神聖なる悪魔の子

らび

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30. 忘却と箱庭

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 外国の朝は新鮮なものがある。例えそれがどんな天気でも。とは言っても、今日はどうやら快晴、暑さを予測して朝から霧がたっていた。隣で眠っているカインは、珍しく私よりもお寝坊さんで、滑らかで美しい肌を胸までさらけ出していた。寒くて冷えてしまうのではないかとその肩に触れると、案の定冷たく冷えきっていた。風邪をひかせてはいけないと、足元に丸まっている毛布を引っ張って彼にかぶせる。それを整えようと伸ばした手が、彼の頬を掠めた。
「…うんー」
「あっ」
一瞬、起こしてしまったかとも思ったが、彼は子犬のようにもぞもぞと動いただけで眠りから覚めることは無かった。
(かわいい…)
いつもより幼く見える彼の姿はたまらなく可愛らしいもので、思わず頬をすり寄せたくなるものだった。しかし、そんなことをすればますます起こしてしまう。だから代わりに、そっと手を出してカインの髪をなでた。
 すると、ふわふわと触れているうちに、髪の中にモコっとした何かの感触を感じた。それは耳のあたりで、髪の下に何かが隠れているようだった。指先で壊れ物に触れるように髪を避けていく。柔らかくて温かくて、モコモコしているもの。そう、それは。
(…耳!?えっ、犬!!?)
思わず声を上げてしまいそうになった。そこに現れたのは、髪と同じ色をした三角の耳。眠っているからかぺたんと折りたたまれているけれど、これはきっとピンとたっている系の耳だ。
(…オルトロス?)
耳の先に指で触れると、ホコリ避けの反射でヒラリと耳が揺れる。癖になりそうだった。
「うん…ぁ。おはよう、起きてたん…だだぁっ!?」
ほっそりと目を開けた彼は、何を感じたのか耳の存在に気づいたようにがばっと飛び起きる。その顔は真っ赤に染まっていて。
「あっいや、その…これはっ」
珍しく狼狽えている彼の姿は珍しく、私は唖然としてそれを見つめてしまう。
 数秒の沈黙を置いて、彼は我に返ったように頭をかいた。
「あー、まぁいいや。」
「それって、オルトロスの…?」
「うん、そう。笑えるだろ?いい歳した男が犬耳なんて」
「…似合う」
「えっ」
「可愛い」
「それは褒められているのかな…?」
「うん」
「…そっか。」
そう言いながらも、なにか腑に落ちないような感じで彼は自分の耳を髪を梳くように数回撫でた。すると、それは髪の中におさまり、何事も無かったかのように元の人間の耳が見えた。
「どうしてそんなことできるの?」
「できるっていうか、勝手に出ちゃうんだよ。前に熱を出して倒れた時もそうだけど、俺は中途半端に異端児だからね。君みたいに調節出来ないんだ。だから、眠っている間にバランスが崩れて、たまにこうなる。」
「私なら調節できるの?」
「できるよ?」
「でも、私は聖獣になる能力なんて持ってないよ?」
「あるよ。」
「えっ」
「え?」
初耳だった。私、なにか動物になれるのか。
「ノア。」
「うん?」
「寒いからこっちきて」
来てと言いながら、彼は私の腕を引いていて、あっという間に彼の両腕の中に収まった。直に触れる肌が彼の体温の低さを私の背に伝えていて、代謝が悪いのかな、などと心配になってしまう。
「大丈夫?」
「こうしてると温かいからね。」
「どうして同じところで寝ていたはずなのにこんなにも体温に差があるんだろう」
「性差かな。女の子の方が温かいし、柔らかいし、身体が小さいものでしょ?まぁ、例外を差別するわけじゃないけどね。」
「…そんなものか。」
締め切られた窓から白い光が差していて、でもその光からは熱は感じられない。凍てつく湖の表面に張った薄い氷のように、美しく繊細な光だった。
 もう春も半ばだというのに、雪は止みそうにもない。こんなにも帰れないとは思わなかったから、お家がホコリだらけになっていなければいいけれど。きっと、母国の雪もまだ止むところを知らずにいるだろう。
 前回、国を出た時も予定通りに帰れなかった。けれど、今回の旅は優雅な時を過ごしている。もう間もなくその旅も終わりを告げるわけだが。

