何でも屋さん

みのる

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第6話 此処は “ゲーセン” では無いぞ?

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ある日の昼下がり…
ショーケースのたまにつられて、寒さも少し和らいだ日差しに思わずコクリコクリと舟を漕いでいたこの店の主。

そこにガラガラガラッ!!けたたましい引き戸の音を立て、高校生位の兄ちゃんが1人、入店してきた。お陰で夢の世界にいざなわれかけたところから脱出出来た店主。寝かけてた事等、客に気づかせまいと振る舞う。

兄ちゃんはポケットからおもむろに煙草を取り出すと
火を付けようとしていたので、店主が慌ててそれを阻止する。
『すまんね?お客さん。ウチも禁煙なんでな』

兄ちゃんは渋々と煙草をポケットに戻した。

『いらっしゃい。ゆっくり見ていっとくれ?』

改めて店主は声をかける。
今日は平日。この時間に高校生が出歩いてるのは?等と余計な詮索はしない。
兄ちゃんが暫く店内を物色してとある物の前で足を止め、途端に小さな子どものように目を輝かせた。

『なぁなぁ!おっちゃん!!コレ……幾ら位するんだ?コレも売りモンだろ?』

そうして兄ちゃんが指差したのは…ゲーセンなんかに置いてある、アーケードゲーム機であった。
(それは…本当は売り物では無いのだが…まぁ良いか)そう思って、店主はこう答えた。

『あぁ、それね。10万円くらいだな?』

兄ちゃんはそのバカ高い金額に唖然とした。
(なにぶん高校生ですから…しかもバイトでそんなに稼いだ事無し)

『じ、じゅうまん!!そんなにするのかよ!?家にあったらタダでゲーセン気分だったのによ?』

兄ちゃんは是が非でも、今ゲーセン気分に浸りたいようだ。そのアーケードゲーム機の椅子に座ると、目ざとくコイン投入口を発見した。

『おっちゃん!?コレ、普通に遊ぶ事も出来るのか?』

もちろん、それがこの店の狙いでございます。店主は何でもない事のように、

『ゲーセンみたいに100円入れたら1回出来るよ?』

兄ちゃんは人の話を最後まで聞かずに、コイン投入口にチャリンと1枚…硬貨を投入した。
軽快な音楽と共に、ゲームはスタートする。


ガラガラガラッ!!引き戸を開けて、いつもの青年が店内に入店。

『おっさん、何かめぼしい物は入ったのか…って……んんんーーー?』

店主が何時の間にか入荷された一台のゲーセン用のゲーム機の前に佇んでいる。
そのゲーム機を操作してるのは学生っぽい兄ちゃん。何やら、格闘ゲームのようなものを行っているらしい。

格闘ゲームにあまり興味の無い青年が目を見張る程その兄ちゃんのゲームの腕は格別であった。
一試合勝利する毎に、ガッツポーズを決めてみせる。あっという間にラスボスまで勝ち進んだが残念な事に、後一歩のところで彼はラスボスを倒す事が出来なかった。

『くっそー!!やっぱし勝てねぇ!!』

店の床に両手を付いて、激しく悔しがる兄ちゃん。
店主がねぎらいの言葉をかける。
『しかしノーコンティニューで此処まで辿り着くとは兄ちゃん大したもんだよ』
青年も気が付いたら、その兄ちゃんにこころからの拍手を送っていた。


結局、その兄ちゃんは他には何も購入する事は無くストレスは解消出来たのであろうか?清々しい顔をして、店を出て行った。
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