51 / 68
第38話 12月4日は彼女の誕生日。
しおりを挟む
今日は12月4日、何でも屋にしては珍しく本日休業の貼り紙がされており「都合により休業します」の看板も出ている、偶然が重なるもので…珍しく早朝から何でも屋を訪れる中村の姿が有った。
どこかそわそわしている中村は、何でも屋にたどり着き、引き戸に貼られている本日休業の文字を見て驚愕し叫ぶ。
『何でよりによって今日休みなんだよ!?』
引き戸をガタガタさせたり、ガンガン叩いて
『おっさん!開けてくれよ居るんだろ?』
しかし店主が出てくる様子が伺えない。続いて電話を取り出してジャンジャン鳴らす。電話を鳴らしながら引き戸をまたしてもガンガン叩いて叫ぶ。
『おっさん!一生のお願いだ!!店を開けてくれよ!!』
根負けした店主が出てきて、引き戸の鍵を開ける。ガラガラガラ…と引き戸を開き、呆れたように…
『今日は休みって貼り紙してあるだろ、せっかく今日はゆっくりしようと思ってたのに…いったい何のようだい!?』
と問いかける。
中村は顔の前で両手を合わせて、
『おっさん!休みの所を無理を言ってすまない、今日伊集院の誕生日で…どうしてもプレゼントとケーキを買いたかったんだ!』
すると店主は、
『おや、お嬢ちゃんも今日誕生日なのか…うちのも誕生日なんだよ、どうせなら一緒に誕生パーティーしないか?』
と中村に提案し、店の中に向かって“なぁお前”と声をかけると、店の奥で夫婦水入らずで寛いでた所を邪魔され不機嫌そうに睨んでた奥さんが“ハッ”として、
『そうだねぇ、大勢の方が楽しいし…良いかも知れないねぇ…』
と不気味にタラコ唇を歪めてニタリと笑う。2人がいつものカウンターの方へと入って来て中村は、
『う~ん、そうだな・・・ちょっと伊集院に聞いてみるよ!』
と言いビグホを取りだし…電話をかけはじめると直ぐに伊集院が出たので中村が説明をはじめる。
『・・・と言う訳なんだがどうする?うん、うんわかったそう伝えるよ、うんじゃあ待ってるよ』
と言うと店主達の方を向き、
『是非ご一緒させてください、ってさ!』
と言うと、思い出したように、
『そうだおっさん!!プレゼントを買いに来たんだったよ、予算は3万で薔薇の形のブローチとマフラーが欲しいんだけど有るか?』
店主はニヤリと笑い、
『もちろん有るよ、え~とこれがブローチで…マフラーの希望の色は有るかい?』
その問いかけに中村は少し悩んで答える。
『う~んそうだな、伊集院はブルー系の色が好きだから女の子っぽく薄い水色で良いよ、それとラッピングも頼めるか?』
店主はマフラーを取りだしカウンターの上に置き、
『ほらよ、ブローチとマフラーで3万ぴったりだ、お前…ちょっとラッピングを頼むよ?』
と奥さんにラッピングを頼む。奥さんがカウンターの奥へで可愛くラッピングをはじめる。
中村が3万を取りだし店主に聞く。
『おっさん、食事の分のお金は2人分とケーキ代も半分だすよ、合わせていくらだ?』
店主は笑いながら、
『ははは、食費はサービスだ!』
と中村にこたえ“どうせタダだしな”と聞こえるか聞こえないくらいの小声で呟いた。
中村が店主に“なんか悪いな”と話してると奥さんがラッピングを済ませて中村に渡す。
『はいよ、お待たせ』
中村は直ぐ様奥さんに礼を言う。
『悪いな奥さん、誕生日に押し掛け仕事までさせて…』
奥さんは、
『別に構わないよ、大切な人の為に喜んで貰いたいその為になんとかしたいって気持ちはわかるからねぇ…』
そうこうしてると伊集院がやって来た。
『こんにちは、お誘い頂いてありがとうございます!』
とまずは店主夫婦に挨拶してから、
