何でも屋さん

みのる

文字の大きさ
17 / 68

第9話 楽しいキャンプ

しおりを挟む
だいぶ気候も暖かくなり、汗ばむようになってきたので、店主がたまに団扇で風を送ってやっていた。
そこに引き戸をガラガラガラっ…と開き、来店してきたのは…いつもの青年。

青年は店主に迷いなく話しかけてきた。

『友達と河原でキャンプをするから、包丁、着火剤、ランプ、テントが欲しいんだけども?』

何処と無く嬉しそうな青年。

そこですかさず店主の一言。

『お前に友達居たのか…』

それを聞いた青年はちょっとムッとして店主に食ってかかる。

『失礼な!?俺にだって友達くらい…!!』

店主はにやにやしながら続ける。

『よくここに入り浸ってるから友達居ないのかと思ってた』

青年はこう、付け加えた。

『此処にいつも来てるのはこの店が儲かってないだろうと思って、売り上げに貢献してやってるんじゃないか!?』

店主は更にボソッ。

『……何時も商品を見て帰るだけだがね』

青年は何だか腹を立てたらしく、

『………とにかくっ!その4つを用意してくれよ!?今日必要なんだ!!』

店主を急かす。店主はよっこらしょ…と重い腰を上げて、品物を揃え始めた。

『え~と、包丁、着火剤、ランプ、テントだったかね?…まぁ貰う物はキッチリ戴くがね?』

店主の厳しい一言。
そこで青年、何気に苦情を吐く。

『何だよ、こんだけ購入してんのに…まけてくれないのかよ!?』

代金を支払いながら時計を見る。

『…あ!?もうすぐ集合時間じゃないか?…じゃあそろそろ行くよ』

…大荷物で青年はヨロヨロと待ち合わせ場所へ向かった。

『あぁ、楽しんで来いよ?』

と店主が言葉を発した頃には…青年は既に店を後にしたところであった。

青年が出て行った後直ぐに、中年の男性が来店。

『キャンプ道具一式が欲しいんだが…?』

それを聞いた店主は、

『色々種類あるけども…。どれにするんだい?』

とお客さんに聞く。

店主は気付いた。“んんんー!?…良く見れば…ウチの店に良く来店して下さる常連客ではないか!?”

『普通のキャンプ道具でいいよ』

と、常連客はにこやかに言った。

店主は常連客と、世間話。

『今まで使ってた、キャンプ道具はもう、ダメになっちまったのかい?』

すると、道具を選びながら常連客は、

『そうだねぇ、暇を見つけてキャンプ三昧だったからな。だいぶ傷んで来たんだよ。そろそろ新調時期かと』

店主はなるほど。と呟き、

『気を付けて、行ってくるんだよ。まぁ事故は起こらんとは思うが、念の為な』

常連客は顔を上げて店主を見ながら、

『心配してくれてありがとう。私もだいぶキャンプをしてきたし、大丈夫だと思いたいが』

そして更に道具を選び続ける。

『これだけあれば、充分だ。ありがとう!』

男性は店主に代金を渡し、笑顔で店を出て行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...