悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第2章 何故、わたくしを!?

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「警告その壱、発動!!」

 ミーアが一人で居る時を狙って女生徒らが一斉に冷たい視線を浴びせる。「えっ?」と慌てて、ただならぬ異変に驚きキョロキョロするが、何処を向いても彼女は睨まれていた。

「さぞかしビビったでしょうねー、シェリー様」

「ふふふ。何故威圧されてるのか、おわかりかしら?」

 だけど…、

 お昼休憩に、またしても王子様を追いかけて離れようとしなかった。

「あの娘って鈍感なのでしょうか?」

「まあ、馬鹿女って事だわ。暫く続けましょう」

 だけど…、来る日も来る日も彼女の行動は変わらない。

「ふふん。久々に骨のある娘に会ったわ。それこそ懲らしめがいがあると言うものよ」

 最近のお茶会は妙に盛り上がっていた。取り巻きの中には過激なを提案するものも居たが、わたくしは「その弐」を指示した。

「警告その弐、発動!!」

 ミーアを徹底して無視する。院の女生徒半数くらいだから相当、精神的に苦痛だと思う。でも馬鹿女は何も気にする事もなく、いつも王子様の後ろを歩いていた。流石に腹が立って来た。

「警告その参、発動!!」

 わたくしの懲らしめは過激さを増した。トイレの個室に入った彼女に上から水をかける。そして閉じ込めて、取り巻きが最終警告を宣言したのだ。

「これ以上、王子様に纏わり付くともっと酷い目に遭うわよ」

 ここまでやるつもりは無かったけど、これで彼女も諦めると思っていた。

 でも馬鹿女は諦めなかった。わたくしも婚約者としてのメンツがある。取り巻きも興奮して先走った虐めを行う様になっていく。下駄箱にゴミを入れたり、靴を捨てたり、教科書を隠したり…。それを容認していたのだ。

 でも何をやっても王子様の側から離れ様としない彼女を不審に思ってエミリーに調べて貰った。

「シェリー様、特待生ミーアですが、何の特技があって編入されたのか不明なのです」

「そんな事ってあるの?」

「普通は何か秀でた才能がないと編入出来ない筈。ただ、分かった事が一つあります」

「なに?」

「どうやら皇室の推薦の様です。詳細は御主人様理事長でないと分かりません」

「…お父様には聞きづらいわねー。うっかり影武者の事、口滑らすってお母様も警戒してるしね。それに皇室が絡んでるとしたら自粛した方がいいよね?」

「うーん、まあ謎の編入生ですからね。でも王子様がご迷惑なさってるのなら、婚約者として懲らしめるのは当然だと思いますけど」

「そう…ね」

 本当に王子様はお困りなの? 前からちょっと不思議に思ってたけど。それが分からない内はやっぱり過激な行動は控えた方が良いんじゃない?

 わたくしは取り巻きにを一旦凍結させて様子を見る事にした。皇室だから王子様と何かご関係があるかもしれないし、最終的にはお父様に聞くしかない。そのタイミングを見計らっていたのだ。

 でも状況はあまり変わらず彼女は王子様に纏わり付いていた。それどころか王子様は嫌がってる素振りを見せない。

 更に、更にだ。王子様はわたくしとすれ違っても会釈をされなくなった。完全に無視されてる。わたくしはココロのバランスを保つ事が困難に感じ始めた。

 自然とお酒の量が増えていき、朝起きれない。そんな自堕落な日々を過ごす様になっていった。

 






















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