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擦り傷でも
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「で、それがこうなって……これがこうなるんですね~」
「んむ……ね、眠い……」
大学の講義中。映画館の様に大きな教室の中で、俺は一つ大きなあくびをした。利き手である右手でシャーペンをクルクル回す事で、どうにかして眠気を誤魔化そうとするも、それは全く効果を示さなかった。
むしろ回せば回すほどその回転率は落ちていき、今にも眠りに落ちてしまいそうだ。
「ゔぅ……全部アイツのせいだ……」
アイツとは勿論クニハルの事だ。クニハルの洗剤入り白米を食べた事で、謎の腹痛に夜通し悩まされ続けた俺は、圧倒的な睡眠不足だった。
そんな俺にとって、一時間半にも及ぶ退屈な講義は苦痛そのものでしか無い。こっそり眠ってしまおうかと思ったが、今日に限って最前列の席に座ってしまった事が運の尽きだった。(もし寝たら一瞬でバレる)
「げっ、まだ二十分しか経ってねえのかよ!」
「悪かったな、二十分しか経ってなくて」
「えっ!?あっ、いやっその……」
しまった、声が大き過ぎた!眠気によって思考が鈍っていたのか、思いもかけず大声で叫んでしまった。少しの間、教室はシーンと静まり返り、やがてクスクスと嘲る様な笑い声が聞こえてきた。
やめてくれ、俺をそんな目で見ないでくれ!
「居たくないなら居なくて構わん。やる気がないなら帰りなさい」
「はい……」
出た、そのセリフ。本当に帰ったら『やる気がないのか』と怒られ、帰らなかったら『早く帰れ』と怒られる。どっちを選択しても結局怒られるという逃げ道の無い、地獄の様なセリフ。小学生の頃は、この理不尽な言葉によく泣かされたものだ。
そして涙を流したまま家に帰ると、今度は親に怒られたっけ。『男の子がそんな簡単に泣くんじゃない!』とか言われて。
『社会に出たらもっと辛い事が沢山ある』『死ぬ事以外は擦り傷だと思いなさい』そんな言葉が聞きたい訳じゃないから、俺の涙は中々止まらなかったのをよく覚えている。擦り傷だって痛いんだよって言えれば良かったのにな。
「なにをしている?早く帰りなさい」
「え?あぁ、ええっと……」
って、今そんな事どうでもいい!それより、この面倒な状況を打破する解決策を見つけるのが先だ!
「ほら、早く帰りなさい。君のせいで講義を進める事が出来ませんので」
「……っ!」
うわ!ムカつく!小学生か!?良い歳したおっさんがよう!焼け野原みたいな髪型して!焚き火でも焚いたのか?頭でキャンプファイアーでもやったのか!?
「はい、もう二分が経過しました。貴重な時間をどうしてくれるんですか?」
知らんわい!こっちに聞くな!ああ、もう!どうすればいいんだ!?
「帰るまで数えます。い~ち、に~い、さ~ん……」
「うわあああああ!うるせえええええ!」
あまりのしつこさに、先程の倍……いや三倍の大声をあげた俺は、この後校長直々に叱られてしまった。
「んむ……ね、眠い……」
大学の講義中。映画館の様に大きな教室の中で、俺は一つ大きなあくびをした。利き手である右手でシャーペンをクルクル回す事で、どうにかして眠気を誤魔化そうとするも、それは全く効果を示さなかった。
むしろ回せば回すほどその回転率は落ちていき、今にも眠りに落ちてしまいそうだ。
「ゔぅ……全部アイツのせいだ……」
アイツとは勿論クニハルの事だ。クニハルの洗剤入り白米を食べた事で、謎の腹痛に夜通し悩まされ続けた俺は、圧倒的な睡眠不足だった。
そんな俺にとって、一時間半にも及ぶ退屈な講義は苦痛そのものでしか無い。こっそり眠ってしまおうかと思ったが、今日に限って最前列の席に座ってしまった事が運の尽きだった。(もし寝たら一瞬でバレる)
「げっ、まだ二十分しか経ってねえのかよ!」
「悪かったな、二十分しか経ってなくて」
「えっ!?あっ、いやっその……」
しまった、声が大き過ぎた!眠気によって思考が鈍っていたのか、思いもかけず大声で叫んでしまった。少しの間、教室はシーンと静まり返り、やがてクスクスと嘲る様な笑い声が聞こえてきた。
やめてくれ、俺をそんな目で見ないでくれ!
「居たくないなら居なくて構わん。やる気がないなら帰りなさい」
「はい……」
出た、そのセリフ。本当に帰ったら『やる気がないのか』と怒られ、帰らなかったら『早く帰れ』と怒られる。どっちを選択しても結局怒られるという逃げ道の無い、地獄の様なセリフ。小学生の頃は、この理不尽な言葉によく泣かされたものだ。
そして涙を流したまま家に帰ると、今度は親に怒られたっけ。『男の子がそんな簡単に泣くんじゃない!』とか言われて。
『社会に出たらもっと辛い事が沢山ある』『死ぬ事以外は擦り傷だと思いなさい』そんな言葉が聞きたい訳じゃないから、俺の涙は中々止まらなかったのをよく覚えている。擦り傷だって痛いんだよって言えれば良かったのにな。
「なにをしている?早く帰りなさい」
「え?あぁ、ええっと……」
って、今そんな事どうでもいい!それより、この面倒な状況を打破する解決策を見つけるのが先だ!
「ほら、早く帰りなさい。君のせいで講義を進める事が出来ませんので」
「……っ!」
うわ!ムカつく!小学生か!?良い歳したおっさんがよう!焼け野原みたいな髪型して!焚き火でも焚いたのか?頭でキャンプファイアーでもやったのか!?
「はい、もう二分が経過しました。貴重な時間をどうしてくれるんですか?」
知らんわい!こっちに聞くな!ああ、もう!どうすればいいんだ!?
「帰るまで数えます。い~ち、に~い、さ~ん……」
「うわあああああ!うるせえええええ!」
あまりのしつこさに、先程の倍……いや三倍の大声をあげた俺は、この後校長直々に叱られてしまった。
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