 クリスマスから約3ヶ月。私達はやっとのことで帰路についた。

●●●
カインside

 久しぶりに帰った自宅は、案の定雪で覆われていた。この国の気候は北極寄りのために寒さが強い。3月も後半なのに、まだ雪が降っていた。道路も所々凍結していて、雪用のタイヤではない車での走行はいつもの倍以上の時間がかかった。そのせいで既に日が暮れていて、六時前だというのに新月の今夜は明かりがない。
「ノア、着いたよ。」
「…うん~」
助手席で眠っているノアを揺り起こす。彼女も相当疲れているようで、その重そうな瞼はなかなか上がらない。頬が少し赤身を帯びて、少し涙目になっているその顔は、ぐずった幼子のようだった。
 車を降りて、助手席側に回り扉を開ける。夢現、と言った感じで彼女は倒してあるシートから身を起こそうとする。しかし、なにか痛みに耐えるようにしてノアは自らの胸と腹のあたりを抱きしめるように背中を丸めた。
「どうした」
「いや、ちょっと張ってて…痛いから」
それを口にした時、彼女はハッとしたように顔を上げて、俺の方を見て悲しげな顔をした。そうされるのは何度目だろうか、俺は再びすべてを悟った。
「大丈夫、また次だね。」
「ごめん」
今にも泣き出しそうなリリノアの頭をそっとなでて、その手で彼女を抱き上げる。すると、ノアが座っていた座席の座面には少しばかりの血液が残されていた。
 俺たちは結局のところ、3ヶ月も海外を転々としていた。というのも、空港にラミアがいるとの情報が耳を掠めたために帰れずにいたのだ。ノアは妊娠しているわけではないし、今出くわすことには何も問題ないのだが、俺の精神がそれを許さなかった。だから、ノアと話し合って少し時間を開けるという結論に至ったのだ。ノアは「ハニームーンかな?」なんて言って楽しんではいたけれど、楽しみと疲れは紙一重であり、体の中のリズムが乱れてもおかしくない。
 そんな中で、俺たちは数回にわたって二人目の子供を作ろうと試みた。しかし、そのどれもが失敗に終わり、彼女が身篭ることは無かった。着床しなかったのか、端から失敗だったのか、流れてしまったのかは分からない。けれど、前回がスムーズに事が進みすぎたせいか彼女は少し焦っているように見えた。
「ノア、心配してるのかい?」
小刻みに肩を震わせる少女。それが寒さゆえの反応でないことくらい誰にでもわかる。
「…怖いのかい?」
そっと尋ねると、彼女は俺の服を握りしめた。
「そっか。君は優しいね。」
きっとノアが心配し、恐れているのは流れてしまった可能性。それは誰のせいでもないにせよ、命の芽を摘み取ってしまったことになる。それに、あまりにもそれが続くようなら病の可能性を疑わなくてはならない。ついてくる恐怖は後を絶たない。
「一度、アネモネに診てもらうかい?」
「…うん」
現実を突きつけられるのは誰だって怖い。でも、何も知らずにどこかで何かが進行してゆくのはもっと怖い。だから、腹を括るしかないと、そう思った小さな決心だったのだろう。

 ノアを風呂に入れてからベッドに寝かせ、彼女が眠ったのを見届けると、俺は久しぶりの自室に足を運んだ。部屋の壁に取り付けられた外から続く郵便受けの下には、投函されたのであろう手紙がバラバラと散らばっていて、その量は凄まじいことになっていた。とりあえずそれを無視してパソコンを立ちあげると、こちらもメールが何千件と溜まっていて、うんざりせずにはいられなかった。
「…やるか。」
独り言を呟き、形から気合を入れて眼鏡をかける。これが仕事前の一連の流れ。そうすると自然とやる気になれる。メールの内容は迷惑なものばかりで、もうパソコンごと叩き割ってしまいたい衝動に駆られる。しかし、そんなことをしても埒は明かない。さっさと終わらせてしまえとキーボードを壊れてしまいそうな勢いで叩く。
 通販、振り込め詐欺、リリノアへの訳の分からない依頼書。本邸からの連絡、姉からの情報。必要そうなものを保存フォルダに転送し、いらないものはすべて削除する。モノによっては返信を送らなければならない。というのも、良くない輩がノアとの接触を図ろうとしてこじつけの様な面会希望の書類を送り付けてくるのだ。平和ボケしているようだが、俺はこの手には鋭いつもりだ。彼女の命を狙う奴らがいつ襲いかかってきても対応できるように、あれこれと策を練っている。もちろん、ノアには気づかれないように。
 しかし、そうは言っても相手を逆撫でて殺気立たせても仕方がない。触らぬ神に祟りなし、とはこのことである。だから、半ば睨みつけるようにして画面を見つめながら丁寧なお断りと謝罪文をつらつらと書き連ねる。これで読む気も無くして懲りてくれたらいいのに…。
(で、姉さんはなんだって?)
保存したメールからアネモネからのものを引き出す。

