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みのる

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特別編 出逢い【後編】

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―数日後―
店特別編  出逢い【後編】主が店の奥へ向かって、

『お~い、少したまと散歩に出かけるから店番頼むよ』

奥さんが奥から、

『は~い!今行く!!』

とバタバタ出てくる。

店主はたまを抱いて、

『じゃあ行ってくるね』

ガラガラガラっ!!出かけていった。

『行ってらっしゃい~!?』

追いかける、奥さんの声。


店を出て少し歩いた所で、一人の女性がこちらに向かって歩いて来るのが見えた。
こちらに気付いた女性が、頬をうっすらと染め…にこにこ笑った。

『あ、先日はどうもありがとうございました!!(やっと見つけた…)』

やや顔がひきつる店主。

『おや、あんたはこの前の…で、もういいのかい?』

女性はそう問われ、

『はい…お陰様ですっかりよくなりました!!この辺りにお住まいなんですか?』

店主に逆に問いかけた。

店主は来た方向に指を差し、

『はい、少し向こうの所で…狭いですが店を開いてます』

店を開いている事を明かした。
女性は少し驚き、

『お店をされてるのですね?また改めて、お店の方へお伺いしますね』

店への来訪を約束する。

店主は笑顔を必死で作り、

『ぜひいらしてください、ではこの辺で…』

会釈をして女性と別れ…歩き出す店主。そしてたまに話しかける。

『さて、どこへ行くかな?たまはどこへ行きたい?』

たまがトコトコ歩き出したから、後をついて行く。

………結局周囲を一周しただけだった。

ガラガラガラっ!!
奥さんが意外という顔をする。

『おや、今日はずいぶん早かったね?』

店主は言う。

『行き先をたまに任せたら近所を一周しただだったよ』

奥さんは腹を揺すって笑う。

『あははは!!そりゃあそうさ、そのルートはたまのお決まりコースだからね?』

店主は滝のような汗を掻きながら、

「そ、そうか…普段店番ばかりだから全然知らなかったよ」

そう呟いた。

奥さんは可笑しそうに笑い終えた後、

『それじゃあ店番交代してね?』

と鼻唄を歌いながら奥へ引っ込んだ。

ふーふふふーん、ふーふ・ふん~、ふーふふふーふーん、ふーふふふんふーふ~ふ~ん~、ふーふふん~

ー翌日ー
相変わらず暇そうに椅子に腰を掛ける店主。
ガラガラガラっ!ややいつもより静かに引き戸が開いた。そこに現われたのは、先日の女性。

『こんにちは~♪』

店主はショーケース越しに、

『やあ、来てくれたんだ?』

女性に声をかけた。
女性は何かしら持参してくれたようだ。

『これ…先日助けて頂いた御礼です。お口に合うか分かりませんが…』

と、地元で有名な、某店の…とある山の名前の菓子折りを差し出した。

店主は困惑し、

『御礼をされるほどの事はしてないんだけどな…』

奥から出てきた奥さんが…店主に用があったのか、

『あんた…、おやお客さんかい?じゃあまた後で…』

来客に気付き、奥に引っ込もうとする。慌ててそれを引き留めて、

『この人が先日の人だよ、わざわざ菓子折まで持ってきてくれたよ?』

と困り顔。

奥さんが女性を一目見て、

『おや、この人かい?可愛い子だねぇ?』

とにやりと笑う。
奥さんを見て…やや顔を曇らせた女性は、

『先日助けていただき、とても助かりました。あ、あの~奥様でしょうか?』

つい聞いてしまう。

『様』を付けられて気分が良くなったのか、

『奥様って言うほど大したもんじゃないんだけどね、まあそんなところかな?
(さっきの旦那を見てたときのこの子の顔と、私の事を見たときのこの子の顔……間違いないだろうね。何重のフィルターをかけて旦那の事を見てるのかねぇ、まあ私も人の事は言えないけどね)』

やや得意気に返答した。

『じゃあまた後で良いから手伝ってよ?』

と店主に言い残し、奥へ引っ込んだ。

無言になり思い詰めた様な顔をする女性。

(あの人のどこが良いのかしら?私の方が可愛いはずなのに…、私にはあまり笑ってはくれないのに奥さんには嬉しそうに笑いかけている、何がいけないのかしら?あのタラコ唇が良いのかしら?きっとそうだ!あのタラコ唇が好きなんだ、じゃあ私がタラコ唇になれば…)

店主は急に無言になった女性を気にして、声をかける。

『あ、あの~、どうしました?』

超!困り顔で聞く。

女性は思い切って口を開いた。

『…あの~、ここなんでも屋さんですよね?“タラコ唇”って販売してますか?』

店主は戸惑いながら答える。

『た、タラコ唇ですか?有りますけど…』

迷いなく女性は店主に注文する。

『じゃあそれください!』
店主は、
『は、はい、どうぞ…』

タラコ唇を女性に手渡した。

タラコ唇を購入して、そそくさと店を出る女性。

笑顔の可愛い女性は壮大な勘違いをし、店主に好かれたいが為に…「タラコ唇として生きることを決めた」瞬間であった。
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