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第一章 我が屋敷にやってきた、麗しき雇い人
プロローグ
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桜の蕾がふっくらと膨らみを帯びた3月の終わり…
私は衣装部屋で着替えていた。
今日はばあやが人を連れて来ると言う話だ。
”うん、この服にしよう! “ーばあやが人を連れてくるから、少しオシャレめなドレスー私はいそいそと着替え始めた。
そこに…突然見たこともない男がいきなり私の着替えている部屋のドアを勢い良く開け…その男と一瞬、目が合った。
暫く何も言葉を発する事が出来ず、漸く口を付いた言葉は…
『へんたいーーーーー!!!?』
その男は慌てて部屋を出て行った。
それから、私は着替え終えて…自分の部屋に戻り、愛読書を手に取った。もちろん、内容は頭に入らない。
『お嬢様~⁉架苗お嬢様~?』
…あれはばあやの声だ。私は漸く落ち着き、本に目を通し続ける。私の大好きな恋愛小説を…自らの部屋で。
それに、(何の用かは知ってるが)用があるなら其方から来ると言うのが筋ではないか?
『架苗お嬢様‼やはりこちらでしたか』
散々探して回ったのか、ばあやの息は絶え絶えだ。…始めから私の部屋を探せば良いものを…
最近特に忘れっぽいばあやは言う。
『そうそう、用件を忘れてしまうところでした。…アタシの代わりの、新しい使用人ですよ?…ホラ、お嬢様にご挨拶は⁉』
…何?ばあや…此処を辞めるの?私の生まれた時から、此処で働いてくれていたのに⁉私は本を閉じてばあやの話に耳を傾けた。
ばあやの隣には、見た事も無い程美しい青年が…なんか態度が…(滝汗)そっぽ向いて、見るからにだらけてる…?自分がこれから此処で使われるという認識はあるのだろうか?
ばあやが彼の代わりに口を開く。
『アタシもすっかりモノ忘れが酷くなりましてねぇ…そろそろお暇をいただく事に致しました。…で、この子がアタシの代わりに此処で働く様になるんですが…、コレ‼ご挨拶なさい‼』
ばあやに急かされて、しょうがないな…ってな感じで青年は自己紹介を始めた。
………んん?……おや……?あれはもしや……?
『…栗栖 鷹峰……です。…よろしくお願いします…』
さっきの変態では無いかぁぁあー!!?
さらりとした少し茶色い髪の毛。ツリ目な涼しい目元。綺麗な桃色の唇。筋の通った鼻。私よりも色の白い肌…。まさに「見目麗しい」の一言なんだけど、「使用人」としてのこころ構えが足りない…。何より私の着替えを覗いたヘンタイ!…私の第一印象は最悪であった。
『ウチの孫なんですがね…。高校出てから今まで、恥ずかしながら職にも就かずプラプラしどおしで。この機会に仕事をさせようとお嬢様の元に置く事にしたのですが…。なんせ口のきき方というものを知らないものですから、何か失礼があったら…遠慮なくバシバシ鍛えてやって下さいね?』
そうばあやは言い残し最後に、
『長いこと、お世話になりました。私はこれから家でのんびりやって行きますので…』
私に一礼して、部屋を出て行く。
『今まで…ありがとう!…ばあや…』
彼女の背中を丸めた背後姿に、私はお礼の言葉を送った。
後に残された私と、新たな使用人『クリス タカミネ』…。私は彼をキッ‼…と睨む。そこで彼は少し怯み、私に言う。
『……あの……さっきはごめんなさい…とりあえず…何すればいいですか?…オレ』
私は衣装部屋で着替えていた。
今日はばあやが人を連れて来ると言う話だ。
”うん、この服にしよう! “ーばあやが人を連れてくるから、少しオシャレめなドレスー私はいそいそと着替え始めた。
そこに…突然見たこともない男がいきなり私の着替えている部屋のドアを勢い良く開け…その男と一瞬、目が合った。
暫く何も言葉を発する事が出来ず、漸く口を付いた言葉は…
『へんたいーーーーー!!!?』
その男は慌てて部屋を出て行った。
それから、私は着替え終えて…自分の部屋に戻り、愛読書を手に取った。もちろん、内容は頭に入らない。
『お嬢様~⁉架苗お嬢様~?』
…あれはばあやの声だ。私は漸く落ち着き、本に目を通し続ける。私の大好きな恋愛小説を…自らの部屋で。
それに、(何の用かは知ってるが)用があるなら其方から来ると言うのが筋ではないか?
『架苗お嬢様‼やはりこちらでしたか』
散々探して回ったのか、ばあやの息は絶え絶えだ。…始めから私の部屋を探せば良いものを…
最近特に忘れっぽいばあやは言う。
『そうそう、用件を忘れてしまうところでした。…アタシの代わりの、新しい使用人ですよ?…ホラ、お嬢様にご挨拶は⁉』
…何?ばあや…此処を辞めるの?私の生まれた時から、此処で働いてくれていたのに⁉私は本を閉じてばあやの話に耳を傾けた。
ばあやの隣には、見た事も無い程美しい青年が…なんか態度が…(滝汗)そっぽ向いて、見るからにだらけてる…?自分がこれから此処で使われるという認識はあるのだろうか?
ばあやが彼の代わりに口を開く。
『アタシもすっかりモノ忘れが酷くなりましてねぇ…そろそろお暇をいただく事に致しました。…で、この子がアタシの代わりに此処で働く様になるんですが…、コレ‼ご挨拶なさい‼』
ばあやに急かされて、しょうがないな…ってな感じで青年は自己紹介を始めた。
………んん?……おや……?あれはもしや……?
『…栗栖 鷹峰……です。…よろしくお願いします…』
さっきの変態では無いかぁぁあー!!?
さらりとした少し茶色い髪の毛。ツリ目な涼しい目元。綺麗な桃色の唇。筋の通った鼻。私よりも色の白い肌…。まさに「見目麗しい」の一言なんだけど、「使用人」としてのこころ構えが足りない…。何より私の着替えを覗いたヘンタイ!…私の第一印象は最悪であった。
『ウチの孫なんですがね…。高校出てから今まで、恥ずかしながら職にも就かずプラプラしどおしで。この機会に仕事をさせようとお嬢様の元に置く事にしたのですが…。なんせ口のきき方というものを知らないものですから、何か失礼があったら…遠慮なくバシバシ鍛えてやって下さいね?』
そうばあやは言い残し最後に、
『長いこと、お世話になりました。私はこれから家でのんびりやって行きますので…』
私に一礼して、部屋を出て行く。
『今まで…ありがとう!…ばあや…』
彼女の背中を丸めた背後姿に、私はお礼の言葉を送った。
後に残された私と、新たな使用人『クリス タカミネ』…。私は彼をキッ‼…と睨む。そこで彼は少し怯み、私に言う。
『……あの……さっきはごめんなさい…とりあえず…何すればいいですか?…オレ』
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