10 / 48
一章
騎士団から呼び出し
しおりを挟む
コンコンッ
とドアがノックされる
「第二騎士団団長のダリネ・クレバーだ。入っても大丈夫だろうか」
「ああ、どうぞ」
そう言ってワシは返事をする
すると仮眠室のドアがチャリと開いた
心なしか疲れた顔をしている第二騎士団団長殿。
「もう向こうは良いのかな?」
「ああ、...ところでその腕の中で寝ている子供は?」
「ワシの友人が助けたまだ幼い子供だよ、今やっと落ち着いたんだ、この子も被害者だけど話す事が出来ない、きっと心因的な問題だろうけどね」
「そうか...では君に確認する事があるのだが...」
「ここでする話でもないでしょう、外に出よう」
はぁ、とため息をつくワシ。
さて、どうするかなぁ...
王族でもなんでもないワシ。
きっと追求されるのはそこのところだろうなぁ
「イサギ様...」
ワシを心配そうに見るミリーさん
「ただの事実確認だ、すぐまたここに来るから大丈夫だよ、それまでこの子のこと見ててあげてね」
「は、はいっ。」
そう言ってワシは第二騎士団団長殿の後を追った。
「さて、今回の事改めて礼を言おう。懸賞金がかかった者がどうやらこの奴隷商のボスだったみたいだ。」
「そう」
「ところでそのボスの計画では最近この王都の市場に現れた黒髪の王族を拉致して奴隷にして売り飛ばすと言う事だったみたいだが...それが君の事だそうだ。そのフードをとってくれないか?事実確認はしなくてはならない。」
「......」
ワシは取り敢えず事実のみ口にする事にした。
バサリとフードを取ると
「ワシは王族なんて大層な身分の者ではないよ」
そう言って第二騎士団団長殿を見る
すると目を見開き、少し考えるようなそぶりを見せると全てを悟ったかの様な顔をして
「分かった。」
と一言だけ答えた
いや、何が分かったのさ。
もっと追求しなければならないでしょ!?
それはどう言う事だ、とかさ。
いやね、追求されるのは困るから別にいいんだけど、何だかなぁー
「ところで、保護された人たちはどうするつもり?」
「そうだな、一度騎士団で保護したのち帰る場所がある者は騎士団が送り届ける、そして身寄りのない者は王都のちゃんとした孤児院に預けるよう手配するつもりだ。」
ふむ、成程しっかりと対応してくれるみたいだな。
「それなら安心だね」
「先ほど君が抱き抱えていた子供は?見たところおそらく身寄りはなさそうだが...」
「それはあの子に直接聴いてみるしかないね」
「そうか...では部屋へ戻ろう」
そう言って第二騎士団団長殿と一緒に仮眠室へと向かう
部屋をノックして入ると困った顔をしたミリーさんが居た
「ミリーさん?」
「あっ、イサギ様!それが...イサギ様が出て行って少ししてからこの子が起きてしまって...またずっと立っセドを見ているんです、この子も休ませないといけないのに..申し訳ありませんっ」
「いや、大丈夫だよミリーさん。それにそんなにかしこまらなくていいから」
そう言ってニコリと笑うとワシは子供の目線になるようしゃがんで綺麗なオッドアイの瞳を見る
「ねぇ、君は身寄りがないよね?どうする?この第二騎士団団長殿に保護してもらって孤児院に行くかい?」
孤児院と言った瞬間、わずかに瞳が揺らいだ。
これは恐らく恐怖。
ふむ...
