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後日談 彼女は太陽の様に
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「フェリス嬢。どうしたいですか?」
「当然、私のダーリンを守るわよ」
アドンはいつの間にかフェリスのダーリンになっていた様だ。
「失礼します。出来上がった書類をお持ちしました」
ノックの後、アドンが扉の向こうで声を掛けてきた。
「ダーリン」
ゼウリスが声を掛ける前にフェリスが扉を開け、アドンに抱き付いた。
「フェリス様。いらしていたのですね」
仕事場ではいつも無表情なアドンが少しだけ微笑み、フェリスを見詰めている。
「アドン、書類は机に置いててくれ」
ゼウリスが声を掛けると、優しくフェリスに頷き、ゼウリスには臣下の礼をとった。
「アドンも納得した様だな」
「はい。魔族と人間は生きる時間が違う、と聞いて戸惑いましたが僕はやはりフェリス様と生きたい」
ゼウリスの問いにアドンは誠実に答える。
「では、アドンに付く害虫駆除を頼む」
部下に視線を向けると、部下はクスッと笑う。
「新しい揺籠が必要でしたので、助かります」
あの後、エリスは無魔蛙の揺籠として魔族の国の沼に放された。
死ぬことはもちろん、精神を崩壊させる事も許されず、希少種の蛙の揺籠兼餌として生かされているが、そろそろ揺籠として使えなくなってきたので、処分を検討していたようだ。
「無魔蛙は希少過ぎて生態がわからない所が多いけど、揺籠があれば繁殖出来ると分かっただけ、進歩だ」
術を解き、本来の姿に戻ったアーモンをフェリスとゼウリスがまっすぐ見詰めた。
「テーミスを泣かすなよ」
「あれは鋼の心臓を持ってます。俺の方が泣かされそうですよ」
テーミスは一時、オリンシア王国の為に他国の王族に嫁ぐ事を考えていたが、アーモンが強奪する様に魔族の国に連れて行った。
魔族の国で苦しい思いをしているか、とミルフィリアは心配していたが、それは杞憂だった様だ。
「たまには顔を見せに来い、と言ってくれ。ミルフィリアが気にしてる」
「アルシスの魔力が安定したら連れてくる」
アルシスは、アーモンとテーミスの子供で、かなり魔力が強いらしい。
魔王ルシードの後継者として王宮で教育されている、と聞いた時は流石のゼウリスも唖然とした。
中庭に目を向ければ、ミルフィリアが2人の子供と楽しげに笑っている。
此処にアルレス達の子供とテーミス達の子供が集まれば更に賑やかになるだろう。
「ミルフィリアは、確かにアクヤクーナだ。彼女が居るだけで場が明るくなる」
「万物に惜しみなく光を降り注ぐ存在ね」
ゼウリスとフェリスが眩しそうに見ていたが、アーモンが面倒くさそうに頭をかきながら部屋を出ようとした。
「アーモン、ミルフィリアに挨拶しないで帰るの?」
「とっとと仕事を終わらせてくる。俺だけミルフィリア様に会ったって言ったら、後が怖い」
そう言いながらも、アーモンの口元は笑っている。
もう、たった1人だけが幸せになる、歪な世界は存在しない。
それぞれが、努力すれば良い。
努力が出来る世界を満喫し、大切な人が笑っていられる事が幸せだ、と皆、理解していた。
fin
「当然、私のダーリンを守るわよ」
アドンはいつの間にかフェリスのダーリンになっていた様だ。
「失礼します。出来上がった書類をお持ちしました」
ノックの後、アドンが扉の向こうで声を掛けてきた。
「ダーリン」
ゼウリスが声を掛ける前にフェリスが扉を開け、アドンに抱き付いた。
「フェリス様。いらしていたのですね」
仕事場ではいつも無表情なアドンが少しだけ微笑み、フェリスを見詰めている。
「アドン、書類は机に置いててくれ」
ゼウリスが声を掛けると、優しくフェリスに頷き、ゼウリスには臣下の礼をとった。
「アドンも納得した様だな」
「はい。魔族と人間は生きる時間が違う、と聞いて戸惑いましたが僕はやはりフェリス様と生きたい」
ゼウリスの問いにアドンは誠実に答える。
「では、アドンに付く害虫駆除を頼む」
部下に視線を向けると、部下はクスッと笑う。
「新しい揺籠が必要でしたので、助かります」
あの後、エリスは無魔蛙の揺籠として魔族の国の沼に放された。
死ぬことはもちろん、精神を崩壊させる事も許されず、希少種の蛙の揺籠兼餌として生かされているが、そろそろ揺籠として使えなくなってきたので、処分を検討していたようだ。
「無魔蛙は希少過ぎて生態がわからない所が多いけど、揺籠があれば繁殖出来ると分かっただけ、進歩だ」
術を解き、本来の姿に戻ったアーモンをフェリスとゼウリスがまっすぐ見詰めた。
「テーミスを泣かすなよ」
「あれは鋼の心臓を持ってます。俺の方が泣かされそうですよ」
テーミスは一時、オリンシア王国の為に他国の王族に嫁ぐ事を考えていたが、アーモンが強奪する様に魔族の国に連れて行った。
魔族の国で苦しい思いをしているか、とミルフィリアは心配していたが、それは杞憂だった様だ。
「たまには顔を見せに来い、と言ってくれ。ミルフィリアが気にしてる」
「アルシスの魔力が安定したら連れてくる」
アルシスは、アーモンとテーミスの子供で、かなり魔力が強いらしい。
魔王ルシードの後継者として王宮で教育されている、と聞いた時は流石のゼウリスも唖然とした。
中庭に目を向ければ、ミルフィリアが2人の子供と楽しげに笑っている。
此処にアルレス達の子供とテーミス達の子供が集まれば更に賑やかになるだろう。
「ミルフィリアは、確かにアクヤクーナだ。彼女が居るだけで場が明るくなる」
「万物に惜しみなく光を降り注ぐ存在ね」
ゼウリスとフェリスが眩しそうに見ていたが、アーモンが面倒くさそうに頭をかきながら部屋を出ようとした。
「アーモン、ミルフィリアに挨拶しないで帰るの?」
「とっとと仕事を終わらせてくる。俺だけミルフィリア様に会ったって言ったら、後が怖い」
そう言いながらも、アーモンの口元は笑っている。
もう、たった1人だけが幸せになる、歪な世界は存在しない。
それぞれが、努力すれば良い。
努力が出来る世界を満喫し、大切な人が笑っていられる事が幸せだ、と皆、理解していた。
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sanzo様
お久しぶりです♪
再読ありがとうございます
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ヒロインは……反省しないでしょうねぇ
あまり沸いて出てこられるのも黒いカサカサ君みたいで困りものです
面白かった~! 《おすすめ》から短編ばかりを選んで読んでたから最後まで読みきれるかなと不安だったけど、面白くてスルスルと読み進め、あっという間に最後まで。
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