学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~

トベ・イツキ

文字の大きさ
54 / 223
第4部 カント決戦編

第51話 再編!リュービ軍!

しおりを挟む
 北校舎・会議室(エンショウ本拠地)~

 薄紫の長い髪の女生徒・エンショウにとって、部下・ガンリョウの敗北は不愉快な報告であった。

 そして、もう一つ彼女にとって不愉快な報告があった。その不愉快は結果として俺に向けられることになった。

「ガンリョウは倒されたそうね。それもあなたの妹に。

 これはどういうことかしら、リュービ?」

 ガンリョウを倒したソウソウ軍の指揮官は俺の義妹・カンウであった。当然、俺への追及が行われた。

「文芸部での敗北以来、カンウとは連絡がつかず、まさかこのような形で再会するとは自分自身が一番驚いております」

 カンウがソウソウ陣営にいたことは、俺が一番驚いている。俺からエンショウに説明できることは何もなかった。

 そこに茶髪に金のネックレスをつけた男子生徒・カクトが口を挟む。

「白々しい。君が昔からソウソウと懇意なのは皆知っている。やはり裏でソウソウと繋がっているんじゃないか?

 エンショウ様、ガンリョウの仇としてリュービを処分しましょう」

 しかし、カクトの意見に、尻尾を垂らした毛皮の丸い帽子をかぶった、赤髪の男子生徒が反論する。

 彼は確か…

「お待ちください!第二渡り廊下を制圧したのはリュービの功績です。

 彼が裏切り者ならソウソウと合流し、一気にこの本陣に攻めてきたはずです」

 その意見に対し、カクトも反論する。

「ケンショウ、それは間違っている。あれは我らが赴いたからソウソウが逃げたに過ぎない!リュービ一人の功績ではない!」

「しかし、リュービは混乱するガンリョウ軍を建て直し、第二渡り廊下を取り戻すという手柄まで上げました。

 今、ガンリョウを失った穴を埋める指揮官は彼以外おりません」

 毛皮帽子の男子生徒・ケンショウの意見に、エンショウはうなづいた。

「いいでしょう。リュービ、あなたの功績を認め、約束通りコウソンサンを与えます」

「ありがとうございます」

 俺はエンショウに深く頭を下げた。

 危ないところだった。彼が助けてくれなければ、処分されても不思議ではなかった。

 エンショウは続けて、俺に命じた。

「それとあなたを指揮官に任じます。ガンリョウ軍は引き続きあなたが指揮をしなさい」

 俺の指揮官昇格に、またもカクトが口を挟んだ。

「エンショウ様、こんな余所者に一軍を任せるなんて」

「カクト、黙りなさい。しかし、リュービ、あなたの疑いが晴れたわけではありません。出陣時はコウソンサンやビジクは人質として残しなさい」

「わかりました…」

 エンショウに釘を刺された。コウソンサン先輩を取り戻せたが、結果的に俺は人質を取られた形となった。

 会議が終わり、俺が部屋を退出すると、メイド姿のコウソンサン先輩が待っていた。


「ありがとうリュービ!おかげで解放されたよ」

「いや、俺が許されたのもケンショウのおかげだよ。

 助かったよケンショウ」

 俺は同じく退出した、毛皮帽子の男子生徒・ケンショウに改めて礼を言った。

「いやぁ、昔馴染みの縁さ。リュービ、こうして君と会うのは小学生以来だね」

「ああ、君がエンショウ軍にいるなんて思わなかったよ」

 俺は久しぶりに再会した友人のケンショウと固く握手した。

「二人は知り合いなのかい?」

 コウソンサン先輩が俺に質問してくる。

「先輩、彼は牽牛招太けんぎゅう・しょうた、小学生の頃よく遊んでいた友人です。

 中学では別々になったけど、まさか高校で、それもエンショウ軍で再会するとは思わなかったよ」

「今はケンショウと呼ばれています。よろしくお願いします」

 俺とコウソンサン先輩とは中学で知り合ったから、彼を知らないのも無理はない。

「入ってた部活がエンショウ軍に吸収されてね。今はここでお世話になっている。

 俺はリュービの活躍は聞いてたけど、ここじゃ迂闊うかつな事は言えないから、友人ということは黙って陰ながら応援してたよ」

「でも君のおかげで首の皮一枚繋がったよ、ありがとう」

「俺は、ここではまだまだ下っぱだからあまり力にはなれないけれど、出来る限りの協力はするよ」

「ありがとう、ケンショウ。恩に着るよ」

 俺はケンショウと別れ、コウソンサン先輩の案内で別室に通された。

「さぁ、リュービも戦闘で疲れただろう。こちらの教室を我々で使っていいそうだ。ここで休むといいさ」

「ありがとうございます、先輩」

「待ってたよ、リュービ・コウソンサン」

 俺たちを出迎えてくれたのは、野球帽をかぶった、長い眉に、大きな瞳の美少女。


「君は…確かチョーウン。君もエンショウに捕まってたのか?」

 彼女、チョーウンは、かつてエンショウとコウソンサン先輩が戦った時に、助けに入ってくれた娘だ(※第18・19話参照)。あの時は学ラン姿だったが、ジャージの上着にスパッツ姿に変わっている。

「ボクは違うよ。コウソンサンが負けた日、姉が入院したって聞いてね、たまたま実家に帰って留守だったから無事だったよ」

「チョーウンはあの時不在だったのを悔やんで、今も不自由な私を度々助けてくれてたのさ。私に構わずまた活躍して欲しいんだけども」

 チョーウンはカンウ・チョーヒにも引けを取らない戦闘力の持ち主だった。そんな彼女がここに止まっているのを、先輩はよく思ってないようだ。

 チョーウンは申し訳なさそうな顔で答える。

「姉も結局大したことなかったし、あの時離れなければまた事態は変わってたかも知れないし…」

 チョーウンには後悔からの行動であろうが、コウソンサン先輩にとってこのままにしておくのは気が引けるようだった。

「うーん、そうだ!

