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一章
後始末
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ワシは地下牢に捕まっていた人達を全員奴隷商のアジトの執務室、そして怪我のひどい人を仮眠室に移動させ、その場から動かない様言いつける。
そしてボス含め十人いた構成員を地下牢へ押し込めた。
勿論ボス以外は殺した。
死体は酷いあり様だが、部下が全員拷問の様な殺され方をして死んでいったのをボスに見せ付けたのでボスは縛らなくても大人しくしている...が、一応縛っている。
後は奴隷商絡みの問題なので騎士団あたりを呼ぶのが妥当だろうか。
外にスラム街の子供がいたのでその子供を適当に捕まえて地下牢まで連れて行き、言いつけ通り騎士団に行って騎士団を連れてこい、そしたら金貨一枚あげるといってワシの冒険者カードとメモ紙を渡す。もし戻って来なかったらお前を探し出してこいつらと同じ目に合わせると言って脅した。
そしたら頭がもげそうなほど頷いて真っ青な顔をしながら街の方へ走っていったので大丈夫だろう。
まぁどうせこの奴隷商のアジトもトカゲの尻尾切りができる様なショボい組織だろうけどな。
あー、それにしてもいくら自分で殺す覚悟が出来ていたと言っても多少の嫌悪感とかあると思っていたけど...
手足が異常な方向に曲がった死体、体の一部が欠けた死体などを眺めながら苦笑いした
驚くほど何も思わないな...
そんなことを思っているとボソリと奴隷商のボスが呟いたのが聞こえた
「悪魔め」
「ハッ、悪魔上等。殺されなかっただけありがたく思えよ犯罪者。」
そんなやりとりをしてまた静寂が訪れる
ワシは壁に背を預け、目を閉じる
どれだけそうしていただろう
スマホのバイブレーションが鳴る
という事はさっきの子供が騎士団を連れて来たか...
「ここに君が頼まれた、という冒険者が居るのかな」
「う、うん...早く!」
ギィィッーと扉が開くとさっきの子供が走って来た。
「ち、ちゃんと連れて来たよ!お兄ちゃん!」
「良い子だ、ありがとう。これお駄賃ね、取られない様に上手く生きるんだよ。」
「ありがとう!」
そう言うとその子は慌てて外に出ていった。
「このメモは君が書いたもので間違いないか?」
「ああ、そうだよ遅かったね、あの子供が信じられなかったかな?」
「冒険者ギルドに確認していた。冒険者になりたてらしいが...」
そう言って死体の山を見て顔を顰める騎士団の人
「これは君が一人でやったのか?」
「ああ、全員は殺してはいないよ、そこのボスだけ生かしておいた、詳しい事はそいつに聞いてくれ。ワシは友人を助けに来ただけだから。」
「...承知した。申し遅れた、私は第二騎士団団長をしているダリネ・クレバーという。」
「ああ、第二騎士団団長殿ね、それで捕まっていた人達は執務室と仮眠室に移動させてるから。ワシはそっちに行ってもいいかな?友人が心配だからね」
「...はぁ、構わない。」
そう言って第二騎士団団長殿はため息をつきながら眉間を手で揉んだ。
ガチャ
「ミリーさん、セドの様子はどう?」
「あぁ!イサギ様!あんな高価な薬、有難うございました!おかげでセドの一命を取り留める事ができました!それとイサギ様のいう通り余った薬は他の方にお譲りしました、直ぐに命が危ないという人は今のところいません」
ワシはホッと息を吐く。
「良かった...ん?ところでその子は?」
セドが寝ている姿を近くで立ってボーッと見つめている小さな子供。銀髪の髪はくすんで汚れていて伸び放題、金と水色の綺麗な瞳のオッドアイ、ワシの美容師としての血が騒ぐ。
「あぁ、この子はセドと同じ牢屋に入れられていたみたいで...あの時セドが庇った子がこの子みたいなんです。何度も椅子をすすめるのだけれどずっとここを離れないで立ってセドを見ているんです...」
ふむ
ワシは取り敢えずズボッとその子の脇に手を入れ抱え上げると膝の上に横向きに座らせる。
「......」
うんともすんとも言わないな、でも視線はセドを向いている。
「君、名前は?」
「......」
「君を助けてくれた人はセドと言ってね、ワシの友達だ」
「......」
「普段は気の弱そうな感じなんだけどね、情に熱い人だとワシは思っているよ」
「......」
「君を助けた姿はカッコよかったろう?」
「......」
「なんで助けてくれたと思う?」
「......」
「それはきっとね、君に同情したのもあるだろうけど、何より放って置けなかったから。そんな単純な理由なんじゃないかな?」
「......」
「セドだって怖かったろうに、痛かったろうに、それでも君の事は守るべき存在であると、自分を奮い立たせて助けたんだとワシは思うよ」
「......」
「だってワシの知ってるセドはそういう人間だから。」
「......」
「君はどう思う?」
「......」
「会って間もない人からの善意は怖いかな?」
「......」
名前も知らぬこの子の頭を優しく撫でる
すると手にポタリと雫が落ちて来た
「うん、そうだね、これからその感情がなんなのかセドや周りの人達と一緒に知っていこうね」
「......」
ポタポタと涙を流すこの子はきっと感情を取り戻す事が出来る。そう思った
そしてボス含め十人いた構成員を地下牢へ押し込めた。
勿論ボス以外は殺した。
死体は酷いあり様だが、部下が全員拷問の様な殺され方をして死んでいったのをボスに見せ付けたのでボスは縛らなくても大人しくしている...が、一応縛っている。
後は奴隷商絡みの問題なので騎士団あたりを呼ぶのが妥当だろうか。
外にスラム街の子供がいたのでその子供を適当に捕まえて地下牢まで連れて行き、言いつけ通り騎士団に行って騎士団を連れてこい、そしたら金貨一枚あげるといってワシの冒険者カードとメモ紙を渡す。もし戻って来なかったらお前を探し出してこいつらと同じ目に合わせると言って脅した。
そしたら頭がもげそうなほど頷いて真っ青な顔をしながら街の方へ走っていったので大丈夫だろう。
まぁどうせこの奴隷商のアジトもトカゲの尻尾切りができる様なショボい組織だろうけどな。
あー、それにしてもいくら自分で殺す覚悟が出来ていたと言っても多少の嫌悪感とかあると思っていたけど...