『お店が休業と貼り紙と看板が出てましたけど、もしかして中村さんが無理にお店を開けさせたんじゃ無いのですか?』
と心配そうに訪ね中村をにらむ。中村が慌てて弁解しようとするも先に店主に、
『よく来てくれるお得意さんだし…そのくらい構わんよ、たまたまうちのと誕生日が一緒だったから、どうせなら大勢の方が楽しいと思ってね』
と言われてしまい中村は冷や汗を流す。そんな中村を尻目に伊集院が恥ずかしそうに何度も頭を下げながら謝る。
『本当は奥さんと夫婦水入らずで過ごす予定だったのですよね!?お邪魔してしまいすみません!』
店主は笑いながら、
『知らない仲じゃないし、そんなに気にしないでよ 。それにせっかくだから大勢の方が楽しいし、楽しんで言ってよ。なあお前』
と奥さんにも振ると奥さんも笑顔で言う。
『そうだよ、この人の言うようにゆっくり楽しんでいってね!』
“本当にすみません”と伊集院が謝りながら横に居る中村の脇腹を抓ると中村は“痛たたた、許してくれ”と伊集院に謝る。
そんな2人を店主夫婦が微笑ましく見守っている。
やがて店主が“さてと”と言い、中村に声をかけてCafeスペースへと歩いていく。
『お~い青年、大きめのテーブルを出すからCafeスペースのテーブルを退かせるの手伝ってよ!』
中村は“わかったよ”と言い、店主の後を追う。2人でテーブルと椅子を退かせ、出来たスペースに店主が大きめのテーブルを取り出す。元々置いてた椅子を再設置し、2人はカウンターの方へと戻り店主が話しだす。
『料理の準備は私と青年でするから…主役の2人は先に椅子に座っててよ』
座って待ってろと言われた伊集院が気を使い、
『そんな、私も手伝いますよ』
と言うも奥さんに止められる。
『まあ、ここは2人に任せて…私らは座って待たせて貰おうじゃないの』
奥さんが伊集院の手を引き、Cafeスペースへと歩き出すと伊集院も渋々着いていく。
『おっさん、俺は料理あまり得意じゃないぞ?』
と残った中村が口を開くと店主が、
『お前さんは、そのワゴンで料理を運んでくれるだけでいいよ』
と言いながら料理を取り出し、ワゴンへ乗せてゆく。ご飯を持った皿を4つ、コーンスープの入った皿を4つ、普通のハンバーグとチーズハンバーグのダブルバーグにチキンステーキと備え付けにポテト・人参・コーンが添えられた鉄板を木皿に乗せたものを4つ、最後にシャンパンとグラス4つとナイフとフォークのセットを4つ乗せ、店主と中村が何かボソボソと話しをしてから中村がカートを運んでゆく。店主はカウンターでまだ何かをしており、しばらくしてからCafeスペースへと向かう。
テーブルの上に料理を並べ終わったのを確認した店主が、4人のグラスにシャンパンを注ぎ“コホン”咳払いをして、
『2人の誕生日を祝って…カンパーイ!』
と音頭をとると、他の面々もカンパーイと言ってグラスを当てる。全員がシャンパンを飲み終え店主が伊集院に向かって、
『うちのがハンバーグとチキンが好きでね、メインをこれにしたんだけど大丈夫だったかい?』
と問いかけると伊集院は、
『私もハンバーグとチキンステーキが好きなんです!』
と答え奥さんに、
『私達、良く似てますね♡』
と笑う。奥さんも、
『ほんとだねぇ♪』
と一緒になって笑う。
待ちきれないのか中村が“冷めないうちに早く食おうぜ”と言うやいなや食べ始める。
『お~お~、ハンバーグから肉汁が溢れ出てきやがるぜ、しかし何食ってもここのはうめぇ~な!』
と舌鼓を打っていると、それを見ていた伊集院は恥ずかしそうにしている。
