貴方に幸福を

真友

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お米の洗い方

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「あ、おかえり~無事に終わったみたいだね」
「まぁ……なんとか」
「で?どうだった?初ワンオペの感想は?」
「ギャンブルには気をつけようって思った」
「は?ギャンブル?」

 思ってた答えと違う、何言ってんだお前とでも言いたげな表情を浮かべるクニハルを見て少しイラついた。

「そっちは?急用って一体なんだったの?」
「あぁ、それ嘘だよ」
「はっ?嘘?」

 思わず間抜けな声が出てしまった。嘘?嘘って言った?

「えっと……急用だったんだよね?」
「だから~嘘だって。無いよそんなの」
「じ、じゃあ何か別の予定が……?」
「何にもないよ!遠くから君の出勤を見届けてからすぐに家に戻ったからね!」

 ふーん……と、言う事は?特に何の予定も無く?俺一人に仕事を押し付けて?自分は家でのんびりしていたと……ふむふむ、なるほど納得……

「する訳ねーだろ!?何なんだよお前はぁ!」
「うわっ!ビックリした……」
「ビックリした……じゃなくて!どう言う事だよ!」
「いや~!ごめんごめん!一人で仕事する事に慣れてほしくてさ?ほら、僕も毎回一緒に行ける訳じゃ無いし!いざという時の為にさ!」

 全然悪びれた様子の無いクニハルを見てると、なんだかイラつく事自体が馬鹿らしくなってきた。ハァ、と一つ溜め息を吐くと、それまで感じていた怒りの感情もまとめて放出された。

「全く……でかい声出したら腹減ってきた……」
「うんうん、そうなるだろうと思ってご飯を用意しておいたよ!」
「えっ?マジで?」

 思えば、晩ご飯がまだ済んでいなかった。クニハルが用意したご飯は、茶碗一杯の米、味噌汁に焼き魚と言う質素な朝食のような物だったが、今の俺には凄くありがたかった。

「じゃあ……ありがとう、いただきます」
「はいはいどうぞ~」

 まず、米を一口食べた。塩でも振ったのだろうか。いつもより塩っけが強くて美味しかった。次々に米を口の中に放り込む俺を見て、クニハルが嬉しそうに言った。

「いや~そんなに美味しそうに食べてくれると作った甲斐があるよ!米とか頑張って洗ったんだよ!」
「なんだ、洗ってくれたの?これ無洗米だから洗わなくて良かったのに」
「え?そーなの?でもいっぱい泡立てた方が美味しいかなって思ってさ」
「ん?泡立てる?」

 俺は動きをピタッと止めた。そして考えた。米を洗う時に泡立つ事なんてあるか?

「そうだよ~ちゃんと洗剤使って洗ったからね!ちょうど洗濯一回分残ってて良かったよ!」

 ……は?洗剤?洗剤ってあの洗剤?服とか洗う時に使うアレの事?次の瞬間、俺は猛烈な腹痛に襲われた。

「ゔっ!ゔぅ……」
「えっ、蜂谷君!?どうした!?」

 薄れゆく意識の中で、クニハルが必死に俺を呼ぶ声が聞こえた。

 
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