何でも屋さん

みのる

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特別編 出逢い【前編】(珍しくものすごく長いです!!ので分けます!)

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ポカポカと陽気な昼下がり、店主がいつもの様に暇そうにたまの相手をしていると…店の奥から奥さんが出てきた。

『店は暇そうだし、代わりに私が店番をしてるからたまには散歩にでもでかけたらどう?』

との有難い一言♪

店主はそうだな…と伸びをしながら、

『陽気な天気だしたまには出掛けてみようか?じゃあ店番頼んだよ、少しの間出かけてくるよ』

と店を出発した。

店主が“近くの河原へでも行くか。”と思いながら公園近くまで来ると、一人の女性がうずくまって苦しんでいるではないか!?

店主は慌てて女性に声をかける。

『お姉ちゃんどうした、大丈夫かい?』

と心配そうに声をかけた。

女性は凄く苦しんでいた。

『は、はい…ハァハァ、だ、大丈夫です…ハァハァ、む、昔から身体が弱く…ハァハァ、急に気分が悪くなって…ハァハァ…』

と苦そうにしながら息も途切れ途切れに返答し、青白い顔をこちらに向けた。

”っ!?これはイカン!!“と店主が小型の収納箱から水と万能薬を取り出した。

『この薬を飲んでそこの公園で休んだら直ぐに良くなるよ?』

そう言いながら店主は女性に薬と水を与え、少し休ませてから女性を支え公園のベンチへと連れて行った。ベンチへ座らせ、店主も女性から少し離れた所へ座り…暫く女性の様子を伺ってると、徐々に顔色が良くなって来た。

『どうだい、少しは良くなったかい?』

と女性に声をかける。
女性は、

『はい、お陰様で良くなりました!』

と、頬をうっすらと赤く染め笑顔で返答した。

もう大丈夫だと判断した店主。

『そ、そうか、じゃあ私はもう行くから…もう少し休んでから家へ帰ると良いよ。体調は良くなっても身体は疲れてるから少し甘い物を飲むと良いよ』

とココアを手渡す。

女性は顔を真っ赤に染め、

『色々とありがとうございます、それと足止めをさせてしまってすみません。改めてお礼をしたいので…もしよろしければお名前と住所を教えていただけたらと…』

そう言いながら手をモジモジしている女性。

店主はあまり見たことの無い女性の態度に困惑し、顔をひきつらせながら…

『な、なぁ~に、ただの中年のおっさんだよ。名乗るほどのもんじゃないよ!それに困ったときはお互い様だ。…じゃあ気を付けて帰れよ』

と立ち去った。

さすがに時間が経ち過ぎたなと河原行きを諦め、店へと歩き出す店主。
“そう言えば先程の子、やけに笑顔の似合う可愛い子だったな…。”


店では奥さんが椅子に腰掛け、膝の上に乗せた愛猫のたまを撫でている。
ガラガラガラっ!と引き戸が開いた。奥さんが猫を見ながら顔も上げず、

『おかえり~。散歩にしちゃあずいぶん遅かったね?』

と言い、そして顔を上げながら眼鏡をキラーンと光らせた。

『それにずいぶんと良い匂いがするじゃないかね?』

と言いながら、にた~っと笑う。

店主の顔が真っ青になり、

『さ、散歩に行っただけだよ!?ただ途中で…(かくかくしかじか…)』

と経緯を話す店主。

奥さんは納得したのか、

『へ~、良いことをしたね、それにお前さんは私以外の女性の近くに近寄るの苦手だからね』

と、にやにや笑ってる。
きっと店主がたじたじになって困ってるところを想像しながら笑ってるのだろう。

『じゃあ店番お願いね?』

と、珍しく鼻唄を歌いながら店の奥に姿を消す奥さん。
鼻唄はもちろんあの歌である。(どの歌?)

ふふふん~、ふ・ふ・ふ・ふん~
ふふふん~、ふ・ふ・ふ・ふん~
ふふふふふん、ふふふふふん、ふふふふふーふ、ふふふん

店主は鼻歌を耳にして思う。

”今日はやけにご機嫌さんだな、何か良いことでも有ったのかな?“
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