悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第2章 何故、わたくしを!?

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 お屋敷のマッサージルームでポピーからパーティーのエスコートについて、王子様のご回答を聞かされた。結果は知っている。それとわたくしのクレームの件も全部お父様に聞いている。だから興味の無い素振りを見せた。

「ふぁぁぁぁああああ…!」

 ワインを飲みながら態と話を逸らす。

「ミーアって女。アレ、実は平民なのよ。ふふふ、知ってた?」

「いえ、知りませんでした」

 既に彼女への嫌がらせはしてないけど、ポピーには虚勢を張りたくなる。ミーアは皇室の推薦で編入した言わば「王子の愛人」だった事実。でも平民だから相手にする価値もない存在なのだと。

「だからなに?」って感じでポピーは責める様な口ぶりだった。確かにそう。これまでの行動が帳消しになる訳がない。わたくしは「王子様に嫌われる」と言う大きな代償を払ったのだ。それは後悔しかない。

 でもこれ以上、自分を責める気力も無かった。辛うじてのココロの支えは「それでも王子様と結婚出来る」事のみ。これが最後の砦だ。この砦を守る為なら何でもする覚悟だった。

 愛が憎しみに変わる様なだけは避けなければならない。わたくしは秘策を考えた。


 ***


 卒業パーティーのリハーサルが終わり、秘密のお部屋でポピーと打ち合わせを行う。作戦を伝える必要があるのだ。

「あのねポピー、卒業式はいいけど

「はい??? じ、じゃ、お給仕はどうするのですか?」

「わたくしがアンタに変身しよっかなー、うふふ」

 作戦はこうだ。パーティーは影武者を立てて、わたくしがポピーのふりしてお給仕をする。

 実はお父様から王子様が入場のエスコートをしない代わりに、我が兄からのエスコートを提案されたのだ。パーティーではダンスもあり、それも王子様からエスコートされない可能性がある。だからダンスも兄にお願いする。兄とポピーのペアーは全国大会で優勝したくらい有名だから、パーティーを盛り上げるのは間違いない。

 それと…最も大事な事がある。

「シェリー様、ご質問宜しいでしょうか?」

「んー、なに?」

「もし、もしもですよ? パーティー会場でを宣言されたらどう受け答えるのですか?」

 その質問待ってました。流石はポピーね。

「まあ、その時は王子を論破しなさい」

「ど、どう言って?」

「陛下もお父様も婚約破棄などお認めにならなくてよ? って言えば済むわ」

「あの、御主人様とお話されたのですか?」

「そう、アンタがねー、お父様がどうとか言ってたじゃない。だから王子の事、お話したのよ。そしたらね、確かに王子から色々言われたらしいの。でもね、だからなに? なんですかー? まさかそんな事で婚約破棄なんてお考えになられてないでしょうなーって感じで軽くあしらったって!」

「そう…ですか」

「うん。だからお父様が黙っちゃいない。心配いらないわ。あ、それとね、エスコートの件だけど入場もダンスも我が兄ジャックにお願いしたからポツーンと寂しい事にはならなくてよ」

「お、お兄様に⁈ ああ、何とジャック様がわたくしをエスコートなさるの? では勿論ダンスも?」

「そうよ。いいこと? プロ並みのダンスを存分に披露しなさい。仮に王子がミーアと踊ろうが、ぷっ、ぷぷぷぷ…そんなのアータ、吹っ飛ぶくらいの注目の的になるわよ。ざまぁだわ、女々しい王子め! つまらん告げ口した罰を受けるがよいわ! おーっほほほほ!」  

 わたくしは万が一、王子様が婚約破棄を宣言されても、対抗出来る策を練っていた。ポピーが反論してお父様がとどめを刺す。

 その顛末を見届ける為に、ポピーの代わりをしてでもその場に居たい。ダンスも論破も出来ない自分が情けないと思うけどこれしかないの。


 ーーそして明日、卒業式を迎える。
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