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ゆいの日常。
初めて触れた二人。<前編>
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「ねぇ百合菜、いつまで隠れてればいいの?」「しっ!やっと隠れられたんだから!」
平手百合菜は、とてもキラキラしている。無邪気な笑顔とまるで王子様のような雰囲気で私は癒されている。もちろん、その可愛さに癒されているのは私だけじゃないことは言うまでもなくて、校内には百合菜のファンクラブや親衛隊も存在する程の人気がある。私と百合菜はいわゆる幼馴染で保育園の頃から高校生になった今も同じ学校に通っている。友達の少ない私が、周りの輪に入らずに苛められることもなく静かな学生生活を送ることが出来ているのは、きっと百合菜のお蔭でもある。
私がいつも通り他の生徒よりも少しだけ早く登校して、静かな教室から外を眺めていると正門のあたりに生徒が集まっているのが見えた。その中央には、百合菜がいた。人混みが苦手な私は、これに巻き込まれるのが私が少しだけ早く登校する理由の一つでもある。しばらくすると、たくさんの生徒を引き連れるように百合菜が教室にやってきた。「おはよっー!じゃあね皆、毎日教室までありがとね!」そう爽やかに言って、教室に入るとそれを待っていたかのようにチャイムが鳴る。百合菜の後についてきていた生徒たちはそれぞれ自分の教室に帰って行った。「今日も凄いね!平手ちゃん!」クラスメイト達が話しかける。「やっぱり溢れ出る魅力は、抑えられないんだよね、なーんて、冗談、冗談。」「いやいや、平手ちゃんの魅力には誰も敵わないよ!」「私たちは、同じクラスだなんてそれだけで、幸せ者だよねっ!」「そんなに言われると照れるなぁ、でもそう言ってくれてありがとね!」今日も変わらず百合菜は、優しくて爽やかな皆の人気者に間違いない。そして、今日も自分の席に向かいながら私にだけ聞こえるように「おはよ。」と囁いてから自分の席に着く。今日も平凡で、それでいて平和な理想の一日のはずだった。
私、小林優衣は現在、平手百合菜と一緒に体育館の掃除用具を入れるロッカーに隠れている。
午前中の授業が終わって、いつも通り一人で購買に向かっていると後ろから聞きなれた声が私を呼んでいた。「ゆ~い~!」そこには、大勢の生徒たちから逃げている百合菜の姿だった。きっと百合菜と一緒にお昼を食べたい生徒たちだろうと私は、すぐにその場の状況を理解することが出来た。「た、大変そうだね。」この状況は、今日が初めてじゃなかった。一応、百合菜を労う言葉をかけてから購買に向かおうとした。その時、百合菜は私の手首を掴んで走る速さを加速させた。「えっ?ちょっ、まって百合菜。」あまりに突然の出来事で頭の中で処理をしきれない私の口からは、上手に言葉が出てこない。「いいからっ!早く!」そう言って私の手首を掴んでいる力が少しだけ強くなるのを感じた。そうしてそのまま私たちは、一緒に校舎中を逃げ回って最終的にこの体育館のロッカーにたどり着いた。それにしても近すぎる。「もう人、行ったんじゃない?」小さな声で百合菜に囁く。「うん、急に連れまわしちゃってごめんね?」少し申し訳なさそうにこの場で出来る限りで最大限に俯きながら私に謝ってきた。「急でびっくりはしたけど、別にいいよ!」確かに最初は、びっくりはしたけど、小さい頃に百合菜とよく一緒に鬼ごっこをした時の事をすこしだけ思い出せたからそこまで、嫌という気持ちはなかった。「ほんと、ごめんね?巻き込むつもりは無かったんだけど、優衣がみえたからつい。」「いや、だから私は大丈夫だよ!でも、なんで逃げてたの?いつもなら、親衛隊とかファンクラブの人達か仲良い友達と一緒にお昼、食べてるよね?」「うん、実はね。」俯いていた顔を私の方に上げた百合菜の唇がゆっくりと動きだす。「好きな人が居るんだけど、それが皆にバレちゃってさ、でもこの恋は、敵わないからずっと片思いでいようって思って隠してたんだけどね。」まさか、百合菜の口からそんな言葉が出てくるとは、思いもしなかった。あんなに人気者の百合菜が片思いをしているなんてとても想像もしていなかった。「そ、そうなんだ、それは大変だったね。」こういう時、なんて言葉をかけたらいいか全く分からない。私自身も恋愛の経験なんて無いからせめて幼馴染としてせめてもの心配をしている事が伝わるように言葉をかけた。「あのね私、優衣の事が好きなんだ。」百合菜の口から飛び出した言葉の衝撃があまりに大き過ぎて、私の頭の中は、真っ白になってしまった。「ごめん、本当はずっと隠しておこうと思ってたんだけど、この距離でずっと優衣のこと見てたら我慢できなくなっちゃって。」「えっ?」それから沈黙が続いた。早まる百合菜の鼓動が聞こえてきて、後を追うように私の鼓動も徐々に早まる。そして、私が口を開こうとしたその時。百合菜が自分の背中に回した手でロッカーの戸開けた。白い光が私の目に飛び込んできて、思わず私は目を瞑ってしまった。そして、私はロッカーから引き上げられ、百合菜にキスをされていた。「ダメ、何も言わないで。」私のことをじっと見つめてそう言うと、百合菜は私の目の前から走り去ってしまった。体育館に一人取り残されて、ただ茫然とその場に立ち尽くした。昼休みの終了を告げるチャイムがなって私は、我に返った。「えっ、き、すされた、、、。」
