黒髪が王族の証という異世界に転移しました、自重は致しません。

クレハ

文字の大きさ
8 / 48
一章

後始末

しおりを挟む
ワシは地下牢に捕まっていた人達を全員奴隷商のアジトの執務室、そして怪我のひどい人を仮眠室に移動させ、その場から動かない様言いつける。

そしてボス含め十人いた構成員を地下牢へ押し込めた。

勿論ボス以外は殺した。

死体は酷いあり様だが、部下が全員拷問の様な殺され方をして死んでいったのをボスに見せ付けたのでボスは縛らなくても大人しくしている...が、一応縛っている。

後は奴隷商絡みの問題なので騎士団あたりを呼ぶのが妥当だろうか。

外にスラム街の子供がいたのでその子供を適当に捕まえて地下牢まで連れて行き、言いつけ通り騎士団に行って騎士団を連れてこい、そしたら金貨一枚あげるといってワシの冒険者カードとメモ紙を渡す。もし戻って来なかったらお前を探し出してこいつらと同じ目に合わせると言って脅した。

そしたら頭がもげそうなほど頷いて真っ青な顔をしながら街の方へ走っていったので大丈夫だろう。

まぁどうせこの奴隷商のアジトもトカゲの尻尾切りができる様なショボい組織だろうけどな。

あー、それにしてもいくら自分で殺す覚悟が出来ていたと言っても多少の嫌悪感とかあると思っていたけど...

手足が異常な方向に曲がった死体、体の一部が欠けた死体などを眺めながら苦笑いした

驚くほど何も思わないな...

そんなことを思っているとボソリと奴隷商のボスが呟いたのが聞こえた

「悪魔め」

「ハッ、悪魔上等。殺されなかっただけありがたく思えよ犯罪者。」

そんなやりとりをしてまた静寂が訪れる

ワシは壁に背を預け、目を閉じる

どれだけそうしていただろう

スマホのバイブレーションが鳴る

という事はさっきの子供が騎士団を連れて来たか...

「ここに君が頼まれた、という冒険者が居るのかな」

「う、うん...早く!」

ギィィッーと扉が開くとさっきの子供が走って来た。

「ち、ちゃんと連れて来たよ!お兄ちゃん!」

「良い子だ、ありがとう。これお駄賃ね、取られない様に上手く生きるんだよ。」

「ありがとう!」

そう言うとその子は慌てて外に出ていった。

「このメモは君が書いたもので間違いないか?」

「ああ、そうだよ遅かったね、あの子供が信じられなかったかな?」

「冒険者ギルドに確認していた。冒険者になりたてらしいが...」

そう言って死体の山を見て顔を顰める騎士団の人

「これは君が一人でやったのか?」

「ああ、全員は殺してはいないよ、そこのボスだけ生かしておいた、詳しい事はそいつに聞いてくれ。ワシは友人を助けに来ただけだから。」

「...承知した。申し遅れた、私は第二騎士団団長をしているダリネ・クレバーという。」

「ああ、第二騎士団団長殿ね、それで捕まっていた人達は執務室と仮眠室に移動させてるから。ワシはそっちに行ってもいいかな?友人が心配だからね」

「...はぁ、構わない。」

そう言って第二騎士団団長殿はため息をつきながら眉間を手で揉んだ。












ガチャ

「ミリーさん、セドの様子はどう?」

「あぁ!イサギ様!あんな高価な薬、有難うございました!おかげでセドの一命を取り留める事ができました!それとイサギ様のいう通り余った薬は他の方にお譲りしました、直ぐに命が危ないという人は今のところいません」

ワシはホッと息を吐く。

「良かった...ん?ところでその子は?」

セドが寝ている姿を近くで立ってボーッと見つめている小さな子供。銀髪の髪はくすんで汚れていて伸び放題、金と水色の綺麗な瞳のオッドアイ、ワシの美容師としての血が騒ぐ。

「あぁ、この子はセドと同じ牢屋に入れられていたみたいで...あの時セドが庇った子がこの子みたいなんです。何度も椅子をすすめるのだけれどずっとここを離れないで立ってセドを見ているんです...」

ふむ

ワシは取り敢えずズボッとその子の脇に手を入れ抱え上げると膝の上に横向きに座らせる。

「......」

うんともすんとも言わないな、でも視線はセドを向いている。

「君、名前は?」

「......」

「君を助けてくれた人はセドと言ってね、ワシの友達だ」

「......」

「普段は気の弱そうな感じなんだけどね、情に熱い人だとワシは思っているよ」

「......」

「君を助けた姿はカッコよかったろう?」

「......」

「なんで助けてくれたと思う?」

「......」

「それはきっとね、君に同情したのもあるだろうけど、何より放って置けなかったから。そんな単純な理由なんじゃないかな?」

「......」

「セドだって怖かったろうに、痛かったろうに、それでも君の事は守るべき存在であると、自分を奮い立たせて助けたんだとワシは思うよ」

「......」

「だってワシの知ってるセドはそういう人間だから。」

「......」

「君はどう思う?」

「......」

「会って間もない人からの善意は怖いかな?」

「......」

名前も知らぬこの子の頭を優しく撫でる

すると手にポタリと雫が落ちて来た

「うん、そうだね、これからその感情がなんなのかセドや周りの人達と一緒に知っていこうね」

「......」

ポタポタと涙を流すこの子はきっと感情を取り戻す事が出来る。そう思った









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

処理中です...