「第二騎士団団長殿、この子は孤児院には行きたくないみたいだ」
「ではどうするか...」
「ワシがしばらくの間引き取ろう。」
そう言ってこの子供の頭を撫でる。
「それにワシの友人であるセドが助けた命、セドも目が覚めてこの子供がいなかったらきっと不安に思う。」
「分かった。ではまた何かあったら私を訪ねてきてほしい。...そういえば君は今どこに住んでいるんだ?」
「今は鷹の宿に住んでいる」
「承知した。」
そう言って第二騎士団団長殿は部下に指示を出しに行った。
「さて、帰りましょうかミリーさん。」
「はっ、はい」
ミリーさん達と帰って来てから三日たった
ミリーさんの家の場所を教えてもらい、毎日セドのお見舞いをしに行ってるが熱が下がらず、また意識も戻っていない。
その間にワシが一時的に引き取った子供を生活魔法で綺麗にしてセドが教えてくれた洋服屋で簡易的な子供服を選んで買って着せてお見舞いの品を選んではセドの元へ届けると言うルーティンを繰り返していた
「セド、目を覚まさないね」
「......」
「心配だね」
「......」
言葉はまだ話せないが、その瞳に少しずつ感情が見え隠れするようになって来た。
よしよしと子供の頭を撫でるとワシは子供にちょっとミリーさんとお話しして来るからセドの様子を見ておいてあげてね、と言って部屋を後にする。
「ミリーさん、せめてワシ達がいる間くらい寝て休んで。」
「イサギ様...えぇ、でもセドが心配で...もう三日も目を覚まさないだなんて...」
「その事なんだけどね、セドを鑑定してみたら斬られた時のショックが大きくて昏睡状態に陥っているみたいで、もう少しすれば自然と目が覚めるみたい。」
するとミリーさんはホッとしたような、でも不安を感じているような表情を見せた。
「そう...なんですね、でもそのもう少しがいつになるのかと思うとっ!」
そう言ってまた涙を流すミリーさん
憔悴しきったミリーさんを見ると心が痛い
今回の事はワシの存在が発端だった
だが悪いのはあいつら奴隷商の人間であり、報復は済ませた。
はぁ、セド、早く目を覚ましてよ。
君のお母さんも心配しているよ
そんな事を考えていると二階からガタンッ!と音がして、ゔあぁぁぁーっ!と泣き声が聞こえて来た。
まさかセドに何かあったのか!?
それにこの泣き声、恐らくあの子供の泣き声だ
ワシとミリーさんは急いで二階に駆け上がるとドアを開けた。
するとセドが目を開けてベッドから起き上がっていて、そのお腹に抱きついて涙を流し泣き叫ぶ子供がいた。
「セドっ!あぁ、無事で!無事でよかったわ!心配ばかりかけてっ、うっ、うゔぅっ!」
ミリーさんもセドに駆け寄り子供もろとも抱き抱えて泣き出した。
ワシは暫くの間はそっとしておこうと思い、その場で壁に背を預けて目を瞑り腕を組んだ
とドアがノックされる
「第二騎士団団長のダリネ・クレバーだ。入っても大丈夫だろうか」
「ああ、どうぞ」
そう言ってワシは返事をする
すると仮眠室のドアがチャリと開いた
心なしか疲れた顔をしている第二騎士団団長殿。
「もう向こうは良いのかな?」
「ああ、...ところでその腕の中で寝ている子供は?」
「ワシの友人が助けたまだ幼い子供だよ、今やっと落ち着いたんだ、この子も被害者だけど話す事が出来ない、きっと心因的な問題だろうけどね」
「そうか...では君に確認する事があるのだが...」
「ここでする話でもないでしょう、外に出よう」
はぁ、とため息をつくワシ。
さて、どうするかなぁ...
王族でもなんでもないワシ。
きっと追求されるのはそこのところだろうなぁ
「イサギ様...」
ワシを心配そうに見るミリーさん
「ただの事実確認だ、すぐまたここに来るから大丈夫だよ、それまでこの子のこと見ててあげてね」
「は、はいっ。」
そう言ってワシは第二騎士団団長殿の後を追った。
「さて、今回の事改めて礼を言おう。懸賞金がかかった者がどうやらこの奴隷商のボスだったみたいだ。」
「そう」
「ところでそのボスの計画では最近この王都の市場に現れた黒髪の王族を拉致して奴隷にして売り飛ばすと言う事だったみたいだが...それが君の事だそうだ。そのフードをとってくれないか?事実確認はしなくてはならない。」
「......」
ワシは取り敢えず事実のみ口にする事にした。
バサリとフードを取ると
「ワシは王族なんて大層な身分の者ではないよ」
そう言って第二騎士団団長殿を見る
すると目を見開き、少し考えるようなそぶりを見せると全てを悟ったかの様な顔をして
「分かった。」
と一言だけ答えた
いや、何が分かったのさ。
もっと追求しなければならないでしょ!?
