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連鎖
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「ん……?ここは……?」
気がつくと、俺は一人、見知らぬ場所に横たわっていた。
鉛の様な体を起こして辺りを見渡すと、ここがどこかの住宅街である事が分かる。既に日は沈み、周りに電気も無かった為、不気味な程に薄暗かった。
特に人がいる様な気配も無く、シーンと静まり返った空間に突然、突き刺す様な怒鳴り声が響き渡った。
「待てやコラァ!逃さねえぞオラァ!」
予想外の大声に驚き、俺は思わず物陰に身を潜めた。しばらくして、恐る恐る声の聞こえた方へ近づいていくと、そこには二人の男がいた。
一人は、グラサンに金髪、おまけにリーゼントヘアという、まるで何かの極道映画に出て来てもおかしくない様な、派手な見た目をしていた。いかにも、ヤクザという言葉が似合いそうだ。
もう一人の方は……サラリーマンだろうか。スーツに身を包んだその人は、さほど背も高く無く、特にこれと言った特徴は見当たらない。まさに、普通といった感じだ。正直ビックリするくらい地味に思える。
腹立てた様子を見せるヤクザが、そんな地味男の胸ぐらを掴み上げた。
「ったく、手間かけさせやがって……とっとと金払えやコラァ!」
「冗談じゃねえ……!なんでだよ……!なんで……!」
「うるせえ!テメェは負けたんだよ!」
スパァン、と乾いた音が響く。同時に、サラリーマンの右頬が赤く腫れた。
「借金でも何でも絶対に払ってもらうからな……!何年掛かっても絶対にな!」
「ハァ……!クソッ!どうして俺がこんな目に……!」
「恨むなら賭け事をした自分を恨むんだな、自業自得ってヤツだぜ」
「違う……全部、全部アイツのせいだ……!」
ギリギリと激しい歯ぎしりの後、サラリーマンは涙混じりに叫んだ。
「大川……秀樹ィ!許さない……!お前のせいなんだ……!お前の……!」
一瞬、俺の思考が止まった。大川秀樹?聞いたことのある名前で、思い出すのに時間は掛からなかった。俺が幸せにした人物の名前だ。
確かその人は、ギャンブルが原因で借金を抱えたまま、家と財産を失ったとんでもない人間だった事を覚えている。
この人は大川と知り合いだったのか?
「ふん、負けたのを人のせいにするなんてな。悪いのは自分だぜ?あの日、大川と勝負して負けたお前が悪いんだ」
「クッ……!何でアイツに……!」
あの日、大川と勝負した?勝負、と言うのは間違いなくギャンブルの事。この男は、大川にギャンブルで大敗した。その分を取り返そうとして、ヤクザと勝負してまた負けた。そう言う事だろう。
ここまで考えると、俺は血の気が引いた。全然考えてなかったのだ。後の事なんて何一つとして考えていなかった。
あの日、絶望する大川をギャンブルで勝たせたのは俺だ。幸せにする為に勝たせた。だが負けた相手はどうなる?俺が関わらなければ負けなかったかもしれない。そもそも、勝負自体起こらなかっただろう。
俺が余計な事をしたばかりに、関係ない人に不幸を押し付けてしまった。
俺は心が酷く痛んだ。
「今度お前の家に取り立てに行くからな。払えませんは通じねーぞ」
それだけ冷たく言い残すと、ヤクザは不機嫌そうに去っていった。
気がつくと、俺は一人、見知らぬ場所に横たわっていた。
鉛の様な体を起こして辺りを見渡すと、ここがどこかの住宅街である事が分かる。既に日は沈み、周りに電気も無かった為、不気味な程に薄暗かった。
特に人がいる様な気配も無く、シーンと静まり返った空間に突然、突き刺す様な怒鳴り声が響き渡った。
「待てやコラァ!逃さねえぞオラァ!」
予想外の大声に驚き、俺は思わず物陰に身を潜めた。しばらくして、恐る恐る声の聞こえた方へ近づいていくと、そこには二人の男がいた。
一人は、グラサンに金髪、おまけにリーゼントヘアという、まるで何かの極道映画に出て来てもおかしくない様な、派手な見た目をしていた。いかにも、ヤクザという言葉が似合いそうだ。
もう一人の方は……サラリーマンだろうか。スーツに身を包んだその人は、さほど背も高く無く、特にこれと言った特徴は見当たらない。まさに、普通といった感じだ。正直ビックリするくらい地味に思える。
腹立てた様子を見せるヤクザが、そんな地味男の胸ぐらを掴み上げた。
「ったく、手間かけさせやがって……とっとと金払えやコラァ!」
「冗談じゃねえ……!なんでだよ……!なんで……!」
「うるせえ!テメェは負けたんだよ!」
スパァン、と乾いた音が響く。同時に、サラリーマンの右頬が赤く腫れた。
「借金でも何でも絶対に払ってもらうからな……!何年掛かっても絶対にな!」
「ハァ……!クソッ!どうして俺がこんな目に……!」
「恨むなら賭け事をした自分を恨むんだな、自業自得ってヤツだぜ」
「違う……全部、全部アイツのせいだ……!」
ギリギリと激しい歯ぎしりの後、サラリーマンは涙混じりに叫んだ。
「大川……秀樹ィ!許さない……!お前のせいなんだ……!お前の……!」
一瞬、俺の思考が止まった。大川秀樹?聞いたことのある名前で、思い出すのに時間は掛からなかった。俺が幸せにした人物の名前だ。
確かその人は、ギャンブルが原因で借金を抱えたまま、家と財産を失ったとんでもない人間だった事を覚えている。
この人は大川と知り合いだったのか?
「ふん、負けたのを人のせいにするなんてな。悪いのは自分だぜ?あの日、大川と勝負して負けたお前が悪いんだ」
「クッ……!何でアイツに……!」
あの日、大川と勝負した?勝負、と言うのは間違いなくギャンブルの事。この男は、大川にギャンブルで大敗した。その分を取り返そうとして、ヤクザと勝負してまた負けた。そう言う事だろう。
ここまで考えると、俺は血の気が引いた。全然考えてなかったのだ。後の事なんて何一つとして考えていなかった。
あの日、絶望する大川をギャンブルで勝たせたのは俺だ。幸せにする為に勝たせた。だが負けた相手はどうなる?俺が関わらなければ負けなかったかもしれない。そもそも、勝負自体起こらなかっただろう。
俺が余計な事をしたばかりに、関係ない人に不幸を押し付けてしまった。
俺は心が酷く痛んだ。
「今度お前の家に取り立てに行くからな。払えませんは通じねーぞ」
それだけ冷たく言い残すと、ヤクザは不機嫌そうに去っていった。
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