俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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9年後

33.とある日の事、オブシディアンの思い

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晩餐室で家族と食事中の時の事、俺はいつも通り食事をしていた。

「それでですね、お父様お母様、付与魔法の事なのですが...ゲホッ、ゲホッ!」

急に胸が苦しくなるこの感覚...またか。

「イズ?大丈夫か?」

「イズ、あなた大丈夫なの??急に咳して、風邪かしら?」

今回のはヤバいな、このままでは倒れる

そう思った瞬間

「イズリル、昨日から体調が良くなかっただろう、今日はもう部屋に戻って休むぞ。」

「それはいかんな、イズ、オブシディアン殿と一緒に部屋に戻りなさい。」

「そうですよイズ、無理はしてほしく無いわ」

「は、はい、行こうディアン。」

「ああ。」

そう言って晩餐室を出た途端、力が抜けて倒れそうになるのをディアンが支えてくれた。

「ゴホッ!」

咳をすると手に吐血した血がついていた。

体から体温が抜けていき、だんだん寒気が襲ってくる。

「さ、寒い...ディアン、悪いな誤魔化してくれてありがとう。」

「ふん、大体その魔術・・を解けば済む話だ、なのにあのガキのためにとイズリルが禁忌に近い魔術を使うからこうなるのだ。今回はなんの毒だ。」

「魔力が多い人ほど重症化する毒だ。体温が異常なほど下がり、氷の様に冷たくなるし、吐血もする。今回は流石にヤバい、俺ってば魔力量お化けだから。」

「冗談が言えるなら大丈夫だな」

「いやいや、待ってディアン!流石に歩けなくなってきたから部屋までおぶって」

「ふん、最初からそのつもりだ」

そう言うと俺をお姫様抱っこするディアン。

お姫様抱っこはやめて欲しいがそう言ってる場合じゃ無い。

早く解毒薬飲まないと本当に死ぬ。






俺の部屋に無事着いたのでディアンにベッドに降ろしてもらい布団を被る。

何だこれ、本当に寒すぎるし進行も早い。

メイルは大丈夫だろうか、今頃解毒薬飲んで少し落ち着いている頃かもしれないな。

そう、この毒は俺を狙って入れられた毒では無い。

メイルを狙って入れられた毒だ。

俺はメイルに変わり身の魔法(闇魔法)をかけた。

効果はその人の受けた怪我、病気、呪い、全ての物を俺に移し替えると言う禁忌に近い魔術だ。

因みにこれがお父様たちにバレたら多分謹慎くらう。

それだけの事をやらかしている自覚はある。

でもこうでもしないとメイルを一番に守れない。

メイルは怒るかもしれないけどね

ゼェゼェと荒い息をして震えながらディアンに解毒薬を飲ませてもらう。

この解毒薬はディアン特製の解毒薬で大抵の毒には効くらしい、凄いと思う。

ゴクッ

「はぁっ、これっ、どの位で...効くのっ...?」

「今飲んだから一時間もあれば効いてくるのではないか?」

一時間!?

遅すぎる!!

全身に冷水を浴びせられた様に寒い

尋常じゃない寒さだ

「ゲホッ、ゴホッ!!」


咳をして吐血の繰り返し、体は寒いし震えは止まらないし...

魔法で治さないのかって?

この毒は魔法をかけたら余計進行が加速する毒なので治癒魔法は使えないのだ。

あ、ついにまず目が見えなくなってきた。

解毒薬を飲んだから毒が抜ければ元に戻るのだがそれまでに五感が徐々に無くなっていくのもこの毒の嫌なところだ

「ディアンっ、ゴホッ、そこに...居る...?っゲホッ!」

「あぁ、居るぞ、私はイズリルのそばを離れたりはしないからな。」

「よかっ、た...目が見えなくなってきたから...ずっと、手を...握っててよ...、心細いから...ゲホッ」

「ああ。」

こう言う時って心細くなるよな、五感が消えていく感覚は二度とあじわいたく無い。

それくらい怖い。

「こわっ...い、ゲホッ」

「なんだ、イズリルにも怖いものがあるのだな。」

いや、五感が消えていくなんて怖いだろ、死ぬほど寒いし。

もう目だって見えてないし耳も聞こえづらくなってきてるんだぞ

「怖いなら私が強制的に眠らせてやろう」

「ん、...ゴホッ!お、ねが...ゲホッ」

ヤバい、呼吸もままならなくなってきた、苦しい、キツい

そんな事を思っているとディアンが俺の額に手を当てた。

触れられた場所からじんわりとした温かさが広がり、そのまま微睡みながら俺の意識は完全に落ちた。








オブシディアンsid

「寝たか。」

苦しそうな息をしながらも眠りについたイズリル。

全く、あんな人間のガキなど放っておけば良い物を、コイツは見捨てない。

自分が犠牲になる事などどうとも思っていない。

イズリルは自分の命をかえりみない。

これが無自覚にやっている所が危ういなと思うが当の本人にこれを言っても分からないだろう。

友達が困ってたら助けるのが当たり前だろと私が召喚された時に言っていたな。

懐かしいものだ。

人間の寿命などたかが百年もないくらいだ、私達悪魔からしたらすぐに過ぎ去ってしまう。

「クヒヒッ」

もう少しだ、もう少し待てばイズリルの魂は私のものになるっ

イズリルの魂はとても光り輝いている

穢れたものなど一切知らないかの様に。この魂が側にずっと永遠に私のそばにある、そう考えただけで何と心地いいか!

魔界に魂を連れ帰ったら依代に魂を入れて一緒にずっと過ごすのも悪くない。

そしたらイズリルを独占できる。

「あぁ、早く寿命が来ないだろうか...こんなにも待ち遠しいなんて初めてだ、イズリル。」

そう言いながら私はイズリルの輪郭を指で優しく撫でる。





ー早くこちら側に落ちてこいー




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