新☆何でも屋

みのる

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トリック オア トリート!

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ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

    普段は静かな住宅街だが今日は早朝から何でも屋の引き戸を叩く音が響き渡っていた。

『んん~、何の音かしら?』

『ガンガンガン、すみません開けてください!』

『あら?誰か来たのかしら?ふぁ~』

『ンゴゴゴゴゴ~』

『ねぇアナタ、誰か来たみたいよ?』

『ンゴゴゴゴゴ~』

『アナタ起きてよ!』

『ンゴッ!?もうカボチャは食べれ⋯⋯ムニャムニャ⋯⋯』

『何を言ってんのよほんとにもう、起きてってば~!』

『んぁ!?何だよ朝っぱらから⋯⋯まだ7時じゃねぇかよもう少し寝かせてくれよ⋯⋯』

『だから、店に誰か来てるのよ、様子を見てきてよ~』

『嘘だろ!?誰だよこんな朝っぱら来るやつは!?勘弁してくれよ⋯⋯』

    引き戸を叩く音で目を覚ましたまいが中村を起こす。
    半分寝ぼけたままの中村は寝言を言ってるが、まいに身体を揺さぶられて完全に目を覚ます。
    時計を確認すると針は午前7時をさしており、普段ならまだ夢の中の時間である。
 店番中でも暇であればガースカ寝ている癖に、朝もシッカリと睡眠を取りたがるのが中村である。
 万年寝太郎め⋯⋯

『ガンガンガン‼すみません‼』

『ふぁ~、はいはい今行きますよ⋯⋯ほんとにまったく⋯⋯』

 引き戸を叩く音に、急かされる様に店舗へと出てきた中村が、鍵をガチャガチャと開け引き戸を開ける。

『なんだ、誰かと思ったらいつものネェちゃんか。』

『朝早くからすみません、お菓子を仕入れたいのですが⋯⋯』

『仕入れならいつもの時間に来てくれよ、本当ならうちは9時から営業の所を8時30分に仕入れをさせてやってんだからさ⋯⋯
そう言う事だから悪いが出直してくれ。』

『待ってください、それじゃあ間に合わないんです!
いつもよりも量が多く必要なので、いつもの時間だと間に合わなくなってしまうんです⋯⋯』

『んな事俺に言われても知らねぇよ!』

『そこを何とかお願いします、今日はハロウィンですから子供達を喜ばせてあげたいんです!』

『悪いがオレァガキは嫌いなんだ‼じゃあな!』

『そんな酷い、子供達を笑顔にさせてあげたいだけなのに⋯⋯シクシクシク⋯⋯』

 朝早くから店に来たのは、いつもお弁当やら雑貨等を大量に仕入れてくれる、タラコ移動販売のお姉さんだった。
 普段から売り上げの少ない何でも屋にとっては、特上客であり逃がしたくは無い客なのだが、寝たい中村はそんな事お構い無しに追い払おうとする⋯⋯何て奴だ!(激怒)
 お姉さんもハロウィンなので必死に交渉をするが、中村は聞く耳を持たずしまいには子供は嫌いだと言い放つ。
 突き放されるような事を言われ、お姉さんは両手で顔を覆い泣きはじめてしまった。

『ち、ちょっと待ってくれ、何も泣く事無いだろ⋯⋯しょうがねぇな、今日だけだぞ?』

『ありがとうございます♪』

『おいコラちょっと待て‼泣いてたんじゃ無いのかよ!?』

『いいえ、私はお菓子の仕入れが出来ないしどうしようかな~、と思って顔を覆って考えてただけですが⋯⋯』

『あんた良い性格してんな⋯⋯(呆)』

 泣いたと思ったが実は嘘泣きで、中村は良いように出し抜かれてしまった。
嘘泣きをしながらも口元はニヤリと笑っていたとか、いなかったとか⋯⋯
仕方ないので渋々お姉さんを店内に招き入れる。

『で、何が欲しいんだ?』

『ちょっと待ってくださいね、え~とチロリンチョコのブルゥベリィ味、イチゴジャム入り、牛乳味、クッキー入り、塩キャラメル入り、餅入りを各10個

それと、きのみ飴のブドウ味、キョホウ味、マスカット味、イチゴ味、パイン味、メロン味、バナナ味、キウイ味、マンゴー味、リンゴ味、ナシ味、ライチ味、ミカン味、スイカ味、ラムネ味、コーラ味、サイダー味、チョコ味を各10個

後はうまかバットのチーズ味、サラダ味、チョコ味、カレー味、ソース味、焼きそば味、たこ焼味、お好み焼き味、ラーメン味、バーガー味、ピザ味、コーンスープ味、ビーフシチュー味、明太子味、ミートソース味、グラタン味、焼肉味、牛タン味、ステーキ味、牛丼味を各10個お願いします!』

