俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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初等部編

27.医務室にて

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コンコン

「イズリル・バードナーです、失礼します。」

「どうぞ」

ガチャ

「おやおや、イズリル殿にオブシディアン殿、いかがされましたかな?」

そこには医務室のお爺さんがいた。

他にお見舞いの人は居ないみたいだな

「ええ、少々この重症者達に用事がありまして。」

「いや、だがこの子達はまだ意識が戻っておらず...」

「大丈夫ですよ、俺が起こします。」

「一体何を...?」

俺はパチンッと指を鳴らし、祝音の癒しという光属性の最上位魔術、あらゆる状態異常や病気怪我を治す事ができる魔術をこの3人に行使した。

すると3人が寝ているベッドの下の床に魔法陣が現れ、黄金色に輝き、やがて光の粒になって消えた。

「なっ!?これは、まさかっ...!この国の神殿の上位神官でさえ使える者がごく僅かと言われている祝音の癒し...!?」

「えぇ、そうですよ。でも俺がこの3人を治したことは内緒にしておいてくださいね。」

「あ、あぁ...。」

さてと、そろそろ起きるかな?

すると予想通り、最初に目を開けたのはアロナだった。

「ゔっ、ここは...?」

パチパチと瞬きをしながら状況を確認する。

「ここは王宮の医務室ですよー。」

「医務室...、はっ!そうだ、暗殺者がっ!殿下は!メイル殿下はご無事ですか!?」

「落ち着いて、殿下は無事だから。俺が捕まえて尋問も俺のお父様が済ませたから。」

俺の肩を両手で掴み取り乱すアロナを見ていつものふざけた喋り方をやめ、真面目に返答する。

「イズ...そうですか、はぁ、良かったです。」

取り敢えず落ち着いたみたいなので俺もベッドの横に置いてある椅子に座る

「私は一体どのくらい寝ていましたか?」

「3日。」

「...は?え、3日ですか?」

「そう、3日間寝ててまだ起きそうになかったから俺が魔術で治療した。話があったからな。」

「話し...ですか。それにしても私達はそんなに重症だったのですか?」

アロナがそう言うと医務室のお爺さんが話に入ってきた。

「君達はとても重症だったのだよ、ここに居るイズリル殿が応急処置をしなければ命を落としていたし、今も君達が目覚められるよう少々特殊な治療を施してくれたんだ、あと君達のご家族も大変心配して何度もお見舞いに来ていたんだ、後できちんとお礼を言っておきなさい。」

「先生...分かりました。イズもありがとう、助かりました。」

「さてと、君達は今から大事な話をするのだろう?少々席を外すからキチンと話をしなさい。」

「すみません先生、有難うございます。」

「なんの、お礼はいいよ、では。」

そう言うとお爺さん先生はドアを開け廊下の方へ消えていった。

「それで、お話というのは...」

「俺、側近候補辞める事にしたから。」

「...え、なっ、どうしてですか!悔しいですが貴方の魔術や剣術には何度も助けられました!もっとも最近ではやっと仲良くなれたと思っていたのですよ!?」

ハァ、ハァッ、と肩で息をするアロナ

「落ち着いてくれ、俺はさっき殿下を怒らせた。だからもうアロナ達と一緒に側近として仕えることはできないんだ。」

「それなら一緒にメイル殿下に謝りに行きましょう!メイル殿下は貴方と会ってからいつも張っていた気が少し緩まる時があって楽しそうに笑う時が増えました、私達では貴方の代わりにはなれない!」

「俺の代わりをする必要はない、アロナ達と殿下には俺にはないものを持っている、それは信頼だ。」

「それはっ...」

俺はアロナの言葉をさえぎり話を続ける

「なに、剣術や魔術はキリエとロニーが居る。クセがある仲間達をまとめるのはアロナ、お前だよ。アロナは剣術も魔術も他の人より少しできるくらいかもしれない、でも宰相であるお父上から学んできた知識、マナー、そして交渉術を持ち合わせている。何も恥じることはない。」

そう、決してこの3人は能力値が低いわけではない。

ただ今までの敵が殺しに特化していた暗殺集団、闇ギルドの人間だったってだけだ。

「大丈夫、安心してくれ、アロナ達が本当にピンチの時は俺がすぐ駆けつけるから。」

「そんな...私は...。どうしても側近候補には戻らないのですか?」

「あぁ。だからキリエには剣術を、ロニーには魔術を、アロナには戦術全般を死に物狂いで頑張って学んで欲しいんだ。ピンチには駆けつけるとは言ったがそれは今回くらいの刺客程度では駆けつけないからそのつもりで。」

するとポカンと口を開けたアロナがそれはちょっと無理がありますよと言った。

だが、本当にこの程度の刺客にやられるのではこれから先が思いやられる。

メイルの命の危機がある時だけしか俺は駆けつけないと決めたので、そんな事が起きないようにこの3人には強くなってもらわないと困るのだ。

「アロナ、俺はこれから飛び級で一気に高等部まで上がるつもりだ。だからもう余程のことがない限りは殿下やアロナ達に会う事はないだろう。殿下の事を頼んでもいいか?」

俺は真剣な目をアロナに向ける。

するとアロナは息を飲んだ。

「いつも不真面目な貴方にそんな真剣に言われたら断れません。貴方もこんな風に真面目な話をする事があるのですね、分かりました。キリエ達には私から説明しておきます、短い間でしたが仲間としてメイル殿下に仕える事ができましたこと、絶対に忘れません。」

「あぁ、これからは殿下をよろしく頼む。じゃあ俺達はここを去るから、医務室の先生が戻ってきたらよろしく頼んだぞ。」

「はい、お元気で、イズ。」

アロナが寂しそうに笑う顔を最後に俺とオブシディアンは部屋を出た。






「いやー、真面目な話は肩がこるねー、オブシディアン。」

「そうだな」

「これでメイルとは本当に簡単には会えない関係になっちゃったなぁ」

ちょっと寂しいや

「寂しいのか?」

「ちょっとね。」

俺のエゴで記憶をいじって消した。

メイルの気持ちを無視して。

最低な行為だ

「記憶を消した事を後悔でもしているのか」

「そりゃ後悔もするさ、メイルは記憶を消される事を望んではいなかったから。ただの俺のエゴで記憶を消したんだ、恨まれても文句は言えないだろ?」

「......そう言うものなのか?人間はよくわらかんな、そんな細かい事はどうでもいいだろう。お前はあの時あのガキのことを思って記憶を消した、悪意があったわけでもない。それの何が悪いのだ」

「...オブシディアンが慰めてくれている...だと?...ふふっ、そうだな、俺はその時にベストだと思ったことをするのみ!今更後悔してるとか俺らしくない!ありがとうオブシディアン!元気出たっ、家に帰ったら甘いもの食べよう!」

「ふんっ、私はあのプリンとやらがいいな。」

「まかせろ!」
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