甘く蕩ける程に愛して

みのる

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第三章 揺れるこころ

戻って来ないか…?

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オレが休みな時にオレとかなえは……今更‼オレがどんなに中に入ろうとしても、オレの話を聞く事すら受けつけられなかった懐かし過ぎる佐伯邸あの屋敷に足を踏み入れていた。

行くのを頑なに拒むかなえ。……まぁ、色々とありましたからな……。
でもオレは…かなえとかもめだけでも屋敷に戻る事が出来るのなら、その方が幸せだと考えて…必死にかなえに佐伯邸行きをプッシュした。
かなえは、渋々とオレとの佐伯邸訪問を引き受けた。

その日、オレはばぁさんにかもめを預けてかなえと2人であの門をくぐる。
アレ…?佐伯邸ココにも桜あったんだ…とか、どうでも良い様な事を考えながら嫌な思い出しか残らない玄関に着いた。

そこでは、旦那様がオレ達の来るのを今か今かと待ち構えていた。

『おぉ…待っていたぞ……架苗、栗栖……!』

ご無沙汰な父親との再会にも喜びもしないで、ただ淡々と旦那様に話を急かすかなえ。

※栗栖、1度旦那様が栗栖家を来訪したのを知らない。

『……で、一体何の用ですか?…』

旦那様は応接室のソファーに腰かけると…いきなり要件を切り出した。
『うむ……架苗、栗栖……この屋敷に戻って来ないか?』

オレは目が点になった。
かなえも“今更何なのよ⁉”と言いたげな顔をしている。

更に話を進める旦那様。

『気付いたかどうかは分からないが…実は早苗が急に息を引き取った』

それを耳にしたかなえ。

『お母様が……?』

オレは奥様には……門前払いしか食らわされた記憶しか残ってないので、内心こころで笑っていた。←不謹慎!

『要件しか言わないが早苗は仕事でも良きパートナーだった。今は、早苗の代わりを探している。1人ではどうも仕事がやりづらい。だから、栗栖か架苗、どちらかに私のパートナーとなって欲しい‼』

そこまで旦那様が話を終えると、「失礼します」と懐かしい、あの声が聞こえて来た。
(シュウイチさん…)オレは久しぶりの再会に感動で満ちあふれていた。
シュウイチさんが何を思っていたかは謎だが、オレ達にお茶を置くと、彼はそのままこの場を去っていった。
(くどいようだが、オレにソッチの気は無い)

かなえは、旦那様に…

『……少し…1ヶ月程、考える時間を下さい…』

そう言うと、シュウイチさんの淹れてくれたお茶を飲み、

『栗栖⁉帰りましょう!』

まだお茶も飲めてないオレを引っ張り、オレはかなえに引きずられるようにして家路に着いた。


てか…どうするつもりなんだ?かなえ?(謎)
オレには(間違いなく‼)旦那様のパートナーなんて無理だ。
かもめ1歳3ヶ月を迎えた、ある年の春の話。
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