『おやまぁ!チェダーチーズの乗った普通のチーズハンバーグだと思っていたら、中からカマンベールチーズも出てきたよ!』
と奥さんも満足そうで有る。それを聞いた伊集院もチーズハンバーグを切ると、中からチーズが流れ出して来て
『まぁ本当、とっても美味しそうですね』
と言って口に入れると幸せそうな顔をしている。
店主はそんな面々を見ながら満足そうに食べている。中村に至ってはもはや“うめぇ~、うめぇ~”としか言ってない。
4人が食事を終えると店主が立ち上がり、カウンターの方へ行き何かゴソゴソしている。
電気を消し、ロウソクを灯したホールケーキを2つ持ってハッピバーズデーの歌を歌いながらやって来る店主。中村も同じように歌いはじめる。すると奥さんが何かうお~うぉ~吠えている。
ケーキが2人の前に置かれ、ロウソクを吹き消す2人。店主と中村が“誕生日おめでとう”と言って店主が再び電気を点けると、奥さんの前にはベリーがふんだんにあしらわれたミックスベリーケーキが。伊集院の前にはトリュフチョコがあしらわれたチョコレートケーキが有った。
先ほど2人がボソボソと話してた時に伊集院が好きなケーキを聞いていたらしい。
伊集院が思わず、
『まあ、とっても美味しそう…』
と感嘆の声を漏らす。
綺麗にカットされてるケーキを、店主が少し大きめの皿とフォークを4組み取り出して、それぞれの皿に2種のケーキを取り分けていく。店主が取り分け終えると奥さんがまってましたばかりに、
『それじゃあ、いただこうかねぇ♪』
と言いケーキを食べ出す。その光景を微笑ましそうに見ながら店主は4人分の紅茶を淹れ、他の者もケーキを食べはじめる。
中村は交互に食べ“うめぇ~、うめぇ~”を繰り返してるが伊集院は感想を漏らす。
『本当に何を食べても美味しいですね、どちらのケーキも程よい甘さで良い素材が使われてますね』
食べ終えた中村が隠し持っていたプレゼントを取り出し伊集院に渡すと伊集院は
『まぁ、嬉しいです。ありがとうございます』
と微笑み“あけて良いですか?”と中村に問うと、頷いたのでガサゴソと開ける。…中からブローチとマフラーが出てくる。
『まぁ、可愛らしいブローチと暖かそうなマフラーをありがとうございます!とても嬉しいです♪』
と伊集院が言いマフラーを首に巻いてブローチを胸に着けてみて、頬を赤くして中村に聞いてみる。
『どう?似合ってますか?』
伊集院の可愛さに見とれながら中村は返事をする。
『あぁ、よく似合ってて可愛いよ』
そんな2人のやり取りを羨ましそうに見てる。奥さんは、自分も何かプレゼントを欲しいと思うが店が何でも屋の為、無い物なぞ存在しないから諦めていた。
暫く4人が談笑を楽しんだ後に中村が、
『すっかり遅くなってしまったな、そろそろ帰るとするか!』
と言うと伸びをして店主と奥さんに、
『今日はありがとう、料理は美味かったし楽しかったよ!』
と言うと伊集院も続けてお礼を言う。
『ごちそうさまでした、とても美味しかったですし楽しませていただきました!』
店主夫婦も“こちらこそ楽しかったよ”と返事を返して2人を店先まで見送り声をかける。
『2人とも!気を付けて帰るんだよ?』
2人を見送り終え店内に戻る店主と奥さん、店主がポケットから小さな箱を取りだし、どこか寂しそうな奥さんに声をかける。
『お前、たいしたもんじゃ無いけど…誕生日おめでとう』
と言って箱を渡す。奥さんは受け取った箱を開けると手作りの指輪が3個出てきた。
店主が奥さんに照れ臭そうに話す。
『うちにはなんでも有るから、どうせならと思って店番の合間にコツコツ作ってたんだよ』
それを聞いた奥さんは頬を赤く染め涙を流す。
『お前さんありがとう、とってもうれしいよぅ…』
と言って抱きつき、店主の頬にキスをした。
どこかそわそわしている中村は、何でも屋にたどり着き、引き戸に貼られている本日休業の文字を見て驚愕し叫ぶ。
『何でよりによって今日休みなんだよ!?』
引き戸をガタガタさせたり、ガンガン叩いて
『おっさん!開けてくれよ居るんだろ?』
しかし店主が出てくる様子が伺えない。続いて電話を取り出してジャンジャン鳴らす。電話を鳴らしながら引き戸をまたしてもガンガン叩いて叫ぶ。
『おっさん!一生のお願いだ!!店を開けてくれよ!!』
根負けした店主が出てきて、引き戸の鍵を開ける。ガラガラガラ…と引き戸を開き、呆れたように…
『今日は休みって貼り紙してあるだろ、せっかく今日はゆっくりしようと思ってたのに…いったい何のようだい!?』
と問いかける。
中村は顔の前で両手を合わせて、
『おっさん!休みの所を無理を言ってすまない、今日伊集院の誕生日で…どうしてもプレゼントとケーキを買いたかったんだ!』
すると店主は、
『おや、お嬢ちゃんも今日誕生日なのか…うちのも誕生日なんだよ、どうせなら一緒に誕生パーティーしないか?』
と中村に提案し、店の中に向かって“なぁお前”と声をかけると、店の奥で夫婦水入らずで寛いでた所を邪魔され不機嫌そうに睨んでた奥さんが“ハッ”として、
『そうだねぇ、大勢の方が楽しいし…良いかも知れないねぇ…』
と不気味にタラコ唇を歪めてニタリと笑う。2人がいつものカウンターの方へと入って来て中村は、
『う~ん、そうだな・・・ちょっと伊集院に聞いてみるよ!』
と言いビグホを取りだし…電話をかけはじめると直ぐに伊集院が出たので中村が説明をはじめる。
『・・・と言う訳なんだがどうする?うん、うんわかったそう伝えるよ、うんじゃあ待ってるよ』
と言うと店主達の方を向き、
『是非ご一緒させてください、ってさ!』
と言うと、思い出したように、
『そうだおっさん!!プレゼントを買いに来たんだったよ、予算は3万で薔薇の形のブローチとマフラーが欲しいんだけど有るか?』
店主はニヤリと笑い、
『もちろん有るよ、え~とこれがブローチで…マフラーの希望の色は有るかい?』
その問いかけに中村は少し悩んで答える。
『う~んそうだな、伊集院はブルー系の色が好きだから女の子っぽく薄い水色で良いよ、それとラッピングも頼めるか?』
店主はマフラーを取りだしカウンターの上に置き、
『ほらよ、ブローチとマフラーで3万ぴったりだ、お前…ちょっとラッピングを頼むよ?』
と奥さんにラッピングを頼む。奥さんがカウンターの奥へで可愛くラッピングをはじめる。
中村が3万を取りだし店主に聞く。
『おっさん、食事の分のお金は2人分とケーキ代も半分だすよ、合わせていくらだ?』
店主は笑いながら、
『ははは、食費はサービスだ!』
と中村にこたえ“どうせタダだしな”と聞こえるか聞こえないくらいの小声で呟いた。
中村が店主に“なんか悪いな”と話してると奥さんがラッピングを済ませて中村に渡す。
『はいよ、お待たせ』
中村は直ぐ様奥さんに礼を言う。
『悪いな奥さん、誕生日に押し掛け仕事までさせて…』
奥さんは、
『別に構わないよ、大切な人の為に喜んで貰いたいその為になんとかしたいって気持ちはわかるからねぇ…』
そうこうしてると伊集院がやって来た。
『こんにちは、お誘い頂いてありがとうございます!』
とまずは店主夫婦に挨拶してから、
『お店が休業と貼り紙と看板が出てましたけど、もしかして中村さんが無理にお店を開けさせたんじゃ無いのですか?』
と心配そうに訪ね中村をにらむ。中村が慌てて弁解しようとするも先に店主に、
