら魔力に溺れず、理性的でかつ子供らしく無いことを口にしていた。
成人前にあれ程の魔力を持てば己れを過信し、傲慢になっていても不思議じゃない。
それなのに彼女は冷静に状況を把握して、最良の決断を下す。
確かに彼女の言っていること、行おうとしている事は正しい。
だが、それを言っている彼女の年齢を考えると頭を抱えてしまいそうだ。
意識が別の方に向いていたせいか背後に立つ気配に気がつくのが遅れ、ユーノは懐の短剣に手が伸びる前にその手を取られた。
「ギルドマスター、ユーノ様ですね」
「お前は、アサシンギルドのファースト」
フードを間深く被る男をチラリ、と見る。
数あるギルドの中でも最も厄介なアサシン(暗殺者)ギルドの最高実力者。
素顔だけで無く本名も誰も知らないが、彼のことはその実力からファースト、と呼ばれていることはユーノでなくても知っている。
「何の用だ」
「人を探しています」
「ターゲットの情報ならアサシンで調べるだろ」
「アサシンはもうありません」
「無い。どう言うことだ」
「解体されました」
何があったのか知りたいが、聞いても話すとは思えない。
「復讐か?」
「いえ。命の恩人を探しています」
ファーストからの意外な返答にユーノは目を見開いている。
「その恩人殿を探し出してどうする?」
「命を掛けてお守りしたい」
これ程の実力者を助けるなど、どれだけ勇猛果敢な人物だ?
ユーノの疑問が顔に出ていたのかフードの男はポツリと話し始めた。
自分の事を殺そうとしたアサシンギルドの裏切り者達を返り討ちにし、全滅させたのは良いが、さすがに自分も無傷では無く腹を半分くらい切り裂かれた。
傷は魔力で塞いだが血が流れ過ぎていたし、序でに毒のせいで意識が薄れそうになっている所をエリクサーを与えてくれる人が居た。
「エリクサー!」
ギルドマスターのユーノですら見たことは数回くらいしか無い、とんでも無く希少で高価な薬だ。
「はい。ただ、あの方は錬成した物だから気にするな、と仰っていましたが」
「錬成した……」
何故だろう。ユーノの脳裏に今日会ったばかりの少女の姿がチラチラする。
「名前は?名前が分からないならその人の容姿とか……」
「あの方の恩名はシルヴィー様で、髪も瞳も美しいガーネットの様な赤紫色です」
「やっぱり彼女かぁ」
目の前の男を警戒するより頭を抱え、がっくりと項垂れたユーノをファーストは驚いた顔で見た。
「あの方に何か……」
「ファースト、髪を切り、アサシンの色を一切消して一週間で完璧な執事になれ。そうしたらお前の恩人の家で働ける様に取り計らう」
無茶を言っている様に見えるが、こいつなら出来ると知っているからあえてユーノは口にした。
これは最高の護衛になる。
あれだけの魔力を持っていても彼女はまだ子供だ。彼女を力で押さえ付け、利用して搾取する者が出てきてもおかしく無い。
「一週間。可能だが、見本があれば良い」
「パール公爵家に話を付ける」
あそこの執事長は知り合いだから受けてもらえる筈だ。
あの子の周りにはきっとこれからも、とんでもない者が寄って来る。
平凡な自分が出来ることなど少ないが、彼女を守りたい、と思う事はおかしい事ではない。
ファーストをパール公爵家に放り込んでからユーノは腕利きの冒険者や勇者達に声を掛け、サンプルが出来次第暴走した者達の対応をしてくれ、と頼んだ。
勇者達は半信半疑だった様だが、後日ユーノは悲鳴と歓喜の声に悩まされる事になるが今は誰も知らない。
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