貴方は私の所有物♡

東の都での出逢い

異動になり少ししてホワイトデーがやって来た。
先輩から生まれて初めて貰ったチョコは……固くて食べられなかったけども、その気持ちにはキチンと応じなければ！と思い、僕は少し無理をして地元に戻った。

まさか……「あんな現場」を目の当たりにする事になるなんて……

それからまた東の都に戻った僕は、些か自暴自棄になっていたような気がする。

そんなところに……「佳美よしみ」と出逢ったんだ………


今日の晩メシ………て言っても僕おひとりさま分だけだし、納豆タマゴご飯で良いよね？

そんな事をポケーっと考えながら、何時ものコンビニに買い物に出かける。

♪ちゃらりらりら～ん♪
♪ちゃりらりら～ん♪♪
耳慣れた音楽と共に、

『いらっしゃいませー！』

耳慣れない、女の子の声。

新人さんかなぁ？

そんな事を考えながら僕は、タマゴとレンチンごはん、それに納豆を手に持つとレジに向かった。

『これお願いします』

僕が言い、商品をカウンターに置くと女の子はニコッと微笑って言う。

『どうもありがとうございます。……失礼ですけれども……、本日の晩ごはんでしょうか？』

僕は少し返事に詰まる。……まるで、「男のひとり暮らし」みたいな品物だったしね。(滝汗)

『え、えぇ………と、ところで…君は新人さん？初めて見る顔だけど？』

慌てて僕はそんな事を彼女に聞いていた。
彼女は笑顔のまま、答える。

『ハイ♪今日、入ったばかりなんですのよ？』

てか……今時、やけに丁寧な言葉遣いだな……。

そして彼女は僕に言う。

『例えひとり暮らしでも……ご自分のお身体をキチンと労わって差し上げて下さいね？……543円になります』

僕はこの東の都で……初めて僕の事を心配してくれる、そんな女の子に出逢った。

………そんなん、こういう状況に弱い僕が彼女に惚れずに居られると思う？(自慢げ)


それから僕は1週間このコンビニに毎日通い詰めて彼女に逢い、勇気を振り絞って彼女に告白し…即、OKを貰った。
彼女も僕の事が気になっていたらしい。
こんな風に少し大胆になれたのも……今思えば日向先輩のお陰かもしれない。

……先輩に……感謝をしないとかな……？

”忘れないでね、貴方は私の所有物なんだから“
先輩の言葉が今更、頭を駆け巡る。

ジブンハ、チガウオトコニダカレテイタクセニ……


『あッ‼……いたい……ッ！』

僕は気がつけば、「コト」の最中…佳美の背中に爪を立てていた。
慌てて僕は佳美に謝る。

「ごめんね……？」

軽く、頬に口付ける。

「………何か……考え事、してるの？」

心配そうな、佳美の顔。僕の目をじっと見つめてくる。

「…うぅん、何でもないよ」

僕は佳美に心配させまいと微笑ってみせる。


“シアワセナハズナノニ……ナゼカココロガイタイ……”