『よく来てくれるお得意さんだし…そのくらい構わんよ、たまたまうちのと誕生日が一緒だったから、どうせなら大勢の方が楽しいと思ってね』
と言われてしまい中村は冷や汗を流す。そんな中村を尻目に伊集院が恥ずかしそうに何度も頭を下げながら謝る。
『本当は奥さんと夫婦水入らずで過ごす予定だったのですよね!?お邪魔してしまいすみません!』
店主は笑いながら、
『知らない仲じゃないし、そんなに気にしないでよ 。それにせっかくだから大勢の方が楽しいし、楽しんで言ってよ。なあお前』
と奥さんにも振ると奥さんも笑顔で言う。
『そうだよ、この人の言うようにゆっくり楽しんでいってね!』
“本当にすみません”と伊集院が謝りながら横に居る中村の脇腹を抓ると中村は“痛たたた、許してくれ”と伊集院に謝る。
そんな2人を店主夫婦が微笑ましく見守っている。
やがて店主が“さてと”と言い、中村に声をかけてCafeスペースへと歩いていく。
『お~い青年、大きめのテーブルを出すからCafeスペースのテーブルを退かせるの手伝ってよ!』
中村は“わかったよ”と言い、店主の後を追う。2人でテーブルと椅子を退かせ、出来たスペースに店主が大きめのテーブルを取り出す。元々置いてた椅子を再設置し、2人はカウンターの方へと戻り店主が話しだす。
『料理の準備は私と青年でするから…主役の2人は先に椅子に座っててよ』
座って待ってろと言われた伊集院が気を使い、
『そんな、私も手伝いますよ』
と言うも奥さんに止められる。
『まあ、ここは2人に任せて…私らは座って待たせて貰おうじゃないの』
奥さんが伊集院の手を引き、Cafeスペースへと歩き出すと伊集院も渋々着いていく。
『おっさん、俺は料理あまり得意じゃないぞ?』
と残った中村が口を開くと店主が、
『お前さんは、そのワゴンで料理を運んでくれるだけでいいよ』
と言いながら料理を取り出し、ワゴンへ乗せてゆく。ご飯を持った皿を4つ、コーンスープの入った皿を4つ、普通のハンバーグとチーズハンバーグのダブルバーグにチキンステーキと備え付けにポテト・人参・コーンが添えられた鉄板を木皿に乗せたものを4つ、最後にシャンパンとグラス4つとナイフとフォークのセットを4つ乗せ、店主と中村が何かボソボソと話しをしてから中村がカートを運んでゆく。店主はカウンターでまだ何かをしており、しばらくしてからCafeスペースへと向かう。
テーブルの上に料理を並べ終わったのを確認した店主が、4人のグラスにシャンパンを注ぎ“コホン”咳払いをして、
『2人の誕生日を祝って…カンパーイ!』
と音頭をとると、他の面々もカンパーイと言ってグラスを当てる。全員がシャンパンを飲み終え店主が伊集院に向かって、
『うちのがハンバーグとチキンが好きでね、メインをこれにしたんだけど大丈夫だったかい?』
と問いかけると伊集院は、
『私もハンバーグとチキンステーキが好きなんです!』
と答え奥さんに、
『私達、良く似てますね♡』
と笑う。奥さんも、
『ほんとだねぇ♪』
と一緒になって笑う。
待ちきれないのか中村が“冷めないうちに早く食おうぜ”と言うやいなや食べ始める。
『お~お~、ハンバーグから肉汁が溢れ出てきやがるぜ、しかし何食ってもここのはうめぇ~な!』
と舌鼓を打っていると、それを見ていた伊集院は恥ずかしそうにしている。
『おやまぁ!チェダーチーズの乗った普通のチーズハンバーグだと思っていたら、中からカマンベールチーズも出てきたよ!』
と奥さんも満足そうで有る。それを聞いた伊集院もチーズハンバーグを切ると、中からチーズが流れ出して来て
