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第2話 シャープペンとイチゴ
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とある秋の夕暮れ、店主がたまの喉を撫でると…たまは嬉しそうに喉をゴロゴロ鳴らした。とそこに…ガラガラガラッ‼店の引き戸が開いて、客の入店。
『…いらっしゃい。おや?君は…』
店主が呟き、にこやかに笑顔を浮かべた。
そこには…あの日来店した、青年の姿があった。青年は、無愛想に吐き捨てるように言った。
『…シャープペン…ありませんか…?』
店主はまたあの、嫌な笑いを浮かべ、青年に返した。
『あるよ?』
と、店主は1つのシャープペンを出して来た。
店主の商品説明が始まる。
『これは、芯が無くならないシャープペンだ。いつまで使っても、芯の補充の必要が無い。便利だろう?』
その店主の説明に、へ~と少し感心しながらも…ある『矛盾点』に気付いた。
『でも店主…。此処に”芯が1本だけ入って、幾ら使っても無くならないシャー芯“ってのがあるけど…コレって必要無いのでは?』
そこで店主がまた嫌な笑いを浮かべた。
『普通のシャープペンを使ってる奴は、まだ必要だろう?だからだよ?』
ふぅん…?と青年は何となく納得した。
青年がシャープペンの代金を支払おうと店主に金額を確認。すると店主はまた、あの嫌な笑いで…
『1万円だ』
1万円!?異常に高い買い物だな?…青年は渋々と、代金を支払った。
シャープペンを購入し、青年が少し店内を物色していると…ガラガラガラッ!来店を意図する引き戸の音。大学生位の青年が、息を切らせて入店してきた。呼吸を整えながら、学生はどうにかこうにか声を発した。
『…すみません…っ!“このお店で揃わない物はない”と言う噂を聞いてやって来たのですが…?』
入店してきた学生が辺りを見回す。
店主が学生に答えた。
『あぁ、何でも揃うよ。何が必要なんだい?』
学生は少し赤みがかった、乱れた髪を整えながら…求めて止まない物を言葉にした。
『…この時期には何処行っても売ってなかったり…異様に高かったり…とても俺には買えません。…此処に…“イチゴ”…置いてませんか…?』
店内を物色していた先程の青年、さり気なくに話に耳を傾けていてボソリ一言。
「この時期にイチゴ⁉…あってもバカ高いか…するんじゃないのか?」
すると店主はあっさりと一言。
『あるよ?』
途端にイチゴを求めていた学生の目が輝きだした。
『本当ですか⁉…でも…うんと高かったりするのでしょう?』
学生の目がまた、曇りはじめる。
すると店主はにこやかに答えた。
『安心しろ。うちの商品は、特別価格だ!…500円でどうだい?』
『ありがとうございます‼…本当にありがとうございます。…これで彼女も喜んでくれるハズ!』
学生は満面の笑顔で大事そうにイチゴを下げて、帰って行った。
青年は腑に落ちず。”ちょっと待て!今時手に入りにくいイチゴがあの値段で、何故たかがシャープペンが1万円なんだ!?“青年は店主に食ってかかった。
すると何食わぬ顔して店主は言う。
『芯の要らない世にも珍しいシャープペンだからね。…値段が気に食わないのなら、少し安いシャープペンの芯だけ買うかい?』
青年は何も返せなくなり、
『…このシャープペンをいただいて帰ります…』
そう言いつつも内心では、“バカ高い買い物をした。これなら普通のシャーペンをそこらで買ったんでも同じだったんじゃないのか!?ぼったくりやがって…”そう思いながら店を後にした。
この時青年は気づかなかった。
そのシャープペンを売れば、自分の支払った金額よりも数百倍にもなるということに。
『…いらっしゃい。おや?君は…』
店主が呟き、にこやかに笑顔を浮かべた。
そこには…あの日来店した、青年の姿があった。青年は、無愛想に吐き捨てるように言った。
『…シャープペン…ありませんか…?』
店主はまたあの、嫌な笑いを浮かべ、青年に返した。
『あるよ?』
と、店主は1つのシャープペンを出して来た。
店主の商品説明が始まる。
『これは、芯が無くならないシャープペンだ。いつまで使っても、芯の補充の必要が無い。便利だろう?』
その店主の説明に、へ~と少し感心しながらも…ある『矛盾点』に気付いた。
『でも店主…。此処に”芯が1本だけ入って、幾ら使っても無くならないシャー芯“ってのがあるけど…コレって必要無いのでは?』
そこで店主がまた嫌な笑いを浮かべた。
『普通のシャープペンを使ってる奴は、まだ必要だろう?だからだよ?』
ふぅん…?と青年は何となく納得した。
青年がシャープペンの代金を支払おうと店主に金額を確認。すると店主はまた、あの嫌な笑いで…
『1万円だ』
1万円!?異常に高い買い物だな?…青年は渋々と、代金を支払った。
シャープペンを購入し、青年が少し店内を物色していると…ガラガラガラッ!来店を意図する引き戸の音。大学生位の青年が、息を切らせて入店してきた。呼吸を整えながら、学生はどうにかこうにか声を発した。
『…すみません…っ!“このお店で揃わない物はない”と言う噂を聞いてやって来たのですが…?』
入店してきた学生が辺りを見回す。
店主が学生に答えた。
『あぁ、何でも揃うよ。何が必要なんだい?』
学生は少し赤みがかった、乱れた髪を整えながら…求めて止まない物を言葉にした。
『…この時期には何処行っても売ってなかったり…異様に高かったり…とても俺には買えません。…此処に…“イチゴ”…置いてませんか…?』
店内を物色していた先程の青年、さり気なくに話に耳を傾けていてボソリ一言。
「この時期にイチゴ⁉…あってもバカ高いか…するんじゃないのか?」
すると店主はあっさりと一言。
『あるよ?』
途端にイチゴを求めていた学生の目が輝きだした。
『本当ですか⁉…でも…うんと高かったりするのでしょう?』
学生の目がまた、曇りはじめる。
すると店主はにこやかに答えた。
『安心しろ。うちの商品は、特別価格だ!…500円でどうだい?』
『ありがとうございます‼…本当にありがとうございます。…これで彼女も喜んでくれるハズ!』
学生は満面の笑顔で大事そうにイチゴを下げて、帰って行った。
青年は腑に落ちず。”ちょっと待て!今時手に入りにくいイチゴがあの値段で、何故たかがシャープペンが1万円なんだ!?“青年は店主に食ってかかった。
すると何食わぬ顔して店主は言う。
『芯の要らない世にも珍しいシャープペンだからね。…値段が気に食わないのなら、少し安いシャープペンの芯だけ買うかい?』
青年は何も返せなくなり、
『…このシャープペンをいただいて帰ります…』
そう言いつつも内心では、“バカ高い買い物をした。これなら普通のシャーペンをそこらで買ったんでも同じだったんじゃないのか!?ぼったくりやがって…”そう思いながら店を後にした。
この時青年は気づかなかった。
そのシャープペンを売れば、自分の支払った金額よりも数百倍にもなるということに。
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