46 / 114
雑草並みにしぶといだろう。
しおりを挟む
入学式はやり込んだゲームのオープニングのように、すっ飛ばされたかのようにほとんど記憶にない。
学園長の挨拶の後、ウィリアムが在校生代表として祝辞をのべ、シルヴィーが新入生代表として挨拶をし、と特筆するべき場面が無かったせいかあっさりと終わった。
ただ、クラス分けの掲示板の前では騒ぎがあった様だ。
魔術学園では成績や能力重視の為、クラスは本来は3つに分かれている。
身分を問わず、成績優秀の生徒はSクラス。
貴族か成績が良い平民はAクラス。
そして、こちらも身分を問わず、成績不良の生徒はBクラスになる。
もちろん固定ではないので成績が上がれば上のクラスに上がれるが、悪ければ落ちる。
ようは、生徒本人の努力次第。
「シルヴィーとベルはSクラスか。妥当だな」
生徒会本部で書類を見ていたウィリアムとパトリックが頷けば、同じく生徒会のメンバーであるジェフリーとルーファスがうっとりとした目で、入学式を思い出していた。
綺麗な赤紫色の髪を一つに纏め、紺色の制服姿で挨拶をするシルヴィーの姿は、思い出してもため息が出るほど綺麗だった。
「やっと会えるんだ。長かった」
ジェフリーはさらりと長めの銀色の髪を揺らし、薄水色の瞳を輝かせる。
「もちろん殿下、ロードライト伯爵令嬢達を生徒会に招くんですよね」
濃い緑の髪を短く切り揃え、髪よりも少し薄い緑の瞳をしたルーファスの顔も期待に輝いている。
「当然だよ。シルヴィーは私の参謀殿だし、ベルは有能なパートナーだからね」
「嬉しいわ。生徒会って女性が私しかいなくて寂しかったもの」
シンシアも手を叩いて喜んでいる。
「会長、クラス分けの掲示板で騒ぎがあり、手に負えません」
生徒の1人が慌てて生徒会室に飛び込んで来た。
「騒ぎ?クラス分けは入学試験の時の成績で決めてるから、文句は言えない筈だが」
「ですが、女子生徒の1人がこんな筈ない、と喚いていて……」
生徒の言葉にウィリアム以外は驚いていたが、思い当たるウィリアムは、ハァっとため息を吐いた。
「それなら、学園長に言ってくれ。私の管轄ではないからね」
会いたくない存在とは、出来るだけ顔を合わせたくない。それにクラス分けの事は生徒会で決めた事でもない。
「そうなのですが、トルマリン侯爵令嬢にそいつが喰ってかかって今、ロードライト伯爵令嬢が対応しています」
「それを早く言え」
ダン、と机を叩きウィリアムが立ち上がったが、パトリックが首を横に振る。
「兄上が出ては事が大きくなります。僕とシンシアだけで大丈夫ですよ」
「ええ。シルヴィー様に迷惑をかけるなんて、万死に値します」
シンシアのシルヴィーを敬愛する思いは、恋愛以上に強い様で、たまにシンシアに感化されたパトリックも便乗するから、ウィリアム以上に手加減は無い対応になる。
「分かった。パトリック、シンシア頼んだよ。手加減は……君達に任せる」
加減などしないだろう、と思うがやり過ぎても心配はない。あのお花畑なら雑草の様にしぶとい筈だ。
学園長の挨拶の後、ウィリアムが在校生代表として祝辞をのべ、シルヴィーが新入生代表として挨拶をし、と特筆するべき場面が無かったせいかあっさりと終わった。
ただ、クラス分けの掲示板の前では騒ぎがあった様だ。
魔術学園では成績や能力重視の為、クラスは本来は3つに分かれている。
身分を問わず、成績優秀の生徒はSクラス。
貴族か成績が良い平民はAクラス。
そして、こちらも身分を問わず、成績不良の生徒はBクラスになる。
もちろん固定ではないので成績が上がれば上のクラスに上がれるが、悪ければ落ちる。
ようは、生徒本人の努力次第。
「シルヴィーとベルはSクラスか。妥当だな」
生徒会本部で書類を見ていたウィリアムとパトリックが頷けば、同じく生徒会のメンバーであるジェフリーとルーファスがうっとりとした目で、入学式を思い出していた。
綺麗な赤紫色の髪を一つに纏め、紺色の制服姿で挨拶をするシルヴィーの姿は、思い出してもため息が出るほど綺麗だった。
「やっと会えるんだ。長かった」
ジェフリーはさらりと長めの銀色の髪を揺らし、薄水色の瞳を輝かせる。
「もちろん殿下、ロードライト伯爵令嬢達を生徒会に招くんですよね」
濃い緑の髪を短く切り揃え、髪よりも少し薄い緑の瞳をしたルーファスの顔も期待に輝いている。
「当然だよ。シルヴィーは私の参謀殿だし、ベルは有能なパートナーだからね」
「嬉しいわ。生徒会って女性が私しかいなくて寂しかったもの」
シンシアも手を叩いて喜んでいる。
「会長、クラス分けの掲示板で騒ぎがあり、手に負えません」
生徒の1人が慌てて生徒会室に飛び込んで来た。
「騒ぎ?クラス分けは入学試験の時の成績で決めてるから、文句は言えない筈だが」
「ですが、女子生徒の1人がこんな筈ない、と喚いていて……」
生徒の言葉にウィリアム以外は驚いていたが、思い当たるウィリアムは、ハァっとため息を吐いた。
「それなら、学園長に言ってくれ。私の管轄ではないからね」
会いたくない存在とは、出来るだけ顔を合わせたくない。それにクラス分けの事は生徒会で決めた事でもない。
「そうなのですが、トルマリン侯爵令嬢にそいつが喰ってかかって今、ロードライト伯爵令嬢が対応しています」
「それを早く言え」
ダン、と机を叩きウィリアムが立ち上がったが、パトリックが首を横に振る。
「兄上が出ては事が大きくなります。僕とシンシアだけで大丈夫ですよ」
「ええ。シルヴィー様に迷惑をかけるなんて、万死に値します」
シンシアのシルヴィーを敬愛する思いは、恋愛以上に強い様で、たまにシンシアに感化されたパトリックも便乗するから、ウィリアム以上に手加減は無い対応になる。
「分かった。パトリック、シンシア頼んだよ。手加減は……君達に任せる」
加減などしないだろう、と思うがやり過ぎても心配はない。あのお花畑なら雑草の様にしぶとい筈だ。
111
あなたにおすすめの小説
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる