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仮面の男
7 ※
しおりを挟むバスローブを羽織ったユウとコタが、
「楽しかったねぇ、コタ」
「いや、楽しかったて……俺で遊ばないでくださいよ」
「え~だってコタ可愛いんだもん。あ、でも最後ガツガツ攻めてきたのは漢!って感じでかっこよかったよ?」
なんてのほほんと会話しながら部屋を出て行くのを見送る。
そして三分間のインターバルの間に汚れた防水シーツがレイさんとリュウさんの手によって新しいものに交換されると、今度はヒナとケイくんがベッドへと上がった。
ケイくんと言えば、そのチャラチャラとした見た目と言動からして相当な遊び人なのかと思いきや、俺とのボディタッチの講習の時も、ユウとのキスの講習の時もなんだか触れるのを躊躇っていて。
前回の前戯の講習の時にその理由が明らかになったのだけれど、その理由というのが『以前身体を重ねた相手に「もっと上手いと思ってたけど気持ち良く無かった」と言われたトラウマからくるもの』だと言うから、内容は違えどなんとなく俺と似てるかも……と勝手に少し親近感が湧いたことは記憶に新しい。
そんなケイくんは、そのトラウマの原因となった相手に似ているユウを気持ち良くすることが出来たら現状を打破出来るかもしれない、と考えたらしく、結果見事ユウを気持ち良くさせることに成功しトラウマを克服したようで、今も前回までの自信無さげな彼とはまるで別人のように堂々とヒナの肩を抱いている。
一方でヒナはと言うと、このスクールに入るまでセックスどころかキスも経験が無かったせいか、とにかく性的なことに対する免疫が無さすぎて、前回よりは多少落ち着いているように見えるものの、やっぱりベッドに上がる時はガチガチに固まっていたし、顔も真っ赤でまともにケイくんと目を合わせることすら出来ないようだ。
前回ユウとした時には、最初のうちこそ躊躇いがちだったものの、徐々に調子を取り戻し始めてからはわりと好き放題ユウの身体を弄り倒していたケイくんも、いくら経験豊富とはいえこんなにもウブな子を相手したことは今まで無かったようで、緊張して俯くヒナを見て困ったように笑っている。
「ヒナちゃんさ、そんなに緊張せんでよ」
「……う……だ、だって……」
「だってなに?」
「だって、この前ユウくんとした時のケイくん、すごかったんだもん……おれ、あんなふうにされたら絶対気持ちよすぎておかしくなると思うからそれが怖くて……」
ヒナの強ばった肩を撫でながらケイくんが優しく声を掛けると、ヒナはやっと聞き取れるぐらいの声でごにょごにょとそう返した。
その発言は恐らく本人は無自覚ながらも、ケイくんを煽る威力は充分だったようで。
「ふぅん?」
と目をぎらつかせたケイくんはヒナの身体をグイッと抱き寄せると、そのままドサッと音を立ててベッドに押し倒し、驚いて声を上げるヒナの耳元で、
「そんなに期待されたら頑張るしかないなぁ」
と低く囁いた。
その台詞に対してきっとヒナは、
「期待なんてしてない!」
とでも返したかったことだろう。
だけどヒナは最早喋ることすら出来ず、目をぎゅっと瞑ってイヤイヤをするように頭を左右に振った。
そんなヒナを見下ろして目を細めたケイくんは、人差し指の背でヒナの頬をスリスリと撫でながらこう言った。
「冗談だって。じゃあさ、ヒナちゃん、俺にいっぱい気持ちよくされるのと、俺を気持ちよくさせる練習するの、どっちがええ?」
と。
質問の意図が分からず、瞑っていた目を恐る恐る開いて首を傾げたヒナ。
ケイくん曰く、自分は前回皆やユウのお陰で思ったよりもすぐにトラウマを克服することが出来た。
もちろん、せっかくここに通うからにはもっとスキルを身につけて、いつか恋人ができた時に役立てたいけど、ここに来たそもそもの目的はトラウマを克服する為のヒントを見つけることだったから、ヒントを見つけるどころか解決まで辿り着いた今、どちらかというと自分のスキルアップよりも他の生徒がここに来た目的を達成する手伝いがしたい、とのことだった。
「ヒナちゃんはセックス未経験だけどテクニックを身につける必要があってここに来た言っとったから、ヒナちゃんさえ良ければ俺でいっぱい練習していいけど、どう?」
ケイくんのその言葉を聞いて、ヒナは目をキラキラと輝かせ、でも遠慮がちに、いいの……?と問い返した。
それに対しケイくんがもちろん、と答えるとヒナは、
「ありがとう、おれ、頑張るから!」
とケイくんに押し倒されたまま両手で握りこぶしを作り、垂れた目を精一杯キリッとさせて気合いを入れる様を表現するもんだから、そのあまりの可愛さと純粋さに見ている生徒達は自然と笑顔になり、一方で当事者であるケイくんは、
「なんか……騙しとる訳じゃないのに胸が痛い……」
と苦笑いした。
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