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道化者では無い様だ。
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前や横に立つ、背の高い3人のせいでフェーイックの顔はまともに見えないが、やたら仰々しく自分の事を語る人間に、まともな考えの者は少ない事は、前世の記憶でよく分かっている。
「此処にいらしたのですね」
「リリー、それにゼオン様。何故此方に?」
気配は感じていたから驚きはないが、彼らが学園の授業に顔を出す理由が判らない。
「兄さん。へぇ、兄さんが来たって事は証拠が出たんだ」
ルーファスが、獰猛な肉食獣のような目で前を見据えた。
何があったのかは知らされていないが、あまり楽しい事では無さそうだ、とシルヴィーがため息を吐けば、リリーがシルヴィーのレイピアを差し出した。
「何故これを?」
「シルヴィー様の執事殿が、シルヴィー様が必要とされています、と」
いくら実技の授業だからと言って、イーリスを使うつもりは無かったので部屋に置いて来たはずなのに、とシルヴィーが首を傾げると、僅かに出来た隙間からフェーイックの顔がちゃんと見えた。
「あの男……」
「あいつを知っているのか?」
ウィリアムの目が、知っているなら話せよ、と言っている。
「元第一騎士団に所属していましたジルコニア元男爵で、イーリスを不法所持していた為、軍法会議にかけられ北の鉱山で、無期限の強制労働を命じられている筈です」
「ふん、あの女がジルコン公爵の権力を使って有耶無耶にしたか」
ウィリアムが突然、ジルコン公爵の名を口にし、嫌そうに眉を顰めた。
ジルコン公爵。アレキサンド王国の数少ない公爵家の1つで、かなり偏屈で有名だ。
「確か、パトリック殿下のご生母様は、ジルコン公爵のたった1人の血族者だと伺っております」
ジェフリーがウィリアム同様、嫌そうにジルコン公爵の名を口にした。
権力者のたった1人の血縁者。側妃様の権力はかなり強いのだろう。
その割には、春の舞踏会には出席を許されていなかった。
「では何故、ジルコン公爵はジルコニア家に肩入れするのです?」
ルーファスが首を捻るのも無理はない。
「ジルコニア家は、繋がりは薄いがジルコン公爵家の縁者だと、嘯いている」
名前が似ているから信じる者も多い。
「王家の貴族名鑑を調べれば、バレるのに……」
呆れたようにシルヴィーが呟くと、ウィリアムがにやっと笑った。
「ジルコン公爵の名前で出されている命令書の真偽が取り沙汰されているが、確証が無いらしい」
「筆跡鑑定と魔力鑑定を行えば、命令書の真偽はわかる筈です」
「やり方は?」
「イーリスの所持者判定の応用でいけます」
ウィリアムとシルヴィーがにっこり笑いながらジェフリーを見た。
「父、ラリマー宰相に伝えます」
「カインなら、すぐに対応できると思います」
「で、兄さんの件はどうする?」
ルーファスがチラッとゼオン達を見れば、2人とも期待に満ちた目でシルヴィーを見ている。
「何、したんです?」
「騎士団の武器を横流しして、ラスティックに売ろうとしてます」
アレキサンド王国騎士団の武器といえば、イーリスを始めとして、かなり精度が良い武器で、他国の軍が欲しがるのも無理はない。
「しています、なんですね」
「はい」
「保管場所は目処がついていますので、後は自白さえすれば……」
リリー達が鋭い視線をフェーイックに向けた時、フェーイックの背後に、異様な殺気を必死に隠そうとしている黒づくめの男達が10名ほど並んだ。
「学生相手の、授業の実技にしては本格的な殺気ですね」
シルヴィーが呑気な事を言いながら、リリーから渡されたイーリスの柄を握る。
「此処にいらしたのですね」
「リリー、それにゼオン様。何故此方に?」
気配は感じていたから驚きはないが、彼らが学園の授業に顔を出す理由が判らない。
「兄さん。へぇ、兄さんが来たって事は証拠が出たんだ」
ルーファスが、獰猛な肉食獣のような目で前を見据えた。
何があったのかは知らされていないが、あまり楽しい事では無さそうだ、とシルヴィーがため息を吐けば、リリーがシルヴィーのレイピアを差し出した。
「何故これを?」
「シルヴィー様の執事殿が、シルヴィー様が必要とされています、と」
いくら実技の授業だからと言って、イーリスを使うつもりは無かったので部屋に置いて来たはずなのに、とシルヴィーが首を傾げると、僅かに出来た隙間からフェーイックの顔がちゃんと見えた。
「あの男……」
「あいつを知っているのか?」
ウィリアムの目が、知っているなら話せよ、と言っている。
「元第一騎士団に所属していましたジルコニア元男爵で、イーリスを不法所持していた為、軍法会議にかけられ北の鉱山で、無期限の強制労働を命じられている筈です」
「ふん、あの女がジルコン公爵の権力を使って有耶無耶にしたか」
ウィリアムが突然、ジルコン公爵の名を口にし、嫌そうに眉を顰めた。
ジルコン公爵。アレキサンド王国の数少ない公爵家の1つで、かなり偏屈で有名だ。
「確か、パトリック殿下のご生母様は、ジルコン公爵のたった1人の血族者だと伺っております」
ジェフリーがウィリアム同様、嫌そうにジルコン公爵の名を口にした。
権力者のたった1人の血縁者。側妃様の権力はかなり強いのだろう。
その割には、春の舞踏会には出席を許されていなかった。
「では何故、ジルコン公爵はジルコニア家に肩入れするのです?」
ルーファスが首を捻るのも無理はない。
「ジルコニア家は、繋がりは薄いがジルコン公爵家の縁者だと、嘯いている」
名前が似ているから信じる者も多い。
「王家の貴族名鑑を調べれば、バレるのに……」
呆れたようにシルヴィーが呟くと、ウィリアムがにやっと笑った。
「ジルコン公爵の名前で出されている命令書の真偽が取り沙汰されているが、確証が無いらしい」
「筆跡鑑定と魔力鑑定を行えば、命令書の真偽はわかる筈です」
「やり方は?」
「イーリスの所持者判定の応用でいけます」
ウィリアムとシルヴィーがにっこり笑いながらジェフリーを見た。
「父、ラリマー宰相に伝えます」
「カインなら、すぐに対応できると思います」
「で、兄さんの件はどうする?」
ルーファスがチラッとゼオン達を見れば、2人とも期待に満ちた目でシルヴィーを見ている。
「何、したんです?」
「騎士団の武器を横流しして、ラスティックに売ろうとしてます」
アレキサンド王国騎士団の武器といえば、イーリスを始めとして、かなり精度が良い武器で、他国の軍が欲しがるのも無理はない。
「しています、なんですね」
「はい」
「保管場所は目処がついていますので、後は自白さえすれば……」
リリー達が鋭い視線をフェーイックに向けた時、フェーイックの背後に、異様な殺気を必死に隠そうとしている黒づくめの男達が10名ほど並んだ。
「学生相手の、授業の実技にしては本格的な殺気ですね」
シルヴィーが呑気な事を言いながら、リリーから渡されたイーリスの柄を握る。
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