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努力して得たものはチートでは無い。
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「確かにこれは凄いな」
「見事なもんだ」
「見た目まで同じにするとは。これなら前のものに慣れている冒険者達や勇者達も使い易そうだ」
ウィリアム達の感想にカインがホッと息を吐いた。
「では、さっそくサンプルを使って検証します。結果は多分3日後には出るでしょう。あっ、それと執事の件ですが、4、5日後に紹介できると思います」
ユーノがサンプルを手にしながらなんでも無い様に執事の事を口にした。
「その人、前の職場で忙しいの?」
「いえ、執事の仕事を覚える為、今は別の家で修行中です」
妙なセリフにウィリアムとシルヴィーが首を傾げた。
「仕事を覚える為に修行中って、今まで執事として働いた事無いのか?」
「はい。本人のたっての願いなので、パール公爵家で執事長の元に放り込みました」
「パール公爵家と言えば格式の高い家で、従者達の教育が厳しいで有名ですが……」
ウィリアムやシルヴィーではなく、カインが青褪めた顔でユーノを見た。
「問題は無さそうでしたよ。昨日、見て来ましたが、彼は既に執事長の手を離れ、総執事が指導してました」
パール公爵家の総執事が指導。あり得ないくらい有能だ、という事は理解した。
「そんなに凄い人がどうしてウチみたいな、たいして位が高くない家の執事をしたいって言ってくれるの?」
伯爵家が位が低いかと聞かれると返答に困るが、軍事顧問はさして重要な役職ではない。
そう、シルヴィーは思っている。
「シルヴィー様が命の恩人だ、と言ってました」
命の恩人?シルヴィーは首を傾げたが、思い当たる人はいる。
「大した事して無いんだけど、律義ですねーその人」
「当然だと思います。エリクサーなんて高価な薬を見ず知らずの人間に与えられる人などそうそういないですから」
「エリクサー!俺だって本物見たことない薬だ」
ウィリアムが目を見開いて驚いている。
「良く持ってたな、そんな珍しい薬」
「持ってませんよ。その場で錬成しました。それにあれはエリクサーでは無いはずです。私が使った薬草は作れてポーションですから」
魔獣王に首を傾げながら答え、使った薬草の名前を言った。
「確かにその薬草なら出来るのは確かにポーションだが、薬は何色だった?」
「サファイアみたいな色でした」
「……規格外もここまで来ると笑えるな」
「俺、驚くのに疲れた」
魔獣王とウィリアムが肩を落とし乾いた笑いを浮かべ、カインとユーノは残念な子を見る様な目でシルヴィーを見ている。
「シルヴィー様、そろそろ諦めてご自分が規格外の力を持っている事を認めましょう。わずか8歳で剣受式の試験をパスされて、魔力は既にレベル100を超えているのですから」
「凄いな、でも安心しろ、どんなに規格外でも俺たちから見れば君はただの人間だ」
ユーノの言葉に俯いていたシルヴィーに魔獣王は笑いながら頭をポンポン叩き、人間の範囲から飛び出していないと言う。
「私は異端では無いのですか?」
「優れてはいる様だが異端でもなんでも無い。シルヴィー、君は普通の人間だよ」
優しく髪を撫でられるとシルヴィーの目が潤む。
きっと心の何処かで異端である、と言われる事を恐れていたのだろう。
つい、心を許せる人達と巡り会った為、隠していたものを出してしまったようだ。
「正直、驚きすぎて慌てたところもあったが、シルヴィー、君とは仲良くして行きたい。少なくともイザベルと結婚するまでは、な」
「気が長いですね。少なくとも後7年は有りますよ」
潤んだ目でウィリアムを見るシルヴィーはやっと年相応の顔をしている。
「7年もあれば今のシルヴィーくらいまで魔力を上げられるから、君に変な目を向ける奴は居なくなるぞ」
「そうですね。まず平民の私がレベル90まで上げられれば、貴族の令嬢が100を超えていても、さほど異様には見られませんね」
ずっと黙っていたカインが和かに笑う。
実際、魔力がレベル100以上の人間はそう多くはないが、居ない訳では無い。
「お前なら、100を超える事なんかあっさり出来るぞ」
魔獣王が呆れた様な顔でカインを見る。
「えっ本当ですか?ここの所レベルが上がらなかったので頭打ちかなぁと思っていたのに」
照れたのか、ちょっと頬を赤らめながら魔獣王を見ている。
「やり方が悪い。精霊王に良さそうな師匠をあてがえって言っておく」
カインと魔獣王が話し込み始めたのでウィリアムはそっとシルヴィーに疑問を向けた。
「なんで君はそんなに剣や魔力の強さを隠したがるんだ?」
ウィリアムの問い掛けにシルヴィーはバツが悪そうな顔で
「なんかチートすぎる気がして」
「チート?産まれたっつうか、記憶を取り戻したらそんな魔力を持ってたのか?」
「いえ。魔力はイザベルとあった時、記憶を取り戻してから前世では持ってない力だったので好奇心からつい、根性入れて勉強したせいかも」
「剣は?」
「同じ頃、エインの持っていた剣が綺麗で、持ってみたいってお願いしたら子供は無理だ、と言われて、ならばって……」
好奇心と負けず嫌い。
それによって身に付いた実力は別にしても、どちらも人間臭い理由だ。
「まぁ、何にしてもシルヴィーが優秀なのはありがたい」
「かなりチートですよ」
「努力して手に入れたものはチートじゃない」
ウィリアムの言い切った言葉にシルヴィーはへにゃ、と笑った。
「では、私はサンプルを勇者と冒険者に渡して来ます」
