悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第2章 何故、わたくしを!?

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「ポピーお嬢様、エリオット王子様とジャック様がお越しになられてますよ」

「もう、お嬢様ってヤメてよ、エミリー」

「いえいえ、今や立派なお嬢様ではないですか! うふふ。それにしても、そのドレスお似合いです。とっても美しいですわ!」

 あの卒業パーティーから数日が経ち、わたくしは公爵家のお屋敷に居ました。小山の掘建て小屋ではありません。ゴージャスな飾り物がいっぱいの素敵なお部屋で、煌びやかなドレスを身にまとい、ヘアーメイクを完璧に終え、これからフィアンセとお茶を共にするのです。

「ねえ、シェリーは?」

「あ、シェリー様は今日も孤児院へご奉仕にお出掛けです」

「そう。三日坊主かと思ったけど、意外と続けてるのね」

 あれから馬鹿女はを誓い、これまでの行いを悔い改める意味で、毎日のように孤児院へ働きに出掛けていた。

 それにしても…アイツの使用人として散々コキ使われてきたのに今では一応姉妹だ。事情をよく知らない方々からはなどと言われ、正直気持ち悪い。まあ、わたくしが姉になったから我慢してるけどね。それに一緒に住むのは残り僅かだろう。いずれ皇族のお城へ移り住む事になっている。

 …でも、でも、踏ん切りがつかないよ。強制的に決められた婚約だ。わたくしは王子様に憧れてはいたけど彼の本当の気持ちが分からない。何故、自分なのか? その答えが知りたいーー。

「王子様、お兄様、ご機嫌ようでございますわ」

「やあ、ポピー。元気そうだね」

「そのドレスも素敵だな。とても似合ってるよ」

「ありがとう、お兄様」

 わたくしたちは美しい庭園を眺めながら、芳醇な香り高いお紅茶を味わい、至福のひと時を過ごす。

「うん、良い香りだ」

「ああ、深いコクだな。美味しいかい、ポピー?」

「…え、ええ」

 いえいえ、味わってなんかいられない。なに、その何事も無かったかの様な雰囲気は? わたくしは色々確認したい事が山盛りなのです。このまま優雅に世間話などしちゃおれんわ! …よしっ、確かめてやる。

「あの、ご質問宜しいでしょうか?」

「どうした?」

「先ずはお兄様。…いつからわたくしがだとお分かりになられたのですか?」

「その事か。つい最近知ったんだ」

「さ、最近ですって? 何故お知りに?」

「うむ、実は…エミリーから聞いたのさ。君の苦悩を見てられないって」

「あ…。そうか。エミリーが居たわね…」

「それを聞いて王子に進言したんだ。これを婚約破棄の切り札にしようってね」

「なるほどです。エミリーに御礼を言うべきですね」

 つか、それまで全然お気づきになられてなかったのですね⁈ 散々ワンツーマンでダンスをご教示されておきながら。…ま、まいっか。取り敢えず分かった。よしっ、次!

「では、王子様にお伺い致します。何故、わたくしをフィアンセに⁈ これは迷宮的な謎でございます!」

「うん、ポピーが疑問に思うのは当然だ。今日はその話をしようと思ってたんだ」

「何と! 是非、お聞かせください!」

 これで全ての謎が解けそうな気がする。わたくしはお紅茶など忘れて、思わず前のめりになってしまった。


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