[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。

紅月

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歓喜に沸くギルド。

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「……以上です」

マークはユーノに今回の効果の検証を話すと押さえ付けていた興奮が沸々と湧き上がってくる。

「どうやら新しい魅了魔法のアイテムは予想を上回る効果がありそうだ」

ユーノが満足そうに頷くと

「有りそうじゃなくて、あるんです。なんでもっと早くこいつの存在を教えてくれなかったんですか。これなら精霊達に恨まれないで使える」

以前から魅了魔法のアイテムで暴走を無理矢理抑え込まれた精霊に勇者達が恨まれている事は聞いていたが、ユーノが思っていた以上に勇者達にも以前のアイテムは負担をかけていた様だ。

「冒険者のハザックも似た様な事言ってた」
「えっ!魅了魔法のアイテムだけじゃ無くって服従魔法のアイテムまで新しい物が?」
「ああ。同時期に効果を試したい、と渡されたからハザックにも渡していた」

ユーノが頷くとマークはギルド内を忙しなく見回し、目的の人物を見付けると走り寄った。

「ハザック、お前も新しいアイテム使ったのか」

突然話しかけられて驚いた顔をした、やはり厳つい顔の男がパッと破顔して上機嫌で口を開いた。

「おう。最初半信半疑だったけど、あれば凄い。もう以前の物なんか使いたく無いし、魔獣達も上機嫌で帰って行った」
「どんな魔獣だった?」
「ダークウルフだ。知性も高いし滅多に暴走しない種類だからアイテムを使うまで死ぬかと思ったが、新しいアイテムは良い。魔獣に掛かる負担が少ないから交渉も楽だし、何より俺達を恨まなかった」

マークやハザックの様な、実力者たちが口々に褒めるから新しいアイテムへの信頼度は以前の物とは比べ物にならない。


その後、一件だけでは偶然だと言われるだろうから、とサンプルを全てマークやハザック以外の者達と検証に使った為、ギルドは大騒ぎになっていた。

「ギルドマスター、いつから新しいアイテムに切り替えるんですか?てか、もう使えるんだよな」

アイテムは数回使うと力を無くす消耗品だから、より良い物を知れば使い勝手の悪い物を使う気にはなれない。
マークもハザックもギラギラした目でユーノを見る。

「今回の検証後、承認などを経て、承認後一週間程度で販売されるだろう」

事務的なユーノの返答にマーク達は歓喜した。

「これを作った人は誰なんです?今すぐ、お礼をしたいくらい凄いよ」

マークやハザック、それに他のもの達に同行した若手も興奮している。

「王宮魔術院の錬成士、カイン殿だ」

シルヴィーからくれぐれも自分の名前は出さないで欲しい、と言われていたのでユーノはカインの名前を口にした。

途端、ウオーと野太い叫び声が上がる。

「カイン殿は俺達勇者の救世主だ」
「いやいや、冒険者の為の賢者だ」

口々にカインを褒め称え、歓喜の祝杯を上げ始めた。

「カイン殿、すまん」

彼らの後ろでユーノが申し訳なさそうに王宮の方を見ていたことを知るものは居ない。
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