『まぁ本当、とっても美味しそうですね』
と言って口に入れると幸せそうな顔をしている。
店主はそんな面々を見ながら満足そうに食べている。中村に至ってはもはや“うめぇ~、うめぇ~”としか言ってない。
4人が食事を終えると店主が立ち上がり、カウンターの方へ行き何かゴソゴソしている。
電気を消し、ロウソクを灯したホールケーキを2つ持ってハッピバーズデーの歌を歌いながらやって来る店主。中村も同じように歌いはじめる。すると奥さんが何かうお~うぉ~吠えている。
ケーキが2人の前に置かれ、ロウソクを吹き消す2人。店主と中村が“誕生日おめでとう”と言って店主が再び電気を点けると、奥さんの前にはベリーがふんだんにあしらわれたミックスベリーケーキが。伊集院の前にはトリュフチョコがあしらわれたチョコレートケーキが有った。
先ほど2人がボソボソと話してた時に伊集院が好きなケーキを聞いていたらしい。
伊集院が思わず、
『まあ、とっても美味しそう…』
と感嘆の声を漏らす。
綺麗にカットされてるケーキを、店主が少し大きめの皿とフォークを4組み取り出して、それぞれの皿に2種のケーキを取り分けていく。店主が取り分け終えると奥さんがまってましたばかりに、
『それじゃあ、いただこうかねぇ♪』
と言いケーキを食べ出す。その光景を微笑ましそうに見ながら店主は4人分の紅茶を淹れ、他の者もケーキを食べはじめる。
中村は交互に食べ“うめぇ~、うめぇ~”を繰り返してるが伊集院は感想を漏らす。
『本当に何を食べても美味しいですね、どちらのケーキも程よい甘さで良い素材が使われてますね』
食べ終えた中村が隠し持っていたプレゼントを取り出し伊集院に渡すと伊集院は
『まぁ、嬉しいです。ありがとうございます』
と微笑み“あけて良いですか?”と中村に問うと、頷いたのでガサゴソと開ける。…中からブローチとマフラーが出てくる。
『まぁ、可愛らしいブローチと暖かそうなマフラーをありがとうございます!とても嬉しいです♪』
と伊集院が言いマフラーを首に巻いてブローチを胸に着けてみて、頬を赤くして中村に聞いてみる。
『どう?似合ってますか?』
伊集院の可愛さに見とれながら中村は返事をする。
『あぁ、よく似合ってて可愛いよ』
そんな2人のやり取りを羨ましそうに見てる。奥さんは、自分も何かプレゼントを欲しいと思うが店が何でも屋の為、無い物なぞ存在しないから諦めていた。
暫く4人が談笑を楽しんだ後に中村が、
『すっかり遅くなってしまったな、そろそろ帰るとするか!』
と言うと伸びをして店主と奥さんに、
『今日はありがとう、料理は美味かったし楽しかったよ!』
と言うと伊集院も続けてお礼を言う。
『ごちそうさまでした、とても美味しかったですし楽しませていただきました!』
店主夫婦も“こちらこそ楽しかったよ”と返事を返して2人を店先まで見送り声をかける。
『2人とも!気を付けて帰るんだよ?』
2人を見送り終え店内に戻る店主と奥さん、店主がポケットから小さな箱を取りだし、どこか寂しそうな奥さんに声をかける。
『お前、たいしたもんじゃ無いけど…誕生日おめでとう』
と言って箱を渡す。奥さんは受け取った箱を開けると手作りの指輪が3個出てきた。
店主が奥さんに照れ臭そうに話す。
『うちにはなんでも有るから、どうせならと思って店番の合間にコツコツ作ってたんだよ』
それを聞いた奥さんは頬を赤く染め涙を流す。
『お前さんありがとう、とってもうれしいよぅ…』
と言って抱きつき、店主の頬にキスをした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる