新☆何でも屋

みのる

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踏んだり蹴ったりな店主中村の1日。

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ある日の朝、奥さんの舞に「たまには散歩にでも行ったら?」と言われたのもあり、店主中村が珍しくトラと子猫達を連れて散歩に近くの公園へ来ていた。

ベンチに座る店主中村の膝の上でとらが丸くなり、子猫達が走り回ったり近所の子供達に捕まって遊ばれてたりしている。
そんな猫達を見てしばらく休憩していた店主中村が、重い腰をあげて独り言をつぶやく。
「さてそろそろ帰るとするかな、あまり遅くなったらまいにまた怒られるからな…」

とらにリードをつけ、キャリー付きに改造したショピングカート【中村1号】へ近くに居た子猫から順番に回収して入れて行く。

さて残るはあの子らに捕まってる2匹か・・・
『君達…子猫を返してくれるかな、お兄さんはそろそろ帰るからさ!』

『え~、もっとあそんでたいのに~!』

『わたちねこちゃんともっとあそぶのー!』

『おじさん、もうすこしいすにすわってたら?』

『俺はおじさんじゃなくてお兄さんな、それにもうそろそろお昼だよ?君らも家に帰ってご飯食べておいで…(ヒクヒクッ)』

『え~つまんない~!』

『おじちゃんのケチ~!』

『しねハゲ!!』

『よし‼最後に言った奴!一歩前にでろ、そんな口の悪い奴には拳骨をしてやる‼』
小さな子供にも容赦しない店主中村が、握り拳を作りハァーっと息を吹きかける。と子供達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

『…たく、子供にいったいどんな教育をしてるんだ?親の顔を見てみたいぜ、ほんとにまったく…』

子猫2匹を回収してキャリーケースの中に入れていると、気の強そうな女性が後ろから話しかけて来た。

『ねえ、ちょっとあなた!!』

『はい、何ですか?』

『いい歳してこんな小さい子供を虐めるっていったいどう言うつもり!?』

『えっ!?いったいどういう・・・ゲッ(このガキちくりやがったな)』

『小さな子に怒鳴ったりして恥ずかしいと思わないの!?

『グッ、そ、それはその子達が猫を返してくれ・・・』
『猫を返してくれないからって怒鳴り付けて良いと思ってるの?』

『す、すみません、以後気を付けます・・・』

『二度とこんな真似しないでね!!親の顔を見てみたいわ!!』
後ろから話しかけられたので振り向くと如何にも………な女性に急に怒鳴り付けられ、何が何やら分からずふと女性の足元を見る。と先程の子供がニヤニヤ笑いながらこちらを見ていた。母親らしき女性に散々文句を言われ最後には自ら吐き出した言葉がそっくりそのまま帰って来た。店主中村はガックリと肩を落としトボトボと帰路に着いた。

『クソ~、何で俺が怒られなきゃならないんだ!?ほんとにまったく……』

『おや何でも屋の店主じゃないか、猫達の散歩かい珍しいね?
そうそうちょうど良かったよ、良い物を見せてあげるよ♡
これを見ておくれ♪』

『誰かと思ったらババァじゃないか、で何を見ろと言うんだ?』
店主中村がぶつぶつと文句を言いながら帰宅途中に、和菓子婆さんの家の近くに差し掛かると、唐突に和菓子婆さんに呼び止められた。

『この写真だけどどうだい?』

『へ~可愛いな、ババァの孫娘か?』

『やだねぇ、若い頃のワシだよ♪』

『えっ!!これがババァの若い頃なのか!?う~ん、この顔がこうなるのか・・・』
和菓子婆さんに若い頃の写真を見せられるが、あまりもの違いに信じられず写真と婆さんの顔を見比べる店主中村。

『そろそろ写真を返しとくれ。』

『あ、あぁ、ほらよ。』

『また夕方頃饅頭を買いに行くから店仕舞いするんじゃないよ!』

『あぁ、わかったからなるべく早めにな?』
呆気に取られてる店主中村から写真を取り返した婆さんは、後で饅頭を買いにいくから店を閉めずに待ってろと言う、何とも厚かましい婆さんだ。

暫く歩いて店の前へと辿り着いた店主中村はとらのリードを外し子猫達を中村1号から下ろしてやる。引き戸を開けてやると店内へと駆け出すトラと子猫達、中村も後に続いて店内へと入り中村1号を収納して奥さんに声をかける。

『まい今帰ったぞ、遅くなって悪かったな。』

『ちょっと!帰って来るの遅いじゃないの!!早く帰って来てって言ったのに今までいったい何をしてたのよ!?』

『そ、それには事情があって、実は・・・』
遅くなった事を詫びる店主中村だったが、かなり御立腹になられてた奥さんの機嫌が直ることも無くとにかく!怒鳴られる。御立腹な奥さんに恐れをなした店主中村は言い訳がましく事情を説明する。

『…ってな理由で散々な目にあったんだ、自分が悪い癖に怒られたからって親にチクリやがって……おかげで俺が母親に怒られてしまったぜ、それにあの母親も自分の子供が悪いのを棚に上げやがって!』

『それじゃあアナタは子供を怒鳴りつけたわけ!?』

『だってしょうがないじゃないないか!?
子猫を返してくれなかったんだもの…』

『別に急がなくても子供達にゆっくり遊ばせてあげたら良かったじゃない!!ほんとにもう!!』

『え~、さっきと言ってる事が違うじゃないか・・・』
悪びれもなく小さな子供や母親に悪態づく店主中村に子供好きの奥さんがキレた。涙目になっている店主中村を残して奥さんはブツブツ言いながら奥の部屋へと入っていった。
『なんでまいにも怒鳴られなければならないんだ・・・』

そうこうしていると和菓子の婆さんが饅頭を買いに来た。
『何でも屋いるかい!?』

『あぁ、店を開けておけって言ったのはババァじゃないか!』

『今日は餅の饅頭をだしとくれ!』

『ほらよ、これで良いか?』

『そうそうこれこれ!!それは良いとして、なんだいやけに元気無いねぇ?なんかあったのかえ?』

『あぁ、まあな……。』

『そうかね、まぁこれでも見て元気だしな。』

『それは何のDVDだ?』

『これはワシが歌っとるやつだよ、さてとワシはそろそろ帰るかねえ。じゃあね何でも屋。』
今日は餅の饅頭が食べたいと言いはる婆さんに大福餅を出すと、大福餅をみた婆さんは歯の抜けた口をニンマリと開きこれこれと満足げに喜ぶが、どこか元気の無い店主中村に気付きこれでも見ろと自分のDVDを渡し家に帰る婆さん、相変わらずがめつい婆さんだ。


取り残された店主中村がDVDを暫く凝視していたが、おもむろにDVDの再生機器を取り出す。そしてDVDをセットし、何かを期待したような表情で再生ボタンを押した……が!直ぐに停止してしまう店主中村。

『うげぇ、何だこれは!!
あのババァ、いい歳してミニスカートなんか履くなよ!気持ち悪りぃな!!』

店主中村が何を怒ってるのかと言うと……画面いっぱいに映し出された婆さんがミニスカートを履き今風のアイドルの衣装を纏い、ダンスを踊りながら歌ってる姿を目の当たりにしたからである。

『クソー、よく考えたら婆さんの若い頃にDVDなんかある訳無かったぜ・・・』

店主中村はそのまま机に突っ伏して夕飯まで動かなくなってしまった。
(お気の毒に……(笑))
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