『ちょっと待ってくれ、何だよその馬鹿げた量は⋯⋯
そのメモを貸してくれ、とても覚えきれる量じゃねえよ!』

『だから最初にいつもの時間だと、間に合わないって言ったじゃ無いですか♪
あっ!!それと種類別、味別でケースに入れてくださいね♡』

『はぁ!?ケースに入れろだ?ふざけんなよ⋯⋯』

 膨大な量の駄菓子を注文された挙げ句に、各駄菓子をケースに入れて欲しいと言われうんざりする中村。

『何々、チロリンチョコ全7種が10個に、きのみ飴が、2、4、6、8・・・ゲッ!!18種類も有るのかよ!?
クソッ、きのみ飴18種が10個で、うまかバットが⋯⋯20種類だ!?こんなに種類だすなよ!!ほんとにまったく⋯⋯』

 中村はブツブツ言いながら、注文の品を次々とショーケースの上に並べる。

『ネェちゃん、これからケースに入れるからちょっと待ってくれよ?』

『はい、お願いしますね♡』

『しかし⋯⋯欲しいのが駄菓子ばかりじゃねぇかよ!』

『当たり前じゃないですか、子供が便所ブラシやハタキ欲しがりますか?』

『そういう意味じゃ無くて、安い菓子ばかりじゃねぇかってんだ‼』

『小さな子供が、サンレフトやチョリスみたいな高いお菓子を買えると思ってるんですか?
小さな子供達は駄菓子が手頃なんです。』

『もっともな事だから何も言えねぇ
⋯⋯クソッ、ラチがあかないぜ!
お~いまい、ちょっと手伝ってくれ‼』

『は~い、今行きます!』

 駄菓子をケースに入れながらお姉さんと会話をしていた中村だが、数が多すぎる為にまいに手伝いを頼む。
 2人が駄菓子をケースに入れてる間、暇なお姉さんは店内に展示されてる品を見て回っていた。

『おーい、ネェちゃん終わったぞ!』

『は~い、ありがとうございます♪』

『えーと、1個10円のチロリンチョコ7種が10個ずつで700円
1個10円のきのみ飴18種が10個ずつで1800円
1個10円のうまかバット20種が10個ずつで2000円
合わせて4500円だ‼』

『4500円ですね・・・あっ!!肝心な事忘れてました、コスプレ衣装とカボチャも欲しいです☆』

 漸く会計にまでこぎ着けた中村であったが、お姉さんは肝心な物を買い忘れていたようだ。

『まだ欲しいのかよ、でコスプレは何のコスプレ衣装が欲しいんだ?』

『魔女、ドラキャラ、SNOW GIRL、⋯⋯の4種を5着ずつお願いします。』

『衣装は1着1500円だが良いか?』

『それじゃあ高いですね、もっと値引きしてくれませんか?これだけ沢山買ってるんだし。』

『沢山つってもほぼ全てが10円の駄菓子じゃねぇかよ!!
⋯⋯仕方ねぇな、じゃあ1200円でどうだ?』

『もう一声!』

『持ってけ泥棒1000円でどうだ!!』

『950円でどうですか⁉️』

『990円‼』

『960円‼』

『980円‼』

『よし、買った‼』

『ちっ、シッカリしてるぜ⋯⋯』

 流石の中村も、お姉さんにとことん値切られてしまうのである。(何気に値切り上手な姉さん(笑))

『後はカボチャだな、何個欲しいんだ?』

『リヤカーに乗るだけかな⋯⋯』

『20個程で良いか?』

『ええ、それでお願いします。』

『えーと、コスプレが1着980円で4種類が5着ずつだから⋯⋯
19600円
カボチャが1個千円(超特大)で20個で20000円
駄菓子が4500円で合わせて44100円だ!』

『あら?細かいのが無いわ⋯⋯』

『お釣りも有るぞ?』

『困ったわ細かいのが無いわ⋯⋯(2度目)』

『釣りは有るって言ってるだろ!?』

『細かいのが無いな⋯⋯(目線はサイフの中身。そしてチラリと中村へと向けるのがポイント♡)

『⋯⋯44000円で良いよ⋯⋯(敗北感)』

『細かいのが『わかったよ40000でどうだ?』』

『やったぁ♪また来ますね☆』

『ちっ、現金なやつめ⋯⋯』

 お姉さんは衣装の値段を良いだけ値切った癖に、最後の最後で更に値切って来るのであった。

『あのねぇやんめ、安い駄菓子を多量に買い腐りやがって、売上高をつけるのが大変じゃ無いか‼ほんとにまったく⋯⋯』

 中村はお姉さんが帰った後、売上高をつけながらブツクサと恨み言を言うのであった。
 売上高をつけ終わると・・・まいが再び店舗の方へ出てきた。

『ゲッ‼もう朝の8時30分じゃないか!?後20分だけでも良いから寝よう⋯⋯』

『ねぇアナタ、子供達にあげるお菓子を袋詰めにしましょう♪』

『えっ!?俺はこれから開店時間前まで寝るつもりなんだけど?』

『アナタいつも店番しながら寝てるから別に良いじゃないの‼20個程用意しましょう?』

『俺の睡眠時間が⋯⋯(愕然)』

 中村は寝ようとしたが、まいに子供達に配るお菓子を詰めようと言われ、項垂れるのであった、まる
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