何でも屋さん

みのる

文字の大きさ
35 / 68

第22話 ビデオテープを再生したい 【後編】

しおりを挟む
2人がCafeスペースへ移動して話す。
中村が、

『確か伊集院は珈琲はあまりわからないけど、紅茶なら詳しかったよね?』

と確認する。

伊集院は、

『紅茶はよく飲んでるし、自信あるわ!』

と自信満々。

中村は伊集院に、

『じゃあ、プリンとホットケーキのどっちがいい?それとパフェも頼もう』

と問いかける。

伊集院が、

『じゃあ、プリンにします』

と言う。

中村はさらに、

『パフェは何にする?』

聞いてくる。

伊集院は、

『う~ん…抹茶にするわ』

と一瞬悩んだが決定した。

中村が、店主の方へ向いて

『おっさん!紅茶2つにプリンとホットケーキ、それに抹茶パフェにチョコレートパフェを頼むよ』

と注文する。

店主は、

『わかった』

と言い、奥さんに声をかける。

『おーい、食べ物を運んでくれ!』

奥さんが、

『ちょっと待ってね』

と言いながら出てくる。
そしてカートに紅茶2個・プリン・ホットケーキ・パフェ2種が乗せられる。

奥さんが2人の元へやってくる。

『はいどうぞ♪』

と次々とテーブルに置かれ、それを見た伊集院が青ざめる。

奥さんが、

『ゆっくりしててってね』

と言い戻っていく。

伊集院が一言、

「きっとこれ凄く高いわよ· · ·」

と呟く。

テーブルの上には、プリン· · ·では無くてプリンの上と回りに生クリームでデコレーションされ、様々なフルーツが飾り付けられた豪勢なプリンアラモード、ホットケーキはもふっくらとしたホットケーキの3段重ねでその上にはバターが乗り、横には生クリームが飾り付けられ…それとは別にカップに入った蜂蜜・メータンシロップ・ブルーベリーソースが付けられていた。
パフェの方はアイスクリームに生クリームやお菓子…そしてフルーツで華やかに飾り付けられている。抹茶パフェの方には更に粒餡と白玉、チョコレートパフェの方には薄いチョコレートが2枚トッピングされていた。

中村が、

『さぁ食べよう!』

と言って食べはじめる。

「うめぇ~♡」

と顔を綻ばせて呟く。

伊集院も恐る恐る食べはじめる。

『美味しい· · ·はじめて食べたわこんな美味しいもの· · ·』

ますます青ざめた顔で、

『ねぇ?本当にどうするの?これ絶対に高いわよ…
このプリンだけでもケーキ店等が店がこだわって作ったレベルのやつだよ?スーパーのプリンじゃ無いのよ?フルーツも色々入ってるし、このメロンも間違いなく高級メロンよ?どのフルーツも甘いくて美味しいし· · ·』

と心配げにしている。

中村は、

『絶対に大丈夫だから…早く食べなよ』

と気楽にしている。

伊集院は更に、

『この抹茶もきっと高い抹茶だよ?お茶の風味がとても良いもの· · ·』

と続ける。

中村がパフェにが添えられてたチョコを1枚食べ、

『ねぇ、このチョコレート食べてみてよ』

と伊集院に勧める。

伊集院は一つ手に取り食べる。

『· · ·これ高級チョコだよ?カカオの風味が凄くいいもの· · ·』

と気が気でない様子の伊集院。

中村は、

『だよね?』

と素知らぬ顔で笑う。

食事を終え紅茶を啜る2人が、

中村は、

『で、この紅茶はどう?』

と確認する。

伊集院は、

『紅茶好きで、高いのとか色々と飲んだけれど…はじめて飲んだわ、こんなに美味しい紅茶は· · ·間違いなく高級· · ·いえ特級クラスでヨーロッパでは間違いなく王宮御用達の茶葉じゃないかと思うんだけど…』

と顔が曇っている。

中村は、

『じゃあ、そろそろ会計してもらおうか』

と言うが、その言葉を聞いて青ざめる伊集院。
2人がカウンターの方へ行き、
中村が、

『おっさん!勘定を頼むよ』

と会計を頼む。

店主は、

『あぁわかった、えーと紅茶が400円で · ·』

集計を始める。

伊集院が驚き、店主に被せる様に

『えっ?ちょっと待ってください、紅茶の値段間違えてませんか?』

と問いかける。

店主は不思議そうにしながら、

『いや?間違えては無いよ、紅茶ってこの位の値段じゃないのか?』

と有り得ないセリフを言う。

伊集院は、

『えっ?』

と言ったきり固まる。

店主が、

『どうした?ひょっとして高すぎたか?』

とまた有り得ない一言。

中村が、

『逆だおっさん、彼女は安すぎて驚いてるんだよ』

と呆れて助け舟を出す。

店主は驚き、

『そうなのか!?』

と困惑するが、集計を再開させる。

『えーと…計算の続きだ、紅茶が2つで800円、ホットケーキが600円にプリンが380円…』

でまた伊集院が驚く。

『え~!?あれはプリンじゃ無くてプリンアラモードですよ・・・豪華な…』

と豪華を付け忘れない伊集院。

『それに…盛られてたフルーツも高級品ばかりですよね?』

と問いかける。

店主が、

『ん?プリンって生クリームと果物がつくんじゃないのか…?』

と惚けた事を言う。

中村が、

『いやいやいや、せいぜい安いホイップクリームをプリンの上に絞り、その上に缶詰の安いさくらんぼを一つ乗せる程度だよ』

と更に呆れてる。

店主は、

『まあいいじゃないか!』

と笑う。

『で、続きだ。抹茶パフェとチョコレートパフェのどちらも700円で…合わせて3180円だな』

中村が、

『はいよ』

とお金を渡す。
そして伊集院の方へ振り返り、

『なっ、安かっただろう』

と笑う。

伊集院は呆けた顔で頷いただけだった。

中村が、

『しかしおっさんよぉ!こんな安くしてやって行けるのか?』

と不思議そうにしている。

店主は、

「採算は取れてるんだけどね、実に不思議なんだが…値段を聞いた客にいつも驚かれるんだが?ありきたりな値段な筈なんだけどな・・・」

と呟く

中村が、

『たしかに食べ物の値段としての設定は間違えてはいないと思う、けど出てくる食べ物の量と材料の品質がオカシイんだよ!だからみんな驚いているんだ』

とまた呆れ顔で言う。

店主は、

『う~ん…』

と納得出来ないのか首を捻っている。

中村が、

『今日はもう帰るよ、ごっそーさん!また来るからな、おっさん』

と言い残し帰ってゆく2人。

2人が帰った後もう~ん…とまだ首を捻っている間抜けな店主。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...