手足が異常な方向に曲がった死体、体の一部が欠けた死体などを眺めながら苦笑いした
驚くほど何も思わないな...
そんなことを思っているとボソリと奴隷商のボスが呟いたのが聞こえた
「悪魔め」
「ハッ、悪魔上等。殺されなかっただけありがたく思えよ犯罪者。」
そんなやりとりをしてまた静寂が訪れる
ワシは壁に背を預け、目を閉じる
どれだけそうしていただろう
スマホのバイブレーションが鳴る
という事はさっきの子供が騎士団を連れて来たか...
「ここに君が頼まれた、という冒険者が居るのかな」
「う、うん...早く!」
ギィィッーと扉が開くとさっきの子供が走って来た。
「ち、ちゃんと連れて来たよ!お兄ちゃん!」
「良い子だ、ありがとう。これお駄賃ね、取られない様に上手く生きるんだよ。」
「ありがとう!」
そう言うとその子は慌てて外に出ていった。
「このメモは君が書いたもので間違いないか?」
「ああ、そうだよ遅かったね、あの子供が信じられなかったかな?」
「冒険者ギルドに確認していた。冒険者になりたてらしいが...」
そう言って死体の山を見て顔を顰める騎士団の人
「これは君が一人でやったのか?」
「ああ、全員は殺してはいないよ、そこのボスだけ生かしておいた、詳しい事はそいつに聞いてくれ。ワシは友人を助けに来ただけだから。」
「...承知した。申し遅れた、私は第二騎士団団長をしているダリネ・クレバーという。」
「ああ、第二騎士団団長殿ね、それで捕まっていた人達は執務室と仮眠室に移動させてるから。ワシはそっちに行ってもいいかな?友人が心配だからね」
「...はぁ、構わない。」
そう言って第二騎士団団長殿はため息をつきながら眉間を手で揉んだ。
ガチャ
「ミリーさん、セドの様子はどう?」
「あぁ!イサギ様!あんな高価な薬、有難うございました!おかげでセドの一命を取り留める事ができました!それとイサギ様のいう通り余った薬は他の方にお譲りしました、直ぐに命が危ないという人は今のところいません」
ワシはホッと息を吐く。
「良かった...ん?ところでその子は?」
セドが寝ている姿を近くで立ってボーッと見つめている小さな子供。銀髪の髪はくすんで汚れていて伸び放題、金と水色の綺麗な瞳のオッドアイ、ワシの美容師としての血が騒ぐ。
「あぁ、この子はセドと同じ牢屋に入れられていたみたいで...あの時セドが庇った子がこの子みたいなんです。何度も椅子をすすめるのだけれどずっとここを離れないで立ってセドを見ているんです...」
ふむ
ワシは取り敢えずズボッとその子の脇に手を入れ抱え上げると膝の上に横向きに座らせる。
「......」
うんともすんとも言わないな、でも視線はセドを向いている。
「君、名前は?」
「......」
「君を助けてくれた人はセドと言ってね、ワシの友達だ」
「......」
「普段は気の弱そうな感じなんだけどね、情に熱い人だとワシは思っているよ」
「......」
「君を助けた姿はカッコよかったろう?」
「......」
「なんで助けてくれたと思う?」
「......」
「それはきっとね、君に同情したのもあるだろうけど、何より放って置けなかったから。そんな単純な理由なんじゃないかな?」
「......」
「セドだって怖かったろうに、痛かったろうに、それでも君の事は守るべき存在であると、自分を奮い立たせて助けたんだとワシは思うよ」
「......」
「だってワシの知ってるセドはそういう人間だから。」
「......」
「君はどう思う?」
「......」
「会って間もない人からの善意は怖いかな?」
「......」
名前も知らぬこの子の頭を優しく撫でる
すると手にポタリと雫が落ちて来た
「うん、そうだね、これからその感情がなんなのかセドや周りの人達と一緒に知っていこうね」
「......」
ポタポタと涙を流すこの子はきっと感情を取り戻す事が出来る。そう思った
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