差出人:アネモネ・ブルード
宛先:カイン・ブルード
タイトル:経過報告しまーす!

本文:この間リリノアから採取した血液を元にあんたらの魂について調べていたわけなんだけど、やっぱりカサネだったよ~。あ、カサネっていうのは、魂と別の名前をつけることを言うんだけど…ただ、本邸から持ち出した書物や歴史書の中で、カサネの子供が二人いるって言うのは異例なんだわ。まだこの程度しか分かってないし、だから何って言われればそれまでなんだけど、まあ一応わかったことを報告しておきます。帰国して二人とも疲れてると思うからしっかり休みなさい。アンタもちゃんと寝なさい!今年4月まで雪が降るだろうって話だから、気をつけてね。

P.S.こっちは元気にやってるよ。あれからもう二年近くが経ったね。心の整理がついたら当主として会いに来るのもアリだと思うの。だから、何気なくリリノアにも話を振ってあげなさい。アンタのことだから黙ってるんでしょう?
 返事待ってます!またね!




 いかにも、と言った感じだった。姉さんは千里眼でも持っているかのようにこちらの様子を把握してしまう。いっそ盗聴器や監視カメラでも付いているのではないかと思うけれど、あの人の性格や言動、モノの考え方からしてそんなもの取り付けなくても想像で間に合ってしまうのだろうと納得出来る。
「そうだね。手紙は後にして、もう寝るよ。」
画面に向かって独り言を呟き、パソコンの電源を落とす。時計を見上げれば、もう深夜の2時を回っていた。それを知った途端に欠伸がこみ上げてきて、眼鏡を外しながら遠慮なくこぼす。
 暗転したパソコンを閉じて、部屋をあとにする。そのまま覚束無い足取りで浴室へと向った。
(お湯を張るのも面倒だな…)
冷たいタイルの床が段々と体温を奪っていく。しかし、早く寝たい一心で溜息をつきながら服を脱いで頭からシャワーを浴びる。熱湯が眠気を僅かながら覚まし、ふと頭を過るのは先程の文面。
(心の整理がついたら…か。まだダメだ。整理どころか今のノアは不安定だ。不妊症ともなれば治療が必要になる。きっと彼女は自分の事でいっぱいになる…いや、なってくれなきゃ困るのに、今関係をややこしくする訳にはいかない。)
お湯を止めてバスルームを出る。タオルで水分を取りながら寝巻きに手を通し、髪も乾かさずに寝室を目指した。
 くらい廊下を電気も付けずに歩いていく。二回に上がるとノアの部屋の扉が少し開いていることに気づいた。ついでに言うなら、その隣の俺の寝室の扉も開いている。何事だろうとノアの部屋を覗くと、寝かせておいたはずのベッドは無人だった。扉を閉じて俺の寝室に入ると、予想通り彼女の姿があった。ただじっと、部屋の真ん中に佇む彼女は、白のネグリジェと銀色の髪が相俟って、一見すると暗闇にぼんやりと浮かぶ幽霊のようである。
「どうしたの、ノア。目が覚めてしまったのかい?それとも、まだお腹が痛い?」
「ううん、違うの。」
彼女はゆっくりとこちらを振り向く。紅い隻眼がこちらを掠めるように見た。その瞳は不安に揺れている。
「あのね、夢を見たの。ずっと昔…多分、人間と神が共存していた世界のこと。私はそこにいなくて、カインもいなくて、でもその世界を見つめているの。皆、知っている人な気がしたの。でも、1人だけどうしてもわからないの。」
夢の話などするような子ではなかった彼女が、突然寝ぼけたようなことを話し始める。本当に寝ぼけているのかもしれないけれど、俺は黙ってその話を聞くことにした。
「へぇ。で、その分からない人の名前は聞けたのかい?」
「うん」
「なんていう人だった?」
「…アドニス。」
俺は一瞬で素面に返った。そうだ、すっかり忘れていたじゃないか。俺が異端児であることは、もうリリノアも状況や成り行きから結果的にすべて理解したことには間違いない。しかし、詳しい話をしていなかった。生前のあの歪んだ世界で、創世者に言われたこと。ノアは眠っていたから何も知らない。意図的に隠していた訳では無いが、なんとなくその話を避けてしまっていた。古の話をすれば、あの女が反応してしまうと思ったから。でも、そろそろ潮時なのだろうと脳が悟っている。虚ろな目で空を見つめるノアに手を伸ばした。
「おいで。寒いだろう」
「…」
フラフラと歩いてくる彼女の手を取って、ソファに誘導した。そして、ベッドから毛布を引っ張り出して彼女に掛ける。その対面に座って、1回だけ深呼吸して重い口を開いた。
「そうだね、どこから話そうか…」
「なんのこと?」
「俺たちが生まれる前のこと。君の欠落した記憶について。」
「私の記憶?」
「そう。あ、記憶喪失の事じゃなくてね?…君は、すべての神の記憶を継ぐはずだったんだ。」
「うん」
「でも、俺という存在が、その一部を奪ってしまったんだよ。」
「…?」

そう、遠い昔。アダムとイヴの神話。アダムのあばら骨からイヴが作られた。俺たちの場合はその逆だったわけだが。俺がもらい受けたのは骨の欠片だけじゃなかった。方舟のノアが女に生まれたことの原因は、俺が性を奪ってしまったこと。まぁ、その話も今となっては何が本当かはわからないが。そして、もう一つ奪ったのは、アドニスの記憶。だから彼女の記憶の中にはアドニスという神は存在していない。

「とても綺麗な人だったの。カインに似ている気がしたの。…記憶を持っているのがカインだからなのかな。」
「さぁ、それはわからない。」
「創世者って、誰なの?」
「それは…俺も知らないんだ。」
「そうなんだ」
少し残念そうに目を伏せる彼女。しかし、眠気もあるのかゆらゆらと揺れている。
「眠い?」
「うん…」
「夢の話をしに起きてきたのかい?」
「…すごく怖くて、目が覚めて…不安になったから、カインを探してて…部屋にもいないから、」
「あぁ、悪かった。ちょっとだけ荷物を片付けてしまおうと思ってね。」
「そ…う」
とうとう目が開かなくなってきたようで、ノアはゆっくりと左目を擦り始めた。
「あぁ、擦っちゃダメだよ。眼薬でも持ってこようか?」
「…いらない」
「じゃあもう寝よう。」
声をかけると、億劫そうに立ち上がってこちらに歩み寄ってくる少女。二人がけのソファ、俺の隣の空いているスペースに彼女は毛布を背負ったまま腰を下ろした。
「こんなところで寝たら風邪をひくよ?」
「…いなくならないで」
若干会話が噛み合っていない。よく見れば、その大きな瞳は完全に閉じられていて、背もたれに寄りかかったせいで反ったお腹が微かに上下している。いつの間にか寝息を立てていたのだ。
(やれやれ、うちのお姫様はこまったものだ。)
こうしていては俺自身も寒かったので、仕方なくノアを抱えてからソファに足をあげる。腹の上に小柄な彼女を乗せれば温かい。いわば、リリノアごと毛布を無理やり被った。
(あと三時間もすれば夜が明ける。目が覚めたら、姉さんのところに連絡を入れよう。一度見てもらわなければならないこと、そして…まだ時期尚早であると伝えなければ。)

 東の空が白み始め、大地一面の白銀が眩しく輝き出した頃、俺ももう完全に眠りに落ちていたようだ。脳はごまかせても体は正直で、やはり疲れていたんだなぁなんて実感してしまう。夢も見ずに爆睡したのだから。
 今日、たった今までは平和を保っている方だ。しかし、いつこの均衡が崩れてもおかしくない。明日もまた平和を守れるだろうかという不安が尽きない毎日だけれど、こうして彼女が俺の腕の中で眠ってくれるうちは何も心配いらないと、そう言い聞かせて時を超えるのだ。俺は、そのためにいるのだから。
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