何でも屋さん

みのる

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第9話 楽しいキャンプ

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だいぶ気候も暖かくなり、汗ばむようになってきたので、店主がたまに団扇で風を送ってやっていた。
そこに引き戸をガラガラガラっ…と開き、来店してきたのは…いつもの青年。

青年は店主に迷いなく話しかけてきた。

『友達と河原でキャンプをするから、包丁、着火剤、ランプ、テントが欲しいんだけども?』

何処と無く嬉しそうな青年。

そこですかさず店主の一言。

『お前に友達居たのか…』

それを聞いた青年はちょっとムッとして店主に食ってかかる。

『失礼な!?俺にだって友達くらい…!!』

店主はにやにやしながら続ける。

『よくここに入り浸ってるから友達居ないのかと思ってた』

青年はこう、付け加えた。

『此処にいつも来てるのはこの店が儲かってないだろうと思って、売り上げに貢献してやってるんじゃないか!?』

店主は更にボソッ。

『……何時も商品を見て帰るだけだがね』

青年は何だか腹を立てたらしく、

『………とにかくっ!その4つを用意してくれよ!?今日必要なんだ!!』

店主を急かす。店主はよっこらしょ…と重い腰を上げて、品物を揃え始めた。

『え~と、包丁、着火剤、ランプ、テントだったかね?…まぁ貰う物はキッチリ戴くがね?』

店主の厳しい一言。
そこで青年、何気に苦情を吐く。

『何だよ、こんだけ購入してんのに…まけてくれないのかよ!?』

代金を支払いながら時計を見る。

『…あ!?もうすぐ集合時間じゃないか?…じゃあそろそろ行くよ』

…大荷物で青年はヨロヨロと待ち合わせ場所へ向かった。

『あぁ、楽しんで来いよ?』

と店主が言葉を発した頃には…青年は既に店を後にしたところであった。

青年が出て行った後直ぐに、中年の男性が来店。

『キャンプ道具一式が欲しいんだが…?』

それを聞いた店主は、

『色々種類あるけども…。どれにするんだい?』

とお客さんに聞く。

店主は気付いた。“んんんー!?…良く見れば…ウチの店に良く来店して下さる常連客ではないか!?”

『普通のキャンプ道具でいいよ』

と、常連客はにこやかに言った。

店主は常連客と、世間話。

『今まで使ってた、キャンプ道具はもう、ダメになっちまったのかい?』

すると、道具を選びながら常連客は、

『そうだねぇ、暇を見つけてキャンプ三昧だったからな。だいぶ傷んで来たんだよ。そろそろ新調時期かと』

店主はなるほど。と呟き、

『気を付けて、行ってくるんだよ。まぁ事故は起こらんとは思うが、念の為な』

常連客は顔を上げて店主を見ながら、

『心配してくれてありがとう。私もだいぶキャンプをしてきたし、大丈夫だと思いたいが』

そして更に道具を選び続ける。

『これだけあれば、充分だ。ありがとう!』

男性は店主に代金を渡し、笑顔で店を出て行った。
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