暫く空気の様に黙っていたユーノが静かに頭を下げて部屋から出て行った。
「見事なもんだ」
「見た目まで同じにするとは。これなら前のものに慣れている冒険者達や勇者達も使い易そうだ」
ウィリアム達の感想にカインがホッと息を吐いた。
「では、さっそくサンプルを使って検証します。結果は多分3日後には出るでしょう。あっ、それと執事の件ですが、4、5日後に紹介できると思います」
ユーノがサンプルを手にしながらなんでも無い様に執事の事を口にした。
「その人、前の職場で忙しいの?」
「いえ、執事の仕事を覚える為、今は別の家で修行中です」
妙なセリフにウィリアムとシルヴィーが首を傾げた。
「仕事を覚える為に修行中って、今まで執事として働いた事無いのか?」
「はい。本人のたっての願いなので、パール公爵家で執事長の元に放り込みました」
「パール公爵家と言えば格式の高い家で、従者達の教育が厳しいで有名ですが……」
ウィリアムやシルヴィーではなく、カインが青褪めた顔でユーノを見た。
「問題は無さそうでしたよ。昨日、見て来ましたが、彼は既に執事長の手を離れ、総執事が指導してました」
パール公爵家の総執事が指導。あり得ないくらい有能だ、という事は理解した。
「そんなに凄い人がどうしてウチみたいな、たいして位が高くない家の執事をしたいって言ってくれるの?」
伯爵家が位が低いかと聞かれると返答に困るが、軍事顧問はさして重要な役職ではない。
そう、シルヴィーは思っている。
「シルヴィー様が命の恩人だ、と言ってました」
命の恩人?シルヴィーは首を傾げたが、思い当たる人はいる。
「大した事して無いんだけど、律義ですねーその人」
「当然だと思います。エリクサーなんて高価な薬を見ず知らずの人間に与えられる人などそうそういないですから」
「エリクサー!俺だって本物見たことない薬だ」
ウィリアムが目を見開いて驚いている。
「良く持ってたな、そんな珍しい薬」
「持ってませんよ。その場で錬成しました。それにあれはエリクサーでは無いはずです。私が使った薬草は作れてポーションですから」
魔獣王に首を傾げながら答え、使った薬草の名前を言った。
「確かにその薬草なら出来るのは確かにポーションだが、薬は何色だった?」
「サファイアみたいな色でした」
「……規格外もここまで来ると笑えるな」
「俺、驚くのに疲れた」
魔獣王とウィリアムが肩を落とし乾いた笑いを浮かべ、カインとユーノは残念な子を見る様な目でシルヴィーを見ている。
「シルヴィー様、そろそろ諦めてご自分が規格外の力を持っている事を認めましょう。わずか8歳で剣受式の試験をパスされて、魔力は既にレベル100を超えているのですから」
「凄いな、でも安心しろ、どんなに規格外でも俺たちから見れば君はただの人間だ」
ユーノの言葉に俯いていたシルヴィーに魔獣王は笑いながら頭をポンポン叩き、人間の範囲から飛び出していないと言う。
「私は異端では無いのですか?」
「優れてはいる様だが異端でもなんでも無い。シルヴィー、君は普通の人間だよ」
優しく髪を撫でられるとシルヴィーの目が潤む。
きっと心の何処かで異端である、と言われる事を恐れていたのだろう。
つい、心を許せる人達と巡り会った為、隠していたものを出してしまったようだ。
「正直、驚きすぎて慌てたところもあったが、シルヴィー、君とは仲良くして行きたい。少なくともイザベルと結婚するまでは、な」
「気が長いですね。少なくとも後7年は有りますよ」
潤んだ目でウィリアムを見るシルヴィーはやっと年相応の顔をしている。
「7年もあれば今のシルヴィーくらいまで魔力を上げられるから、君に変な目を向ける奴は居なくなるぞ」
「そうですね。まず平民の私がレベル90まで上げられれば、貴族の令嬢が100を超えていても、さほど異様には見られませんね」
ずっと黙っていたカインが和かに笑う。
実際、魔力がレベル100以上の人間はそう多くはないが、居ない訳では無い。
「お前なら、100を超える事なんかあっさり出来るぞ」
魔獣王が呆れた様な顔でカインを見る。
「えっ本当ですか?ここの所レベルが上がらなかったので頭打ちかなぁと思っていたのに」
照れたのか、ちょっと頬を赤らめながら魔獣王を見ている。
「やり方が悪い。精霊王に良さそうな師匠をあてがえって言っておく」
カインと魔獣王が話し込み始めたのでウィリアムはそっとシルヴィーに疑問を向けた。
「なんで君はそんなに剣や魔力の強さを隠したがるんだ?」
ウィリアムの問い掛けにシルヴィーはバツが悪そうな顔で
「なんかチートすぎる気がして」
「チート?産まれたっつうか、記憶を取り戻したらそんな魔力を持ってたのか?」
「いえ。魔力はイザベルとあった時、記憶を取り戻してから前世では持ってない力だったので好奇心からつい、根性入れて勉強したせいかも」
「剣は?」
「同じ頃、エインの持っていた剣が綺麗で、持ってみたいってお願いしたら子供は無理だ、と言われて、ならばって……」
好奇心と負けず嫌い。
それによって身に付いた実力は別にしても、どちらも人間臭い理由だ。
「まぁ、何にしてもシルヴィーが優秀なのはありがたい」
「かなりチートですよ」
「努力して手に入れたものはチートじゃない」
ウィリアムの言い切った言葉にシルヴィーはへにゃ、と笑った。
「では、私はサンプルを勇者と冒険者に渡して来ます」
暫く空気の様に黙っていたユーノが静かに頭を下げて部屋から出て行った。
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