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第40話 聖なる日のお客様。
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『あれ?た~ま~?たまよーい?』
奥さんがたまを必死で探す。朝からたまの姿が見当たらない。
ショーケースの整頓をしていた店主に、
『あんた、たまが見つからないんだけども…知らないかい?』
最近、存在を忘れられつつある…何でも屋の愛猫「たま」を忘れないでやって欲しい。
『…これはちょっとシーズンでないから…下げとくか…?…たまか?此処に居ないという事は…お前、この時期…もうあそこしか無いんじゃないのか?』
店主は大掃除とばかりに品物をよりすぐる。
奥さんがそれを聞き、
『……あぁ!!あそこね?…もうそんな時期なんだねぇ…』
と言いながら、Cafeスペースへ直進した。
Cafeスペースは、冬になり…寒いだろうと店主の計らいにより、掘りごたつに変わった。
奥さんはそれを思い出し、1つ1つ掘りごたつを捲ってたまを探す。
『たーまー、たまたま~…あっ!』
奥さんはたまを発見した。
とある1つの掘りごたつの隅で、暖を求めて丸くなっているたまの姿を…。
寝てるたまを起こすのは気が引けるのか、奥さんはたまをその場に放置して、奥に戻って行った。
そこに、1人のお客様が何時ものように引き戸を開けてガラガラガラっ!と入店した。
店主は顔を上げてお客様に声をかける。
『いらっしゃい。ゆっくり見ていってよ』
すると、その如何にもどこかの執事風な男が言葉を発する。
『……今日はクリスマスじゃないですか?なんか毎年、ウチのパーティーで…ここのケーキを食べるって聞いたから、お使いに出されて買いに来たんですけど…』
執事なのか?少し敬語が執事っぽくない執事だ。
そこで店主は思い出す。
『あぁ、サエキグループのところの執事さんだね?今年はどんなケーキがいるんだい?』
その言葉に、執事(?)は返答した。
『えーと…今までどんなケーキを注文したのかは分からないけど、とりあえずお嬢様は…チーズケーキが好きだから、それをお願いします!』
店主は
『はいよ!』
とても濃厚そうなベイクドチーズケーキに、生クリームをあしらって…豪華にフルーツで飾られた、超特大サイズなホールケーキを差し出した。
『これがお宅のお嬢様には相応しいのじゃあないかな?』
執事(?)は“すげー、美味そー…♡”と呟き、密かに唾を飲み込む。
『こんだけ大きな物だったら、パーティーにも充分足りるだろうし!ありがとうございます』
そして、執事(?)は、更に店主に聞いて来た。
『ところで…お嬢様にオレから…何かプレゼントを贈りたいんですが…なにぶんお嬢様だから、何贈ったら良いか分からないんです…』
その執事(?)ははにかみながらそう言った。
店主は執事(?)にあっさりと答えた。
『何でも良いんだ。こういうのは…気持ちの問題だよ?お前さんが”これが相応しい“って思うような物を贈ると良いよ』
それでも執事(?)は暫く悩んでるような感じであったが、ふと思いついたのか…店主に
『何か…大きくてあったかいストール置いてませんか?色は…白が良いな』
するともちろん店主は、
『あるよ?』
と答えて、大きな白い暖かそうな物を出した。銀の糸で雪の結晶が刺繍されている。
執事(?)は一目で気に入ったようだ。
『これにします!!…幾らですか?』
『さっきのケーキが8000円で、このストールは3000円だね』
執事(?)は2つの財布(お屋敷用と自分用)を取り出し、代金を支払うと、
『ありがとうございました。…これでお嬢様も喜んでくれるよな♪』
その執事(?)は、2つの大きな荷物をよっこらせ!と持ち、ストールのラッピングを奥さんにして貰い…スキップしそうなノリで、店を後にした。
奥さんがたまを必死で探す。朝からたまの姿が見当たらない。
ショーケースの整頓をしていた店主に、
『あんた、たまが見つからないんだけども…知らないかい?』
最近、存在を忘れられつつある…何でも屋の愛猫「たま」を忘れないでやって欲しい。
『…これはちょっとシーズンでないから…下げとくか…?…たまか?此処に居ないという事は…お前、この時期…もうあそこしか無いんじゃないのか?』
店主は大掃除とばかりに品物をよりすぐる。
奥さんがそれを聞き、
『……あぁ!!あそこね?…もうそんな時期なんだねぇ…』
と言いながら、Cafeスペースへ直進した。
Cafeスペースは、冬になり…寒いだろうと店主の計らいにより、掘りごたつに変わった。
奥さんはそれを思い出し、1つ1つ掘りごたつを捲ってたまを探す。
『たーまー、たまたま~…あっ!』
奥さんはたまを発見した。
とある1つの掘りごたつの隅で、暖を求めて丸くなっているたまの姿を…。
寝てるたまを起こすのは気が引けるのか、奥さんはたまをその場に放置して、奥に戻って行った。
そこに、1人のお客様が何時ものように引き戸を開けてガラガラガラっ!と入店した。
店主は顔を上げてお客様に声をかける。
『いらっしゃい。ゆっくり見ていってよ』
すると、その如何にもどこかの執事風な男が言葉を発する。
『……今日はクリスマスじゃないですか?なんか毎年、ウチのパーティーで…ここのケーキを食べるって聞いたから、お使いに出されて買いに来たんですけど…』
執事なのか?少し敬語が執事っぽくない執事だ。
そこで店主は思い出す。
『あぁ、サエキグループのところの執事さんだね?今年はどんなケーキがいるんだい?』
その言葉に、執事(?)は返答した。
『えーと…今までどんなケーキを注文したのかは分からないけど、とりあえずお嬢様は…チーズケーキが好きだから、それをお願いします!』
店主は
『はいよ!』
とても濃厚そうなベイクドチーズケーキに、生クリームをあしらって…豪華にフルーツで飾られた、超特大サイズなホールケーキを差し出した。
『これがお宅のお嬢様には相応しいのじゃあないかな?』
執事(?)は“すげー、美味そー…♡”と呟き、密かに唾を飲み込む。
『こんだけ大きな物だったら、パーティーにも充分足りるだろうし!ありがとうございます』
そして、執事(?)は、更に店主に聞いて来た。
『ところで…お嬢様にオレから…何かプレゼントを贈りたいんですが…なにぶんお嬢様だから、何贈ったら良いか分からないんです…』
その執事(?)ははにかみながらそう言った。
店主は執事(?)にあっさりと答えた。
『何でも良いんだ。こういうのは…気持ちの問題だよ?お前さんが”これが相応しい“って思うような物を贈ると良いよ』
それでも執事(?)は暫く悩んでるような感じであったが、ふと思いついたのか…店主に
『何か…大きくてあったかいストール置いてませんか?色は…白が良いな』
するともちろん店主は、
『あるよ?』
と答えて、大きな白い暖かそうな物を出した。銀の糸で雪の結晶が刺繍されている。
執事(?)は一目で気に入ったようだ。
『これにします!!…幾らですか?』
『さっきのケーキが8000円で、このストールは3000円だね』
執事(?)は2つの財布(お屋敷用と自分用)を取り出し、代金を支払うと、
『ありがとうございました。…これでお嬢様も喜んでくれるよな♪』
その執事(?)は、2つの大きな荷物をよっこらせ!と持ち、ストールのラッピングを奥さんにして貰い…スキップしそうなノリで、店を後にした。
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