 もし君がまだ私に情を感じるなら、リュービに仕えないか?ちょうど私もリュービのものになったし」

 「先輩、別に俺はあなたを自由にしようとしただけで、自分のものにしようなんて…」

「わかった。ならボクもリュービに仕えるよ。エンショウにもソウソウにも仕えたいと思わなかったし。

 よろしくね、リュービ」

 チョーウンは俺の肩に手を置くと、俺の頬に口元を近づけてきて…

 チュッ

「チョ、チョーウン!」

「ふふ、ボクなりの主従の誓いさ。

 よろしくね、新しいご主人様」

「と、とりあえず、チョーウン。君は我が軍の武将として活躍して欲しい。

 では、先輩もうちの武将ということでは… 」

 俺はチョーウンの活躍は見てるし、コウソンサン先輩も長らく指揮官として戦っていた人だ。二人がうちの武将となって一軍を率いてくれれば心強い。

 チョーウンはこの提案を了承してくれたが、コウソンサン先輩は首を縦にはふらなかった。

「人質の私はここから動けないからね、武将として戦うのは無理さ。

 それに敗れてわかった。私は人の上に立つべきじゃない。私は感情の赴くまま戦禍を広げ、多くの人を巻き込んでしまった。もう将として戦う気はないよ…

 リュービ、対して君は立派に成長していた。もう姉だとか先輩だとか思って気を使わなくていいよ…」

 コウソンサン先輩は少し寂しそうにそう答えた。

「そんな…俺だってまだまだ…今回も結局、自分の感情で周りを振り回してしまいましたし…」

 カンウはソウソウ軍に加わり、チョーヒは未だ音信不通、それもこれも原因は俺にある。

「とにかく、私はもう人を率いる気はないのさ。

 だから、今日から私はリュービの愛人になるよ」

「はい…?」

「愛人が嫌なら性奴隷でもなんでも好きに呼んで欲しい。さぁ、私の体を好きにしてくれ。リュービの成長を体に教えてくれ」

 先輩は胸元のボタンを外しながらに俺に迫ってきた。

「ちょ、ちょっと、落ち着いてください、先輩!」

「私の事は先輩って呼ばなくていいよ。コウソンサンとか下の名で珊瑚とかハニーとか好きに呼んでくれ。後、敬語もいいよ」

「ま、待って、チョーウンもいるし!」

「チョーウン、見てる?それとも一緒にヤる?」

「先輩、その選択肢はおかしい」

「とりあえず見てるよ」

「いや、チョーウン、その選択もおかしい」

 先輩は胸元を開き、その胸があらわになった。ソウソウも結構あったけど、先輩はかなりでかいな…

「どうだいリュービ、大きさならカンウにも負けないと思うんだけど」

 確かにこれはカンウ並み…いや、仮にも義妹の胸を想像するなんて…

「リュービ…女の子の胸見て反応がいまいちだね…

 もしかして初めてじゃないのかい?」

「え、いや、その…」

「相手は誰だい?カンウか!チョーヒか!

 あんまりだよ、うぶなリュービの手解きをするのが私の夢だったのにさ」

「落ち着いてください先輩!てか、そんなことで泣かないでくださいよ。

 驚いて言葉が出かなかっただけです」

「私、聞いちゃったんです」

「うわ、ビジク、なんでここに」

 気づけば側にくせっ毛の女生徒・ビジクがチョーウンの横に立っていた。

「せっかくだから連れてきたよ」

「チョーウン!」

「私聞いちゃったんです…文芸部でカンウさんとチョーヒさんがリュービさんに、その…抱いて欲しいとかなんとか言ってるのを…」

 確かにそんな話をしたような…あれを聞かれていたのか…

「違うんだ、ビジク、あれはそういう意味じゃなくて…いやそういう意味か…いや誤解で…」

 意味は間違ってないんだが、そうじゃなくて…ダメだ、しどろもどろで上手く言えない。

「そう…やっぱり二人は…いや三人はそういう仲だったんだね。それでリュービは遠慮して」

「いやだから違いますって先輩」

「隠さなくてもいいよ。普通に考えたら血縁でもないのに、高校生の男女が兄妹の契りなんておかしいものね」

「いや、先輩がそれ言いますか」

「でも、今は三人離れ離れ…色々溜まってるだろ?いいんだよ、私に甘えてくれて…」

「先輩、落ち着いて…」

「やはり男の人って溜まるんですか…その…色々と。あ、あの私も手伝いましょうか…」

「ビジクも落ち着いて…」

「ボクも体を提供した方がいいのかな?」

「チョーウンも加わらなくていいから」

 今度はコウソンサン先輩が顔を赤らめながら、口を開く。

「その、リュービ…君はカンウ・チョーヒと散々ちちくりあったかもしれないけど…その…私は…実は初めてなんだ…だから…その…優しくしてね」

「待って先輩!服を脱がそうとしないで!」

「リュービ、一つお願いいいかな?」

「…なんですか、先輩」

「その…ゴムして欲しいな」

「待って先輩!脱ぐの早い!」



「リュービ…少し見ない間に立派になって…」

「先輩、意味深なこと言って終わらないでくださいよ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...