ぼくは呪われた子なのに王国一の天才画伯に溺愛されて、彼の身が心配です

枯枝るぅ

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呪われた子

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ぼくが生まれ育ったこの国……シェーヌ王国では、男爵位以上の貴族と近衛騎士団、騎士団の団長の家系では、皆一様に魔力を持って産まれてくる。

魔力には、火属性、水属性、風属性、土属性、そして光属性の五種類があり、火属性の魔力を持つ者は赤い瞳を持ち、水属性は水色の瞳、風属性は緑色の瞳、土属性は薄茶色の瞳、光属性は黄金の瞳……と、それぞれ瞳の色が平民とは異なるので、相手がどの属性の魔力を保持しているか、というのは顔を見ればすぐに分かった。

この五つの魔力は国民の暮らしを豊かにする為に欠かせない要素で、貴族の邸宅には約二百年ほど前に土魔法の使い手によって開発された『魔力供給装置』という特殊な装置が設置されていて、魔力を持つ貴族には例外なく、その装置を使って魔力を王国内の数箇所に点在する分配施設に送る義務がある。

実際にぼくも、火属性の使い手である父、兄、姉や風属性の使い手である母が供給装置を使用して魔力を送っている場面を見たことがあった。
 
そうして分配施設に集められた火属性、水属性の魔力は、そこから地中に張り巡らされた、土魔法によって作られた管を伝い風属性の魔力にのせて各家庭に分配され、炊事場、浴室など、火や水を必要とする場所で、必要とする時にすぐに利用出来るという便利な仕組みになっている。
ただし、それを利用する為には利用料を支払わなければならず、貴族は魔力を送れば送るほど利用料を得ることが出来るので、魔力の供給というのは税収と合わせて、貴族の貴重な収入源になっていた。

また、五つの属性のうち『光』属性は、王家の血縁者のみが保持している強力な魔力で、国王の血縁者、公爵家当主の血縁者がそれにあたる。

諸外国ではその五つの属性に加えて更に『闇属性』の使い手や魔獣も存在するそうだが、シェーヌ王国では古くから闇魔法は忌み嫌われていたため、闇属性の使い手は徹底的に排除されてきた。
現在も王家、公爵家の光魔法によって闇属性の使い手や魔獣が王国に近付けないようにされているが、今後もし強力な闇属性の使い手が現れた場合、それに対抗出来るだけの力があるかどうか……ということが、ここ数年危惧されているらしい。

何故この数年の間にそのようなことが危惧されるようになったのか。

それには、貴族の血を引きながらも五つの属性のうちいずれにも該当しない、それでいて魔力を超えた強大な力と薄紅色の瞳を持って生まれる『神の子』と呼ばれる存在が関係している。

神の子が最初に確認されたのは王国成立から十七年後のこと。
その後およそ百年に一度の頻度で生まれたとされていて、その不思議な力によって国を包み込むように張られた結界の元では全ての闇魔法が無効化され、闇属性を持つ魔獣はただの獣と化したそうだ。
神の子の持つ力はあまりにも強く、ひとたび儀式を執り行えばその後数十年は、神の子本人亡き後もその恩恵を受け続けることが出来る。
これらは全て王国の歴史書に載っている史実の為、現存している国民の中で実際にその御姿を見た者はいないけど、諸外国では闇魔法のせいで内乱が起きたり、滅びてしまった国もあると聞くから、成立から四百年以上もの間、特に大きな争い事も起こっていない平和なこの国にもたらされてきた神の子の力は本物なのだろう。

そして神の子の他にもう一人、貴族として生まれながらも五つの属性のうちいずれにも該当しない者が、こちらもおよそ百年に一度現れるとされている。
こちらは神の子と違ってなんの力も持たず、貴族のように魔法も使えない。
それどころか災いを呼ぶとも言われており、白に近い灰色の瞳を持っている。

そんな不吉な存在のことを、人々は『呪われた子』と呼んだ。

そしてその『呪われた子』こそが、サーシャ・マルグリット……ぼく自身だった。




 
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