その日、私は百合菜の新しい一面に触れた。
平手百合菜は、とてもキラキラしている。無邪気な笑顔とまるで王子様のような雰囲気で私は癒されている。もちろん、その可愛さに癒されているのは私だけじゃないことは言うまでもなくて、校内には百合菜のファンクラブや親衛隊も存在する程の人気がある。私と百合菜はいわゆる幼馴染で保育園の頃から高校生になった今も同じ学校に通っている。友達の少ない私が、周りの輪に入らずに苛められることもなく静かな学生生活を送ることが出来ているのは、きっと百合菜のお蔭でもある。
私がいつも通り他の生徒よりも少しだけ早く登校して、静かな教室から外を眺めていると正門のあたりに生徒が集まっているのが見えた。その中央には、百合菜がいた。人混みが苦手な私は、これに巻き込まれるのが私が少しだけ早く登校する理由の一つでもある。しばらくすると、たくさんの生徒を引き連れるように百合菜が教室にやってきた。「おはよっー!じゃあね皆、毎日教室までありがとね!」そう爽やかに言って、教室に入るとそれを待っていたかのようにチャイムが鳴る。百合菜の後についてきていた生徒たちはそれぞれ自分の教室に帰って行った。「今日も凄いね!平手ちゃん!」クラスメイト達が話しかける。「やっぱり溢れ出る魅力は、抑えられないんだよね、なーんて、冗談、冗談。」「いやいや、平手ちゃんの魅力には誰も敵わないよ!」「私たちは、同じクラスだなんてそれだけで、幸せ者だよねっ!」「そんなに言われると照れるなぁ、でもそう言ってくれてありがとね!」今日も変わらず百合菜は、優しくて爽やかな皆の人気者に間違いない。そして、今日も自分の席に向かいながら私にだけ聞こえるように「おはよ。」と囁いてから自分の席に着く。今日も平凡で、それでいて平和な理想の一日のはずだった。
私、小林優衣は現在、平手百合菜と一緒に体育館の掃除用具を入れるロッカーに隠れている。
午前中の授業が終わって、いつも通り一人で購買に向かっていると後ろから聞きなれた声が私を呼んでいた。「ゆ~い~!」そこには、大勢の生徒たちから逃げている百合菜の姿だった。きっと百合菜と一緒にお昼を食べたい生徒たちだろうと私は、すぐにその場の状況を理解することが出来た。「た、大変そうだね。」この状況は、今日が初めてじゃなかった。一応、百合菜を労う言葉をかけてから購買に向かおうとした。その時、百合菜は私の手首を掴んで走る速さを加速させた。「えっ?ちょっ、まって百合菜。」あまりに突然の出来事で頭の中で処理をしきれない私の口からは、上手に言葉が出てこない。「いいからっ!早く!」そう言って私の手首を掴んでいる力が少しだけ強くなるのを感じた。そうしてそのまま私たちは、一緒に校舎中を逃げ回って最終的にこの体育館のロッカーにたどり着いた。それにしても近すぎる。「もう人、行ったんじゃない?」小さな声で百合菜に囁く。「うん、急に連れまわしちゃってごめんね?」少し申し訳なさそうにこの場で出来る限りで最大限に俯きながら私に謝ってきた。「急でびっくりはしたけど、別にいいよ!」確かに最初は、びっくりはしたけど、小さい頃に百合菜とよく一緒に鬼ごっこをした時の事をすこしだけ思い出せたからそこまで、嫌という気持ちはなかった。「ほんと、ごめんね?巻き込むつもりは無かったんだけど、優衣がみえたからつい。」「いや、だから私は大丈夫だよ!でも、なんで逃げてたの?いつもなら、親衛隊とかファンクラブの人達か仲良い友達と一緒にお昼、食べてるよね?」「うん、実はね。」俯いていた顔を私の方に上げた百合菜の唇がゆっくりと動きだす。「好きな人が居るんだけど、それが皆にバレちゃってさ、でもこの恋は、敵わないからずっと片思いでいようって思って隠してたんだけどね。」まさか、百合菜の口からそんな言葉が出てくるとは、思いもしなかった。あんなに人気者の百合菜が片思いをしているなんてとても想像もしていなかった。「そ、そうなんだ、それは大変だったね。」こういう時、なんて言葉をかけたらいいか全く分からない。私自身も恋愛の経験なんて無いからせめて幼馴染としてせめてもの心配をしている事が伝わるように言葉をかけた。「あのね私、優衣の事が好きなんだ。」百合菜の口から飛び出した言葉の衝撃があまりに大き過ぎて、私の頭の中は、真っ白になってしまった。「ごめん、本当はずっと隠しておこうと思ってたんだけど、この距離でずっと優衣のこと見てたら我慢できなくなっちゃって。」「えっ?」それから沈黙が続いた。早まる百合菜の鼓動が聞こえてきて、後を追うように私の鼓動も徐々に早まる。そして、私が口を開こうとしたその時。百合菜が自分の背中に回した手でロッカーの戸開けた。白い光が私の目に飛び込んできて、思わず私は目を瞑ってしまった。そして、私はロッカーから引き上げられ、百合菜にキスをされていた。「ダメ、何も言わないで。」私のことをじっと見つめてそう言うと、百合菜は私の目の前から走り去ってしまった。体育館に一人取り残されて、ただ茫然とその場に立ち尽くした。昼休みの終了を告げるチャイムがなって私は、我に返った。「えっ、き、すされた、、、。」
その日、私は百合菜の新しい一面に触れた。
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