それはどう言う事だ、とかさ。
いやね、追求されるのは困るから別にいいんだけど、何だかなぁー
「ところで、保護された人たちはどうするつもり?」
「そうだな、一度騎士団で保護したのち帰る場所がある者は騎士団が送り届ける、そして身寄りのない者は王都のちゃんとした孤児院に預けるよう手配するつもりだ。」
ふむ、成程しっかりと対応してくれるみたいだな。
「それなら安心だね」
「先ほど君が抱き抱えていた子供は?見たところおそらく身寄りはなさそうだが...」
「それはあの子に直接聴いてみるしかないね」
「そうか...では部屋へ戻ろう」
そう言って第二騎士団団長殿と一緒に仮眠室へと向かう
部屋をノックして入ると困った顔をしたミリーさんが居た
「ミリーさん?」
「あっ、イサギ様!それが...イサギ様が出て行って少ししてからこの子が起きてしまって...またずっと立っセドを見ているんです、この子も休ませないといけないのに..申し訳ありませんっ」
「いや、大丈夫だよミリーさん。それにそんなにかしこまらなくていいから」
そう言ってニコリと笑うとワシは子供の目線になるようしゃがんで綺麗なオッドアイの瞳を見る
「ねぇ、君は身寄りがないよね?どうする?この第二騎士団団長殿に保護してもらって孤児院に行くかい?」
孤児院と言った瞬間、わずかに瞳が揺らいだ。
これは恐らく恐怖。
ふむ...
「第二騎士団団長殿、この子は孤児院には行きたくないみたいだ」
「ではどうするか...」
「ワシがしばらくの間引き取ろう。」
そう言ってこの子供の頭を撫でる。
「それにワシの友人であるセドが助けた命、セドも目が覚めてこの子供がいなかったらきっと不安に思う。」
「分かった。ではまた何かあったら私を訪ねてきてほしい。...そういえば君は今どこに住んでいるんだ?」
「今は鷹の宿に住んでいる」
「承知した。」
そう言って第二騎士団団長殿は部下に指示を出しに行った。
「さて、帰りましょうかミリーさん。」
「はっ、はい」
ミリーさん達と帰って来てから三日たった
ミリーさんの家の場所を教えてもらい、毎日セドのお見舞いをしに行ってるが熱が下がらず、また意識も戻っていない。
その間にワシが一時的に引き取った子供を生活魔法で綺麗にしてセドが教えてくれた洋服屋で簡易的な子供服を選んで買って着せてお見舞いの品を選んではセドの元へ届けると言うルーティンを繰り返していた
「セド、目を覚まさないね」
「......」
「心配だね」
「......」
言葉はまだ話せないが、その瞳に少しずつ感情が見え隠れするようになって来た。
よしよしと子供の頭を撫でるとワシは子供にちょっとミリーさんとお話しして来るからセドの様子を見ておいてあげてね、と言って部屋を後にする。
「ミリーさん、せめてワシ達がいる間くらい寝て休んで。」
「イサギ様...えぇ、でもセドが心配で...もう三日も目を覚まさないだなんて...」
「その事なんだけどね、セドを鑑定してみたら斬られた時のショックが大きくて昏睡状態に陥っているみたいで、もう少しすれば自然と目が覚めるみたい。」
するとミリーさんはホッとしたような、でも不安を感じているような表情を見せた。
「そう...なんですね、でもそのもう少しがいつになるのかと思うとっ!」
そう言ってまた涙を流すミリーさん
憔悴しきったミリーさんを見ると心が痛い
今回の事はワシの存在が発端だった
だが悪いのはあいつら奴隷商の人間であり、報復は済ませた。
はぁ、セド、早く目を覚ましてよ。
君のお母さんも心配しているよ
そんな事を考えていると二階からガタンッ!と音がして、ゔあぁぁぁーっ!と泣き声が聞こえて来た。
まさかセドに何かあったのか!?
それにこの泣き声、恐らくあの子供の泣き声だ
ワシとミリーさんは急いで二階に駆け上がるとドアを開けた。
するとセドが目を開けてベッドから起き上がっていて、そのお腹に抱きついて涙を流し泣き叫ぶ子供がいた。
「セドっ!あぁ、無事で!無事でよかったわ!心配ばかりかけてっ、うっ、うゔぅっ!」
ミリーさんもセドに駆け寄り子供もろとも抱き抱えて泣き出した。
ワシは暫くの間はそっとしておこうと思い、その場で壁に背を預けて目を瞑り腕を組んだ
165
あなたにおすすめの小説
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる