二人の時間。

坂伊京助。

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ソファーで二人。

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ソファでお気に入りの推理小説を読んでいるミナミと、そのミナミの太ももに頭を乗せて呆然と天井を眺めている。部屋には、サラサラとページをめくる音だけが響いてゆったりとした時間が流れる。物語の世界に浸っているミナミに対して静まり返った空気の中で天井を眺めることに飽きてきたレイカがふと、小さな疑問を投げた。

 「ねぇ、ミナミ?私のどこが好き?」本の世界に夢中なミナミは、言葉が自分に投げられたということだけ認識して一言、「うん、」とだけ答えた。そのミナミの満点とも言える見事なまでの適当な返答に小さく苛立ちが芽生えたが諦めずに同じ疑問をもう一度、投げる。「ねぇ、ミナミ?私のどこが好き?」「うん、そうだね。」またしても心の籠っていない返答に芽生えた苛立ちが限界に達したレイカは、勢い良く上体を起こしてミナミの横に正座をして、読んでいる本を取り上げて少し大きな声で名前を呼んだ。「ミナミ!」完全に本の世界に入り込んでいたミナミは、レイカの突然の呼びかけに驚き、一気に現実の世界へと引き戻された。「なに?どうしたの?」「ねぇ、さっきから私の話聞いてないでしょ!」「え?あっ、ごめん、ちょうど面白いところだからつい夢中になっちゃってごめんね?」「せっかく二人で居られる時間なのにミナミは、私よりも本の方が大事なの?」「いや、別にそういいう訳じゃないけどさ、」「じゃあ、なんで私の言ってたこと聞いてなかったの?」「ごめんね、でも早く最後まで読みたかったからさ。」「ふーん、そんなに本読む方が楽しいなら一人で本読んでればいいじゃん。」レイカはふて腐れて体を百八十度、回転させてミナミに背を向けて体育座りをした。自分に向けられた悲しそうな背中を見つめ、レイカを悲しませてしまったことの罪悪感と同時に小さく丸まった姿を愛おしく感じた。二人の間にしばし沈黙が続いた。ミナミは、ソファから体を起こして小さく丸まったレイカの体を後ろから優しく包み耳元で優しく語りかけた。「ほったらかしにしてごめんね、私の中で一番大事なのはいつだってレイカちゃんなんだよ?」「うるさい。」自分の膝に顔を埋めてながらレイカが小さく呟く。「そんなこと言わないでよ、可愛いレイカちゃんが台無しだよ?」「うるさい黙れ。」「レイカちゃん、小さい子みたいで可愛い」「そうやって都合悪くなると優しくするの本当ずるいよね、今日は久しぶりに二人揃ってのお休みだからいっぱいミナミを充電しようと思ってたのに、ミナミはずっと本に夢中で相手してくれないから寂しかった。」
「そうだったんだね、寂しい思いさせてごめんね?」「じゃあさ、今日の残りの時間は私のしたいことに付き合ってくれる?」
「いいよ!で、レイカちゃんは、私と何がしたいの?」
 ミナミの腕の中から抜け出して向き直り満面の笑みをミナミに向けた。」「えーっとね、まずはいっぱいぎゅうってして欲しいな!」「ふーん、ぎゅうってして欲しいんだね、でもさそれよりも良いことしない?」「えっ?!ちょっまって!!」そういうとミナミは、目の前のレイカをソファに押し倒して瞳を閉じて全てを受け入れるレイカと少し意地悪な笑みを浮かべながらミナミは、レイカに体を重ねる
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